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腹八分目

作者: かたち

「ああ今日という末を知らない」

もう木曜日。今日の給食はコッペパン2人前。わたしは綿菓子片手に電車に乗り込んだ。

「ああここはどこなの」

独り言は得意分野。今度特別指導受けますか?

わたしは電車にいたはずなのに。空は紅茶、地面は夕焼けまるでプリン。

「腹八分目にしてはまるでなっていない」

わたしの腹は八分目。おいしそうでも八分目。

「いかんぞいかんぞこれは」

手に口なぜ動く。わたしの腹は八分目。

「やめろやめろ」

もう駄目だ。わたしは九分目。あのときの約束を破ってしまった。なんてことしてしまった。そうはいってもまだまだくう手と口。

「もういかん」

約束は破るためにある。守れないものだからこそ約束るのだ。あなたじゃないんだからいとも容易く破ればいい。

でもそんな簡単に自分でいられるやつじゃなかった。そういうやつだったら約束もなかった。だから彼は罪悪感を持ちながら食い続ける。おいしい。なんてこと。自らの不純とともに暮らす程度。だから色々な噛み合わなさを持ってプリンを食う。

「食いたかないぞプリン」


あの約束を覚えているだろうか。もう忘れているだろう。ただ約束をしたということだけが残っていて。わたしは忘れた振りをして罪悪感を和らげた。その程度だと自らを和らげて。プリンを食いたくない振りをして。ただ食っていた。


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