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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
3章 戦争へ
105/176

105.決闘の前に

 「良いだろう。 それで日取りはどうする」


 売り言葉に買い言葉まではいかないが、騎士としてゼノンが受けないことはないだろう。問題は私まで戦う事になったことだが、いまさら取り巻きではないと言った所で仕方が無い。


「明後日だ!」


 明後日とは言ってくれる。権力を使って無理にでも場所を借りるのだろうが、闘技場も予約や準備があって迷惑だろうに。

 その場からゴルノスが去ると、夜会は平穏を取り戻し再び子息や子女同士の交流が再会される。


「すまん。 貴殿を巻き込んでしまった」


「きっかけは別ですよ。 何よりも今日は切り上げて明後日に備えましょう」


「そうだな。 奴の事だ、姑息な手を使うだろう。 気をつけろよ」


 ゼノンも婚約者のローニャを連れて夜会を後にした。慣れない夜会に出たが、こんなことになるとは思いもしなかった。まぁ、ただ退屈な夜会を引き上げる良い理由にはなったが。


「面白い事になったわね。 頑張るのよ グレン」


 まだ怯えている子は取り巻きに任せ、楽しそうな笑みを浮かべるサーシャを見ていると、この流れになることをなんとなく予想していたようにも思える。


「私は終わりまで居るから、あなたは先に帰りなさいな」


 サーシャに促され、一人会場を出ると帰路に付いた。



 屋敷に戻るとサーシャが雇っていた執事が一人、トレーにワインのビンとグラスを持って歩いてきた。


「グレン様。 これは新規の商人がお近づきの印にとお預かりしました  50年モノのワインとクリスタルのグラスで御座います」


 子爵級では入手できない高価なワインとグラスであれば、疑わずに飲むと思ったか。このタイミングでは毒入りだと態々言っているようなものだ。

 しかしここまであからさまにしてくるとなると、明日無事であるのが分かれば、暗殺者を送り込んでくるだろう。


「毒入りなど捨てておけ。 お前達も出入り商人以外からの品物には気をつけてるように」


「承りました。 それではお風呂のご用意ですが」


「今夜は魔法で済ます。 サーシャが戻る時間に合わせて準備はしておけばいい」


 それだけ伝えると自分の部屋に戻る。

 サーシャと違って側仕えを雇うことはない。頻繁に屋敷を出ている事が多いのに、専属の側仕えなど居ても暇を持て余すだけだ。

 誰も居ない部屋に戻ると、そこにはジノがのんびりと寝ていた。専用のベッド上で耳だけをしきりに動かしている。


「5人程外ガ煩イ。 屋敷ヲ監視シテイルゾ」


「あぁ、夜会から付いてきている。 明日の夜には襲撃してくるだろうさ。 それまでは自由にさせておく」


 エルとリーアナは気にしている様子もなく、ジノの上でゆっくり寝ている。敵にすらならないと理解しているのだろう。

 ドワーフに製作してもらった鎧を亜空間倉庫から取り出す。

 まだ装飾をつけては居ないため、黒色の無骨なフルプレートメイルだが、ソーディアン家の紋章を使う事はできないため、仮のマントになるがとりあえずは決闘に際して無作法には取られないだろう。

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