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6〜富田とメイドと烈様〜

はぁ…はぁ…


細い足…

(はぁはぁ…)

白い肌…

(汗だくだく…)

華奢な体にフリルのスカート…

(はぁはぁ汗だくだく…)




もっ…

ももももももももも!!!!!!


萌えでありますっ!!!


スパーキンっ!!!




―――――――――――


今日もいつも通り店を開けて、いつも通り接客勉強をしている。


この店に来る客は変なのばっかりだ…



慣れたけど。



カランカラン♪



「いらっしゃ…」

「ただ今戻りました!御主人様ァ!」


…でた!変態!!



メイド姿の美女が息を切らしながら内股で烈さんに駆け寄る。


年齢不詳の白い肌の華奢な女性…いや…メイドさん?


「あっ!つかえさん、いらっしゃいませ!」


烈さんは、のほほんとメイドに45度の角度のお辞儀をするが、


「違いますわ!御主人様…御主人様なのだから堂々となさって下さいっ…」



そりゃあ…接客業だからしょうがないだろう…



「ああ、私ごときが口出しして…お許し下さいっ!!申し訳ございませんっ!!」


烈さんはデカい体でオロオロして、


「でっ…でもっ…きょ…恐縮です」


お互い恐縮してるよ…



孝生さんは面白そ〜うに腕を組みながら


「烈、接客だからこそ、相手の悦ぶ事するべきだな」


『悦ぶ』って字使ってるよ…普通『喜ぶ』だろ…


私は小声で孝生さんに

「烈さんの行きつけのメイドカフェの方ですか?」


孝生さんは面白そ〜うに首を横に振り

「いや、ウチの客だ。冥土つかえっていう」


なぁんだ…


孝生さんは面白そ〜うに続けて

「確か…お前が入る数日前…来た客でな…」


―――――――――――


カランカラン♪


男と冥土つかえが来店して来た時だ。


その日、俺は烈の接客の自信無さを指摘してて、練習兼ねてカウンターに立たせた。



「つかえ…俺達の関係、もう終わりにしよう。」

「ど、どうしてですの!?…私、御主人様の奥様より貴方様を…」


「…俺には家族がいる。」



男、御主人様は無言で出て行ってしまった。


一人残されたつかえは…そりゃあ、もう…沈んでた。


「ええと…どっどおしよ…」

俺はオロオロする烈に

「1杯サービスしてやれ。」

と助言した。


烈は、相変わらず何もねぇ所でつまづいたり、吊り電球に頭スコーンってやってたり…正直見てられなかった。


それでも必死に烈は接客しようと、痛いデコさすりながら

「あの、気を落とさずに…」


「…」


「ええと…その、人生これからですよ。」


「…?」


「1杯サービスしますから…元気出してください…」


「……はいっ!御主人様っ!」


「ご?御主人様?」


―――――――――――


「あれ以来…烈にベタボレしちまってな…」


孝生さんは結局横で面白がってたのか…


「あの…御主人様…」

「はい?…あ、うう…な、なんだね?」


孝生さんに睨まれた烈さんはオロオロしながら御主人様を演じる。


「私、どうやら…他の殿方に好意を寄せられて居るようで…」


つかえさん、気まずそうに俯いてる。


「そ、それは…大変だねぇ!どんな人なのかね…」


しどろもどろな烈さんに孝生さんは


「こらぁ!烈!」


「(びくっ)な、まだなりきれて無いかなぁ…?御主人様…」


「そうじゃねぇ…あ、いやそうだ!カネカネうるせえ!お前はアホかぁ!?」


なんだそりゃ…


まあ…孝生さんの言いたい事は大体解るけど…


「お前はつかえの御主人様だろう!!」


「えええっ!?っ…!(びくっ)そ!そうでした!」


孝生さんに睨み付けられて認めたよ…


「私…ふしだらな女でしょうか…?」


いや、…何かがオカシイ…


そもそも…



…オカシイ事、説明するのが面倒になっちゃった。


孝生さんに任せよ…

多分…私の面倒な言いたい事を、上手くまとめて毒吐いてくれるから。


期待通り、孝生さんはカウンターに手をついて


「…そいつに誘惑でもしたのか?」


「いっ…いえっ!そんなこと…御主人様が居るのに…命かけてもなさいませんわ!!」


わっ…つかえさん、顔がマジだ…


烈さんはオロオロしながら


「…うーん…なんというか…うーん…」


だめだ…烈さん…


巨大な優柔不断の塊に見える。


見兼ねた孝生さんがつかえさんに


「じゃ、なんでフらないんだ?」


つかえさんは困ったように俯いて

「…何度も…何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も!!!!!!!断ったんです…でも…」


『何度も』の数かぞえると…よっぽどつかえさんの事愛しちゃってるんだなぁ…その執着男。


そこで孝生さんは烈さんに真顔(半分含み笑い)で指を指しながら


「烈!ここでお前に指令を与える!!つかえの代わりに御主人様として男を諦めさせろ!!」


「えっ!?えええっ!?」


私には…孝生さんが御主人様に適任だと思うんだけどな…つかえさんには。


つうか1つ。

重大な見落としをしていた。


孝生さんはつかえさんを心配してる訳じゃなくて…


心の底から面白がってる。




あえて言うまい。


「でっ…でもさぁ…」

「でももへちまもあるかぁ!!」


ヘチマ?


「そんなんだからお前はいい歳こいて童て…」

「孝生さん…ストップでお願いします!!!!」


思わず止めてしまった…我ながら冷静ではなかったなぁ…

ただ、これ以上孝生さんが喋ればこの話のジャンルが18歳以上のジャンルになってしまうだろうと判断したまでだ。


話?

ジャンル?


まあいいや。



「とにかく!明日、烈!お前はつかえの御主人様として責務をはたして来い!あかね、見張りな!」


「えっ!?なんで…」

口答えする度胸がないな…


「はいっ♪」


「えっ!?ええええええっ!?(びくっ)…きょ…恐縮です…」



「嬉しいですっ!御主人様ぁ!!」



ふふっ…私も割り〜と実は面白がってるけどね♪


「んで…その執着男はどこにいるんだ?」


つかえは周りを見渡して

「大体いつも私の背後にいらっしゃいますわ」



今、背後には私がいる。


「あかね…お前まさかプティ…」

「わ、私じゃないですよ!てゆうか!違いますわ!」


あ、移っちゃった。


これ以上言うなっ!


「あのさぁ…なんかさ…それって…つかえさん、尾行されてるんじゃあ…?(びくっ)あっ!その!御主人様が守りますっ!!…いや、守ってあげようかね!」



烈さん…それじゃあ…エラそうなだけに聞こえますよ…


…あ、エラそうでいいんだ。


もう訳わからん。


孝生さんは面白そ〜〜うに

「まぁ、これで烈も1歩前進だな!いつまでもシロート童…」

「やめてくださいっ!本当マジ!!」


私は必死に抵抗した。



というわけで明日、つかえさんのSPとして任務を遂行する事になった。

烈さん…

つかえさんを…守れるかなぁ?


つうか…私の居る意味は?



ま…いっか。




まぁ…これだけは断言できるだろう。


『類は友を執着の鬼にする。』



…まっ!違いなく変質者が登場するだろうな。


《次回へ続く》

☆富田の常連客リスト☆

冥土つかえ

年齢不詳。

昼間は大手企業のバリバリのキャリアウーマン。夜は昼間の仕事のストレスを晴らしているのか、趣味のメイド姿に変身!御主人様の烈様にベタボレ。

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