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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
3章 戦争へ
114/176

114.幼体

 近くに倒されたと思われるワイルドベアを、遠めに見ながら狩ったワイルドボアの肉を焼いていると、ソードウルフが小さな蛇を咥えてきた。よく見てみると頭が複数に分かれている。


「これは……ヒュドラの子供か?」


 まだ毒を持ち凶暴化する前のただの蛇の状態、とはいえこんなものが居るということは生体のヒュドラがこの森にいるはず。


「早めに仕留めないとやっかいだな」


 成体のヒュドラは首を切り落した後、再生する前に首の切り口を焼かない限り幾らでも再生する。牙には即効性の致死毒、騎士団もしくはB級以上の冒険者があった買うべき案件となるが、まだ成長しきっていないのならなんとかなるか。


「わたくしにかかれば、ヒュドラ程度なんともありませんわ!」


 遠めに見えるためはっきりしないが、どうやらヒュドラ討伐の依頼を受けてきたようだ。

 しかし学生に任せるということは完全な成体ではなく、まだ毒性を持つ前の若い固体なのだろうか。それならば再生力と力が強い大蛇なだけれそれほど危険ではない。


「さすがはカレンお姉様です!」


「我々も頑張ります!」


「援護はお任せください!」


「そろそろ野営の準備を致しますね」


 それにしても、取り巻きだったとしても仲間がいると戦いの幅が広がるのだろうか。

 普段から一人で戦う事が多いので、どういった状態になるか予想も付かないのだが、少数に対して大人数で掛かるのだろうが、連携をとれるだけの訓練を積んだのだろうか。

 色々考えている間に肉が焼け、いい匂いが漂ってくるとソードウルフ達が涎をたらし始める。


「まずは、ジノからだ。 一番狩ってきたからな」


 魔法で器用に肉を浮かび上がらせると自らの前に置いてジノは塩などの調味料を使い食べ始める。

 それから順番に焼いた肉をワイルドボアの剥がした皮の裏側においていくと、争う事無く食べていく。それでも半頭分のワイルドベアの肉が一回の食事で消費されるのをみると、今後の食費に少々悩みが出てくる。


「やれやれ」


 ソードウルフ達の食事が進むのを眺めながらヒュドラの幼体を眺めるが、正直嫌な予感がしてくる。

 単性生殖が可能なヒュドラとはいえ、一匹である必要はない。もし数匹居たのならやっかいなことになりそうだ。依頼を受けては居ないが、今回は手出しをしたほうがいいかもしれない。


「ジノ、ヒュドラの肉を食べたことはあるか?」


「ナイナ」


「では、一つ狩りに行こうか。 ちょうど氷の精霊に捧げる供物も欲しかった所だ。 君達も食べ終わったらすぐに行くから準備を」


 ソードウルフ達は急ぎ肉の山を食べ始める。別に急がせては居ないのだが、どうやら彼らなりに戦う準備があるのだろう。

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