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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
3章 戦争へ
124/176

124.開戦・探り合い

 互いに魔導士の詠唱が始まり、それと同じくして詠唱妨害の詠唱が始まる。


「弓兵隊 攻撃開始!!」


 数で劣るために重装騎士の盾によって防いではいる。

 一方で相手は連携もろくに取れていないのか、弓に撃たれ次々と兵士が倒れている。

 質の悪い兵や奴隷兵を捨て駒にし、正規兵を疲れさせる作戦のようだ。


「グレン兄さんサーシャ義理姉様、魔方陣を引くから手伝って?」


「えっ、いやシーナの魔法はちょっと」


 妹は死霊術士、それも天性の素質と努力の結果、その姿や年齢にまったくそぐわないほどの魔力を持つのだが、アンデットが大量に現れるのは制御から外れたとき大変危険が伴う。


「私も手伝ってあげるわよ。 かわいい義妹の為だもの」


 シーナとサーシャが背中合わせになり、魔方陣を丁寧に描き上げ魔石などを並べていく。

 合成死霊、吸血鬼<真組>の素養を持つサーシャと死霊術の天才シーナ、二人が揃って丁寧に丁寧に詠唱を行えばどんな化け物が出てくるか予想がつかない。

 いやな予感しかしない。


「「死者の眠りを司りし神ハーデースーよ。 いま我々は対価を捧げ力を求める。 常しえに眠りし偉大なる戦士の魂を我が前に遣わし給え。 大地よりその身を起こし、我らの魔力を持って身を作り上げ、その魂を目覚めさせ、我らと共に有れ……」」


 大地が膨れ上がり、白い巨大な骨の塊が現れる。


「アンデット・・・・・・ボーンドラゴン」


 魔力量に比例し余りにも強大で見たこともないサイズのものだった。

 まだ上半身しか構成されていないが見上げるほど巨大で強大な魔力を持っている。

 余りにも強大でダンジョンに住まう魔素によって発生したものではなく、これは竜の大地に住まう偉大なる血族達、余りの恐ろしさに身が振るえてくる。

 A級冒険者が束になった程度では相手にならない強大な竜、残骸とはいえそれをたった二人で召還しようとしている。

 巨大で頑強な頭骨の窪んだ目には青い光が灯り、いまだ詠唱している2人を見定めるように見下ろしている。


「はははは! さすがわしのカワイイ孫じゃ! やるきになってきたぞ!」


 祖父レオハートは剣を抜くと凄まじい魔力を放出し始める。


「しかぁし! 先陣は孫とてさせぬぞぉ!」


 魔力が練り上がり、開戦したばかりで互いに魔導兵団の詠唱中で探りあいの状態だというのに、祖父は剣片手にたった一人で突出していく。


「祖父に遅れをとるな! 元傭兵団の力を見せろ!!」


「「「おぉぉぉぉ!」」」


 父セディハルトの号令がかかると領地から駆りだして来た141名の老兵が突撃を始める。

 魔物と戦いを生業とした冒険者は一部を除いて年齢的限界が来る。

 その受け入れ先として傭兵団を結成し、そしてソーディアン家として貴族になるとそのまま兵団として移行していった。

 落ち着いた暮らしで家族と家を持っても、やはり戦いの血は消えない。最後は戦って死にたい者達を集め、残りは領地の治安維持に回っている。

 たった141名の死にたがりの歴戦兵たち、何人かは見たこともある人たちもいるが、みな畏れの表情はなく嬉々として突撃。

 セグレスト公爵陣営から従魔が放たれ、互いの中間地点で老兵と従魔の凄惨な戦いが始まる。

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