表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
1章 王都での戦い
11/176

10.奴隷

 巡回していた兵士を呼び止め、縛り上げていた死体漁り引き渡す。事情を少々説明するだけで、理解してもらえるのは助かった。

 

「罪人の引渡しに感謝いたします」


 簡易敬礼で礼を言われると少々恥ずかしいものがあるが、これもまた仕事の一つだろう。


「彼は今後殺人奴隷として扱われるか、処刑が行われます。 また今後も罪人を捕らえましたら、引き渡して貰えると助かります」


 兵士達に引っ立てられ、死体漁りは出口へと向っていく。


「殺人奴隷か」


 この世界にも一部だが奴隷制度があり、罪によって罪人奴隷のクラスが分けられている。

貴族奴隷 国家への反逆等から稀に貴族や商人等が落とされる身分だが、頭が良い為他の貴族や商人に雇われ短い期間で平民に戻ることが多い。

     時には親族によって購入され即座に貴族に戻る事もある。

借金奴隷 国が運営する商人ギルドから貸し付けられた金を返せず、長らくそのままにした場合、10分の1の返済義務を与えられ落とされる。

     10分の1になった借金を返せば平民へと戻れる。

犯罪奴隷 盗賊など犯罪行為を行ったものが焼印を押され落とされる。

     上記と異なり購入者が許した上で厳しい試験を合格しないと

     奴隷の身分から逃れることは出来ない。     

殺人奴隷 盗賊以上の重犯罪行った者が落とされる最下位の奴隷。逃れる術もなく生きる術もなく使い潰される。逃れる術は、半年に一度の闘技場で功績を挙げること、そうすれば平民として軍隊に所属することが許される。

損壊奴隷 もはや価値も無い奴隷。奴隷でも生存の自由が与えられているが、それを無視して所有者に再起不能にさせられた奴隷。国によって保護と生存の手助けが行われている。腕や足や眼や耳などを失い、時には心も失ってしまっている。望めば安楽死が与えられる。

 奴隷にも低価ながら労働報酬と、最低限の衣食住を与える事が購入者の義務であり、借金奴隷などは自ら稼ぐ事で平民に戻る者も多い。

 多くの書類や立会人や保証人等も必要だが、結婚する事で奴隷の身分から逃れる事も出来る。


 死体漁りを引き渡したあと、気分がのらなくなり寮に戻ってしまった。途中ギルドでリザード種の素材を15匹分を売り払った総額11万8960フリスを受け取る。イノシシ型は一匹辺り3000~4500フリス、リザード種となると7000~9000フリス。

 出来ればもう少し多く稼ぎたいが、Dランクになったばかりのものが一人で、これ以上一度に稼ぐのは悪目立ちしてしまう。今の状態では仲間が居ない事は致命的、襲われ易い上に知名度が無く少々危ない。やはり秘密を守れる仲間が必要だ。

 だが、仲間を集めるのは簡単な事ではない。てっとり早いのは従魔なのだが、ジノの方を見るとはすでに毛皮とクッションで作った寝床で眠りに付いている。

 Bランクの魔物と成れば知性も高いのだが、そもそもそういった魔物を楽に討伐しても問題ないように誤魔化す為に仲間が必要なのだから論外だ。


「ぉーぃ」


 どうしたものかと考えていると、聞いた事も無い声に周囲を見回す。ある程度の防音が成されている寮の自室で、聞こえるなど魔法通信くらいだが、魔法の気配も感じない。


「こっちこっち」


 声のするほうを向くと、棚の中段に14センチ程度の人間が見える。妖精か精霊なのかは分からないが、人間が住む寮の一室に出てくるとは非常に珍しい。

 

「君達は、精霊か?」


 しゃがみながらほんの少し視線をずらすと涎を垂らしながらジノは眠ってる。敵意は間違いなくないだろうが、ジノは一体何の夢を見ているのやら。


「あたしはエル。 あんた力はあるんでしょ。 ちょっと手を貸しなさいよ」


「私はリーアナといいます。 御願い致します」


 ホワイトのショートヘアで、少々勝気な目をしている子はエルと名乗り、ホワイトのロングヘアーの、少々落ち着いた雰囲気のある子は丁寧に頭を下げるとリーアナと名乗った。どうやら事情があるようだが。


「事情を話してくれ。 あとジノを起こすから少し待ってくれ」


 どうやらジノは美味い肉を食っていた夢を見ていたらしく、起こすと少々不機嫌だったが、残っていたイノシシの肉を、次の食事に出す事で納得してくれた。二人にはテーブルの上に立ってもらい話を伺う。


「鬼人族の二人を助けて下さい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