東方記録媒体 第六話 「宴会は踊り、平和は遠のく」
犬城「さてさて、第6話です!」
お衣「今回から話が動いて行くわよー!」
犬城「あと、最後の方で魔理沙がおかしくなるから、まあGLとかヤンデレ(もどき)が苦手な方は飛ばしてください。本編には関係ありません。」
お衣「『~アリスside~』からね。」
犬城「ああ。次からは魔理沙は普通だから安心してくれ。」
お衣「だそうです。では始めましょうか!」
犬城「それではー!」
犬城・お衣「どうぞ!」
東方記録媒体 第6話 「宴会は踊り、平和は遠のく」
~???side~
おかしい。私が白にかけた術は完璧であったはず。なのに、なぜ白は外の世界の兵器を模した物を使っているのか。
だが今となっては調べようもない。会って調べた拍子にすべてが戻ってしまうかもしれない。ここはいったん様子をみて、危険ならば消してしまおう。この幻想郷、いえ、あの方の為に。
~さとりside~
…いまの、いまの心の声は一体誰なのか。周りを見たが誰もそんな素振りは見えない。くそっ!
「どうした?さとり?」
「その…白さん。これはあくまでも私の感じたことです。参考程度にとどめておいてください。」
「お、おう?」
「貴方の記憶は封印されています。それも、この宴会に居る誰かによって。」
「…なに?封印?」
「はい。これに関しては私が見た貴方の記憶、そしていま聞こえた心の声からほぼ確実です。その心の声の主が封印した人物です。そして、どうやら少し記憶の封印が解けているようです。それも、外の世界の兵器についてのことが中心に、です。」
「兵器か…。」
「…なにか心当たりがあるのですね?」
「…ああ。だが…」
「ええ。いま此処でそれを話すのは危険すぎる。それに、その封印をした人物、まあ『アルファ』とでも呼称しますか。そのアルファには崇拝する『あの方』とやらがいるようです。これは『ブラボー』と呼称します。」
「つまり最低一人は『ブラボー』の狂信者が居るわけか。」
「それも狂信者が何人居るかわかりません。もしかしたら大部分がそうかもしれません。」
「わかった。…さとりは違うよな?」
「証拠がないので完全には否定できませんが、少なくとも私は誰も崇拝などしていませんよ。」
「ならいいかな。いったん二人で戦おう。誰が敵かもわからないしな。」
「そうですね。では、明日地底に行きましょう。そこで情報の共有をしましょう。」
「チーム結成だな。」
「ですね。ま、今は宴会を楽しみましょう。もしなにかまた聞こえたら話しますので。」
「わかった。それじゃな。気を付けろよ。」
「貴方もです。」
さて、私は集中して声を聞きますかね。もう一度拾えれば良いのですが…。
…なぜ私は白にここまでのことをしているのでしょう?まあ考えてもしかたないですね。頑張りましょう。
~白side~
記憶の封印。
なんと面倒なことか。自分では気付かなかったのだから、『アルファ』はかなりの術者なのだろう。それに、一体何が封印されているのか。そして、なぜそんなことをする必要があったのか。
まだ不明点が多すぎる。もう少し情報が必要だ。
「あ、白さん。楽しんでますかー?」
後ろから声をかけられる。
「ええ、たのしんでますyわぷっ」
「ぎゅー」
振り返ったところに抱きついてきた。ああ!胸が!顔が胸にー!
