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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
3章 戦争へ
122/176

122.陣営

 三日後、王都が慌しくなり、国王が病気により崩御なされたと発表された。また、エウローリア公爵とセグレスト公爵が後継者を争う発表もなされた。

 オーディン王国において王位継承者による王殺しは大した罪ではない。

 魔物が多く現れる王国内を治める諸侯を従える為は、力がなければならないため、力なくも王位を退かない王に対して血の継承が行われる事もある。

 だが、セグレスト公爵は自らの領民を余り省みない事は有名であり、エウローリア公爵は戦いを挑む事を決定した。

 しかし王族同士の争いになれば騎士団長とて巻き込まれれば死は免れないため、オーディン王国の戦争は王族を疲れさせない為配下同士の戦いと言った方がいい。

 その戦いに介入できるほどの実力を持つのは、王国樹立から今も続く4家 リーゼハルト家・パルム家・クラノウス家・アルンフォル家のみとなる。

 今回の戦では、王位継承戦の体裁を保っているが、本来はセグレスト公爵家による意図的な王の殺害と宝剣の強奪、それのみならず自らに従う諸侯に従わぬ貴族領で、配下の騎士団に略奪・殺戮・暴虐の限りをつくさせた、セグレスト公爵の討伐の主が強い。

 王国民を大切に考えているエウローリア公爵にとって、実の兄とは言え黙殺できる事ではなかった。


 他国への牽制や防衛の為エルローリア公爵は十騎士団を分散、 ミリシア帝国 ゴース魔国 ソフィール神聖国 ワイルドビート王国の国境防衛に回し、信頼できる諸侯を残して僅かな手勢のみを率いていた。

 

 ソーディアン家はリーゼルハルト公爵の下、エウローリア公爵側に付き、決戦場となる平原の陣地には一族が集まっていた。


「シーナ!? お前もここにきたのか?」


 まだどこか幼さの残る可愛い顔で短い青髪をかきあげ、多数のアンデットに囲まれてのんびりとしているシーナを見て驚いていた。


「当然じゃない。 エウローリア様やリーゼルハルト様のお力になれるのよ?」


 まだ15歳だが死霊術に関して天性の素質があり、幼い頃からアンデットを自在に使役していた。貴族院ではさらにその才能を伸ばし、入学3年目でありながら一派閥を持つ程力を持っている。

 一方でますます男嫌いが酷くなり、たまの手紙にも貴族院の同級生の男子が気色悪いと書かれていた。今では兄アークスと私と祖父くらいとしか話そうとしない。


「それにしても兄さん。 婚約者の事なのだけれど」


 ソーディアン家の一員としてサーシャも来ており、両親への挨拶でまだシーナとは話をしていない。遠めに見ているだけの状態にある。


「やるじゃない。 兄さんには勿体無い美人だわ」


 貴族としてではなく、家族としてシーナは笑顔で祝福してくれる。

 アーク兄さんと妹のシーナとは仲がいい。三人とも血の繋がらないという共通点もあったけれど、不思議とよく一緒に勉強したり遊んだりしていた。

 サーシャが両親との挨拶を終え、こちらに歩いてくる。


「サーシャ、妹のシーナだ。 今は貴族院で勉強しているが、死霊術に関して才能がある」


「初めまして サーシャ様。 私はグレン兄さんの妹、シーナ・ソーディアンと申します。 このような美しい姉を持つことになり、喜びを持って感謝いたします」


 シーナは貴族の礼に基づき、丁寧に挨拶を行う。


「私はサーシャ・サターナ。 グレンの婚約者だから、あなたの義理の姉になるわね」


「以後宜しくお願いします。 これほど美しい方が義姉様に成る事を感謝し、幸せを祝福いたします」


「あらあら、グレンから話だけは聞いていたけれど、聡明な良い子ね」


 両親との初対面ではかなり機嫌を悪くしたいので心配していたのだが、サーシャも妹のシーナを気に入ったようで何よりだ。

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