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東方記録媒体  作者: 犬走山城
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東方記録媒体 第一話 「人と妖の間に立つ人間」

はじめまして、犬走山城です!

今回はこの『東方記録媒体』を開いていただき、誠にありがとうございます!

この作品はハーメルンの方にも投稿しています。

今回のみ三人称視点です。

 次回からは一人称視点の予定です。

 ではでは早速、東方記録媒体を


『「ゆっくり読んでいってね!」』

第1章 「人里の五霊白」

東方記録媒体 第1話 「人と妖の間に立つ者」


幻想郷。それは人と妖が共存する世界である。妖は人を喰らい、人は妖を払い払い生きている。そんな世界のとある人里の外れで、一人の男が戦っていた。





人里近くの暗い森の中で彼は鈍い光を放つ日本刀で妖怪化した狼の群れを斬っている。右から飛びかかる狼を流れるように左上から切り捨て、後ろから噛みつきに来る狼もかわしつつ切り上げて首を落とす。


グオォッ!と吼えながら木を使って上から狼が飛びかかる。だが男は避けずにただ一言、


「風よ」


と唱える。次の瞬間にはその狼は残りの狼と共にバラバラになっていた。


ふぅっと息を吐き、刀から軽く血を払い、鞘へ納める。


黒のウルフカットに紺の和服を着ており、腰に一振りの日本刀を刺しているその男は、周りを少し見回したあと、帰路へとついた。





人里の外れにある小さな彼の小屋へ帰り付きドアを開けると、そこには紫のゆったりとした服を着て、本を読んでいる女性がいた。


彼女の名はパチュリー・ノーレッジ。動かない大図書館と呼ばれる魔法使いである。


「お帰りなさい白。ご飯はもう作ってあるからいつでも食べられるわよ。」


「ただいま。それなら風呂のあとに食べるよ。」


「わかったわ。」


「というかパチュリー、もう夜だが帰らなくて大丈夫なのか?」


「いいのよ。だって家にはドアひとつですぐだもの。」


「ああ、魔法で紅魔館と家をドアを通して繋げてるんだったか。半年たったのにまだ慣れないな。」


「まあすぐ慣れるものでもないわ。互いに寿命の長いもの同士のんびりと生きていきましょう。」


「そうだな。」


そしてそのパチュリーと話している男の名は五霊(ごりょう) (はく)。一年前に幻想入りした白狼の妖怪であるが、いまは妖怪としての力を全て封印されており、人間であると偽って生きている。


彼は一年前に幻想入りしたときに生死の境をさまよっていたが、たまたま通りがかったパチュリーの手によって一命をとりとめ、そこから半年程はパチュリーの厚意で紅魔館の図書館に住まわせてもらっていた。


半年前からは人里の近くに住まわせてもらい、また持ち前の霊力と魔力が評価され人里の警備隊の一員となっている。


「にしても封印して種族まで変えてしまうなんてすごい封印術よねぇ。わたしもレミィのやつを封印してフランと一緒に紅魔館でも乗っ取ろうかしら。」


「やめとけやめとけ。俺を封印するために母さんと父さんが死んだんだ。妖怪二人が死ぬような術はパチェにはやってほしくないな。」


「ふふっ。ありがと。心配してくれて。ほらほら、さっさとお風呂に入ってきたら?ご飯が逃げちゃうわよ?」


「逃げねぇよ。ま、入ってくる。」


そういって白は風呂へ向かった。





パチュリー・ノーレッジ。


彼女は長い時を生きた魔女である。幻想郷のものたちは彼女をこう説明するだろう。


『喘息持ちで根暗で戦えないもやしで頭でっかちな魔女』と。


だがこれはほぼ全てが真実とは異なっている。実際は喘息はさっさと戦闘を切り上げるための嘘であり、根暗なのも他人を寄せ付けないためである。彼女は心優しい女性であり、戦闘などしたくないと常々思っている。

だが戦闘能力はずば抜けている。魔力は他の魔法使いなどゴミと言えるレベルで保有しており、純粋にそれを妖力に変換すればかの風見幽香や八雲紫にも並ぶレベルである。また近接戦闘も優れており、魔力で強化をすれば鬼とも殴りあえるレベルだ。


しかし彼女はその力を見せない。例外として、彼女の従者である小悪魔と、彼女が自身から話した白のみは知っている。しかし、それ以外のものは、あのレミリアでさえもしらないのである。


では彼女にその事を話させた白とはどのような人物なのか。


彼は白狼妖怪同士の間に生まれた純粋な白狼妖怪であった。だが彼の親は子に妖怪として生きることを望まず、命を捨ててまで彼の力をメモリへと封印し、人間とした。しかし人間であってもその身体能力や霊力と魔力の扱いは一流であり、中級妖怪程度ならば難なく殺せるほどである。


力を封印したメモリも持っており、親が遺したドライバーを用いれば妖怪の時の姿へと一時的に戻ることができる。彼はそれを使おうとはしないが。


そんな二人は、ともに仲良く毎日を過ごしている。はたから見れば健全なお付き合いをしている男女だが、本人たちはとくにそういった意識は無いようである。





「「ごちそうさまでした。」」


夕食を終え、二人は紅茶を飲みながらのんびりとする。


「は~。一日の終わりのこの一杯は格別だなぁ。」


「最近毎日のように妖怪の討伐依頼が来ているものね。」


「ああ。一体一体はそこまで強くないんだが群れるんだこれが。とにかく群れる。」


「しかも倒せば怨霊の呪い付きという最悪のコンボよね。呪い除けは大丈夫?」


「まだまだ大丈夫だ。それに異変解決に霊夢さんと魔理沙さんが動いたそうだから、もうすぐ解決するだろうしな。もう一踏ん張りさ。」


「まあそうね。じゃあ私は帰って寝るわ。おやすみ。」


「ああ、おやすみ。」


こうして二人の一日は終わりを告げた。





天狗の集落の外れに「それ」はいた。


「ウがァァぁ…」


それは黒い霧をまといながら地をのたうち回り、苦しむ。


「…」


しばらくすると霧は消え声も止み、それはただ虚ろな目をしてどこかへ歩いていった。

第1話、いかがだったでしょうか?

作品の書き方でアドバイス等ありましたらどしどしお願いします!

さて、次回は最後の「それ」の話になります!

それでは、また第2話でお会いしましょう!

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