現実世界転生
「マリ!何なんだこの成績は!これからは塾にいってもらうからな!」
「……」
小説に夢中になりすぎたマリの成績は学年最下位まで落ち、愛之助に塾通いを強制された。
(あーあ。これからいいとこだったのに……これじゃあもう小説書けないな……適当におわらせちゃお……)
☆彡
勅使河原マリ作『異世界勇者マーヴェラス2最終回』
騎士、スカーレット、ワーストの三人はなんと現実の世界にやってきてしまったのです。
容姿や性格はランダム。
彼ら三人はお父さんに『物語の続き』を書かせるために一生懸命がんばることにしました。
自分たちの正体を明かすことのできない彼らはどーするのか?
続く。とゆーか終わり。
☆彡
東京駅前……
「というわけでドュフフフフフ!僕たちは『現実世界転生』してしまったわけだが……」
(よりによってなんでこんな奴に転生を!)
「案の定エタったわね……」
「うむ……」
スカーレットはホスト風の男に、ワーストは人の良さそうなおばさんの姿になっていた。
「とにかく!僕たちが異世界に帰る手段は『創造主を見つけ出して続きを書かせる』ことのみ!がんばろー!ブヒヒヒヒッ!」
(ブヒヒヒヒッ!ってなんだよ!あー!これからどーなんだよ!?俺!なんだ!?無性に『秋葉原』とかいう場所にいきてぇ!)
☆彡
「ドュフフフフフ!おとーさーん!マリさんの彼氏の騎士でーす!よろしくティンコ!」
「……殺すぞ!」
それから数年……勅使河原愛之助……いや、『雨宮流星☆彡』を見つけ出したマーヴェラス……いや、騎士は娘のマリの彼氏として愛之助に近づいた。
『女には好かれる。男には嫌われない』……この主人公補正が騎士に残っていたのは幸いだった。
(でもやっぱり作者には主人公補正も関係ないみたいだな……)
「ドュフフフフフ!ドュフフフフフ!」
「あーー!なんでこんな奴と!」
「お父さん!失礼だよ!騎士に謝って!」
「ドュフフフフフ!ドュフフフフフ!」
(……どーすっかなぁ?この頑固親父にファンタジー小説……『異世界勇者マーヴェラス』の続きを書かせるのは難しいぞ)
☆彡
「『作家になろう』?」
「そう。異世界勇者マーヴェラスみたいな小説が山ほどある小説投稿サイトよ。ここで雨宮流星に小説を書かせるの」
「あっ、僕も知ってるそこ」
スカーレットとワーストは器用にスマホを操る。
(器用だなー。こいつら。俺はガラケーでいっぱいいっぱいなのに……)
「でもさー。おびき寄せたところでファンタジー小説なんて書くかなー?あの人超絶頑固よ?『プレイガール』のコラム読んだ?『ライトノベルをたたっ切る』だよぉ?」
「そこは……荒技を使う」
「荒技?」
「勅使河原マリを誘拐する……いくら頑固親父でも娘の命には代えられないでしょ?」
「ぷぎゃーー!」
(おそろしー事、考える女だなー!敵でなくてよかった……あれ?)
「あれー?もしかしてその誘拐の役って……僕がやるのんー?」
「当たり前じゃない!頼んだわよ騎士」
(うそだろー?)
『勅使河原マリ誘拐&雨宮流星☆彡復活』プロジェクトが始まった。