113.同級生
屋敷に戻りエントランスを見たときふと、亜空間倉庫の中に、旅の最中に手に入れた アメジストの等身大ゴーレム 二体を仕舞ったままだった事を思い出した。
屋敷に入ってすぐのエントランス、中央にある階段の横に飾ってみるが、意外と悪くは無い。
「あら、これはどうしたのかしら?」
サーシャはアメジストのゴーレムを近くで眺めている。
「旅の途中、アメジスト鉱山の魔物討伐の時に手に入れた。 すっかり忘れていたんだが、思い出してね」
石像と異なる全身アメジスト鉱石、屋敷内に入る込む光を取り込み美しく輝いている。
「わるくはないわね。 それと、この子達の世話はどうするの?」
サーシャの言うとおり、10頭のソードウルフをどうにかしなければならない。食事に寝床からこれからの取り扱い、与える役割など色々する事がある。
「外に小屋でも作るよう依頼するとして、それまではエントランスの一角を場所に」
「あなたが用意して。 私は部屋に戻るわ」
そう言うとサーシャは部屋に戻ってしまった。
ソードウルフ達は恐怖の対象から逃れ、その場に座り込むと大きくため息をついている。
「力はあるから、馬車の馬代わりにでもしようか? 並の警備兵や馬よりも力は強いし。 ジノはどう思う」
「勝手ニ付イテキタダケダ」
そう言うとジノは食堂に向っていった。
ソードウルフ達はその去っていく姿を見ているだけで追おうとはしない。
問題がないなら、警備兼牽引するウルフとして扱うとしよう。
「それでは君達、こっちの小屋が出来るまでこちらの隅で休んでくれ」
エントランスの奥にある階段の影に、亜空間倉庫に残っていた毛皮を敷いて場所を指示する。これから庭のどこかに住む為の小屋を作るのだが、それも二三日はかかるだろうから少しの間はここに居てもらう。
毛皮も満足な量があるわけではないが、これから買いに行くので少しの間は我慢してもらおう。
いや、それよりもこれから森に狩りに行った方が、当面の食料を含めて有用か。
「グレン様、イノ様から明後日に魔法についてお教え願えないかと」
「あぁ、分かった。 明後日の昼食後に夕食前まで教えると伝えておいてくれ。 これから狩りに出るが、明日の夕刻には戻る」
「承りました。 お気をつけてお出かけください」
雇われ執事に後を任せ、ソードウルフ達と共に一度冒険者ギルドに赴き、従魔登録を済ませる。これで公式的にも私が主であり今後の手間が無くなる。
それから王都を出た所でジノが視界に入った。どうやら付いてきたようだ。
夕刻には王都から離れた森に到着、狼の群れとして狩りを開始し、ワイルドボアを30頭ほど狩った頃には夜も深くなり、野営の準備を始める。
「お~~っほっほっほ」
どこかで聞き覚えのある高笑いに視線を向けると、少し離れたところに入学試験時にみかけた金髪4連ドリルヘアーのお嬢様が居た。取り巻きと思われる4人も恐らく学生だろう。