「うわーお、胸に顔を埋めてくるとはなかなかに白さんもスケベですねー。」
「いまのは椛さんが悪い。というかかなり酔ってるな。お酒臭い。」
「むー、女性に臭いとは何事ですかー!」
はぁ、とため息をつく。でもまあ椛さんと話すのは楽しいしまあいいか。
「白ー!」
「おや?あれはチルノちゃんですねー」
「おお!椛もいるのか!」
「こんばんは椛さん、白さん。」
「おう、大ちゃんこんばんは。」
「ねーねーチルノちゃん、大ちゃん、私お酒臭くないよねー?」
「臭い!」
「あー、その、ちょっとだけ?」
「チルノちゃん…そこまで元気かつストレートに言われると流石に辛いわー」
「ま、それはいいとして、なんか用があったんじゃないのか?」
「おお、そうだった!白!あたいと勝負しろ!」
「うーむ、よし!いいぞ!」
「やったー!じゃあ、上で待ってるね!」
「おうおうまてまてこいつをつけろー」
「なにこれ?」
「遠くの人と会話できるようになるものさ。」
「遠くの人?誰それ?」
「そうだな、例えばー」
《ガルム1!どうしました?危機に不調でも?》
「ふちょう?あたいは元気だぞ!」
《ならよかった。俺はガルム2のPJです。》
「おう!よろしくなPJ!」
《んじゃ、さっさと離陸してください。敵は待ってくれませんよ!》
「了解!」
《ちなみに、PJはパトリック・ジェームスの略で、趣味はポロ。あの馬に乗ってやるやつ。》
「面白そうだな!こんどあたいにも教えてくれ!」
《いいですよ!》
「そういえばPJって好きな人いるのか?あたいは大ちゃんが好きだ!」
《好きな人ですか?ええ、俺、基地に恋人がいるんすよ。帰ったらプロポーズしようかと。花束も買ってあったりして―
「《警告!アンノウン急速接近中!全機ブレイク!ブレイク!》」
《うぉぉぉぉ!?》
ビィィィィ
ドォォォン
「PJ!?おい!PJ!くそ!なんだいまの!」
《戦う理由は見つかったか? 相棒。》
「《ダメだ!核サイロの再起動を確認!ガルム1作戦続行!交戦せよ!》」
「おまえか!PJを撃ったのは!」
「《敵機を撃墜せよ!期待解析結果は追って知らせる!》」
「わかった!うおおぉぉぉぉ!『アイシクルフォール』!」
《降ってきたな。》
《不死身の妖精ってのは戦場に長くいた奴の過信だ。》
《お前のことだよ、相棒。》
「おぉぉぉらぁぁぁ!」
ガガガ
《くっ!》
「《第一分析完了!敵機から地上への信号を確認 やつが『V2』発射を握っている!》」
「なんだぶいつーって!」
「《一発で幻想郷を滅ぼせる爆弾だ!》」
「なっ、それは止めなきゃ!」
《ここから幻想どもが救えるか?幻想郷は俺たちに何をくれた?
全てをやり直す。そのための『V2』だ。》
「させるか!幻想郷はみんなの楽園なんだ!お前は間違ってる!」
《相棒、道は一つだ。信念に従い行動する。それだけだ。》
「だけどそんなことをしたらたくさん死ぬぞ!」
《戦いに慈悲はない。生きる者と死ぬ者がいる それが全てだ。》
「ふざけるなぁ!」
《奮い立つか?なら俺を落としてみせろ》
「うぉぉらぁ!」
ガガガガガガ
ビィィィィ
「うわぁ!」
「《ガルム1被弾!》」
《どうした!そんなものか!?》
「喰らえ!」
ガン!
ドォォォン
「よし!これで落ち…」
《時間だ。》
「なに!?」
シュゴォォォォ
「《くそっ!V2の発射を確認!》」
《惜しかったなぁ、相棒。
歪んだ箱庭は一度リセットするべきだ。
このV2で全てを『ゼロ』に戻し、次の世代に全てを託そう。》
「っふざけるなぁ!」
ガガガガガガ!
ヒュヒュヒュヒュ…
「なっ!弾が全部曲がった!なんで当たらないんだ!」
「《こちらウルフアイ!聞け!ガルム1!敵機体の解析が完了した!コード名は『モルガン』。この機体はECM防御システムによって護られている!唯一の弱点は前方のエアインテークだ。正面角度から攻撃を行い、モルガンを撃墜せよ!
今そこで奴を討てるのはお前だけだ!
幻想の氷精!幸運を祈る!》」
「うん!やってやる!」
《来い!》
「うおおぉぉぉぉ!」
パシュパシュパシュパシュゥゥゥ
ドドドドォォォン
《くっ!》
「でりゃぁぁぁ!」
《撃て!臆病者!》
《撃て!》
「『アイシクルシュート』!」
ドォォォン
ドカァァァァン!
「《よくやったチルノ!V2の自爆を確認した!》」
「よっしゃぁぁぁ!」
空に大きな花火が花開く。先程まで戦いを肴に酒を飲んでいた誰もがそれに見とれていた。
その花を背にチルノが降りてくる。
「ふっふっふー!白!やったぞ!あのもるがんとか言うのを打ち落として幻想郷を守ったんだぞ!PJの敵もとったぞ!どうだ!」
「おう。やるじゃねえか。さすがチルノだな!」
「えっへん!」
ちなみに最初からモルガンは撃墜される予定だったのは内緒だ。
「チルノちゃん見てみて!空がすごいきれいだよ!」
「お?おお!すげえ!あれがV2か?」
「ああ。空ならあんなに綺麗でも、地面に落とせば幻想郷を滅ぼせてしまうんだ。V2みたいに、大体のものは二面以上の顔を持っているもんだ。」
ちなみにあれはV2ではないです。
「顔?なんだそれ。」
「そうだな。例えば、チルノは氷を作れるだろ?」
「ああ!だって『幻想の氷精』だからな!」
「んで、氷ってひんやりして気持ちいいだろ?」
「うん。氷だからな。」
「でも、尖った氷を作ったら誰かを刺すこともできるわけだ。」
「なにいってんだ白!あたいはそんなことしないぞ!」
「だけど氷はできるわけだ。ま、見方考え方を変えると違ったものに見えるってことだ。」
「ふーん。よくわかんないや。」
「ま、いつかわかるさ。」
「その顔ってのは人にもあるのか?」
「ああ。大抵の人はあるな。チルノや霊夢さんなんかは無さそうだけどな。」
「そりゃああたいは正直に生きてるもん。…ん?じゃあ大ちゃんにもあるのかな?」
「あるかもな。」
「もしかしたらあたいより強かったりして!」
「いやいや神様だったりするかもよ?」
「いやいや白!もっとすごいのだ!」
「ああ、わかったぞ、それは…」
「「竜神だ!」」
「ち、違いますよ!神様なんかじゃないです!私はただの妖精ですー!」
「えー?つまんないのー。」
「神様が妖精やってるわけないでしょう!」
あ、チルノより強いのは否定しないのね。
「なになにー!チルノ、何してるのー?」
「お、白じゃん!鰻食べる?」
「もらうのかー。」
「ルーミアのじゃない!」
「おお!リグルにみすちーにルーミア!どこいってたんだ?」
「どこもなにもチルノがどっかいったんじゃんか!」
「なにー?あたいはちゃんと言ってから行ったぞ!聞いてないみすちーたちが悪い!」
「どうせ走りながら言ったんでしょ!私は聞いてない!」
ワーワーギャーギャー
「…平和だねぇ。」
「ですねぇ。」
大ちゃんと一緒にその光景を眺めて少しだけのんびりとしてましょうかねぇ。
~???side~
なんだ今のは…?
おそらく元は弾道ミサイルだろう。だが、あんな規模の爆発を起こす『V2』というミサイルは外の世界にも存在していない。それにあの『モルガン』。あれも外の世界に存在しない航空機だ。そもそもレーザー兵器などまだ実験段階の者のはずだ。奴の空想か、それとも、記憶なのか。よくよく考えれば魔理沙との戦闘での『スーパーx』も存在しない。一体なんなのだろうか。
そうなるとやはり記憶を調べる必要がある。だが、私では…
ああ、そういえば適任がいた。古明地さとり。奴は記憶も読めるはずだ。後で接触を計ろう。
~さとりside~
まじですか…。いまの心の声、完全にヤバイですよこれ。ううむ、これ下手すると私も消されますね。
にしても、外の世界には無いのに白の記憶にあるというのはおかしいですね。外で忘れられたものならば幻想郷にあるでしょうが、存在していません。それに、それでも外に記録ぐらいはあるでしょう。特にあのV2なんかは核兵器。忘れられるわけがない。つまり、『どちらにもまだ存在していない』か、『白のみがそれを知っており、それを抱えたまま幻想入りをした』のどちらかだろう。
前者ならば、例えば未来や別世界、別世界線が挙げられる。つまり、白は別の世界線や未来からやって来たということでしょう。
後者なら、ただの中二病かはたまた狂ったテロリストか。ただ淡々と大量に殺すための兵器を考えていたのかもしれません。ああ、仮想戦記の小説家という線もありますね。それなら兵器もうなずけます。
現実味があるのは後者でしょう。ただ、前者の可能性もなきにしもあらず、と言ったところでしょう。
どちらにせよ、すでに私は白の側へついています。ならば彼と戦ってやりましょう。良識の範囲内で。
もし殺されそうになったら白の所にでも逃げ込みましょうかね。
『アルファ』が誰かわかればもうけものです。なんとか生き残ってやりましょう。
色々と後で白と話しますかね。
「おーい、さとりー。」
「おや?どうしました?」
「おう、もうそろそろ帰るぞー。」
「わかりました。…んで、その肩に担いでいるのは一体なんですか?」
「椛さん。」
「…ふむ、酔った女性をお持ち帰りとは。くそみたいな男ですね。」
「いや、んなわけないでしょ。妖怪の山から来ている人で椛さん連れて帰ってくれる人いないんだよ。文さんは無理。にとりはもう帰った。」
「わかってますよ。私は覚り妖怪ですよ?…あと、後で話があります。(ボソッ」
「…わかった。」
「さて。では霊夢さん、失礼しますね。」
「ええ。いつでも家にきていいからね。歓迎するわ。」
「わかりました。では。」
「それじゃあ失礼しますー。」
「じゃあね。」
~アリスside~
「はふー。良い感じに酔ってきたわ。よし、今から白にアタックよ!」
「白?白がどうしたのぜ?」
「そりゃあいまから色仕掛けをねー。」
「…は?」
「だから色仕掛けー。」
「なにいってんだアリス。お前は私のものなのぜ?なんで白にそんなことをしようとするのよ?」
「ち、ちょっと?魔理沙、どうしたの?語尾とかおかしいわよ?」
「アリス。お 前 は 私 の も の よ ね ?」
「ヒッ!…いいえ、負けるものか!私は私のものよ!貴女のものではないわ!」
「!そっか。アリスは私のことが嫌いなのね。」
「え?いやそうじゃ「そんなアリスなんていらないわ。」は!?」
シュッ
「ちょっ!?ナイフ!?危ない!危ないから!」
「うるさいわよ!!」
「キャッ!」
「あんたたちうるさいわね!」
「パ、パチュリー!助けて!」
「邪魔よパチュリー!私とアリスの問題よ、邪魔しないで!」
「ああん?宴会でナイフ振り回す阿保が言えたことか!魔法『パラノイア』!」
「きゃあぁぁ!」
「ちょ、パチュリー!?」
「マナーを守らないアホにはこれが一番よ。レミィ、私少し寝るわ。」
「え、ええ。わかったわパチェ。」
「ま、魔理沙!?大丈夫!?」
「はい、私は完璧で幸福です!アリスさま!」
「へ?ちょ、ちょちょちょ!?どうしたのよ魔理沙!?」
「コンピュータ様万歳!コンピュータ様万歳!コンピュータ様万歳!」
「魔理沙ぁぁぁ!?」
このあとアリスの必死の治療でなんとか戻ったそうな。ついでにヤンデレも抜けたとか。
犬城「はい、という訳で第6話でしたー!」
お衣「なんか動き始めましたねぇ。誰ですか???って。」
犬城「ご想像にお任せします。まあヒントをあげるなら、『術式を組める』、『外の世界を知っている』、『崇拝している存在がある』といったところですかね。」
お衣「なんというかかなり絞られるような?」
犬城「まあ、そうなるな。」
お衣「はぁ。まあ良いです。そういえばついにパチュリーがオチ要員ではなくなりましたね。」
犬城「ああそうだな。魔法使いたちがオチ要員になったな。」
お衣「ですね。」
犬城「ま、いいさ!では次回予告!」
お衣「『さとりと白の知る事実とは、そして白の記憶復活のきっかけとは!?』」
犬城「よし!ではネタ解説いくぞ!」
お衣「ラジャー!」
犬城「『アルファ』、『ブラボー』、NATOフォネティックコードより。軍事関連の作品で聞きますね。アニメ『ジパング』でもありました。」
お衣「『PJ』、ゲーム『ACE COMBAT ZERO』の友軍。途中から主人公と同じガルム隊にピクシーの代わりに配属される。仕事しない、で有名だがおそらくかなりのパイロットである。最期はあれだったが。」
犬城「『モルガン』、ゲーム『ACE COMBAT ZERO』最後の敵機。パイロットは途中まで主人公の二番機のパイロットだったピクシーもといラリー・フォルク。」
お衣「『チルノとモルガンの戦闘』、大体ゲーム『ACE COMBAT ZERO』、mission18のパクり。多少は変えてあるよ!」
犬城「『パラノイア』、アメリカ発の『完璧で幸福なTRPG』。魔法の名前ではない。ちなみに友情崩壊ゲー。皆さんで調べてみてください。その方が良い。」
お衣「最後投げましたね?」
犬城「正直パラノイアは説明が難しいと思うの。」
お衣「はぁ。ま、いいです。それではまた次回ー。」