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2〜富田と虹色鬼畜道場〜

1話の続きです

カランカラン♪



ドアを開けるとそこは洗練された大人の空間だった。



あぁっ!

あれが噂のダーツ!!


あれがビリヤード!!


天井の…プロペラみたいな、くるくる回るヤツ…んーと…何ていうんだ?あれ…、換気扇?



そしてカウンターの真ん中にいる男と目が合う。


わあ…!!


すっごい美男子…!!


色白で…ちょっと華奢な長い指の綺麗な手…


ちょっとタレ目な細い奥二重な目元…


整った輪郭…



パーフェクトな美男子…



…ん!?


…誰かに似てる。

まさか!!

この人が…!?



ゴスッ!!


ガランガランガランガランガランガランガランガラン♪♪♪



烈さんがドアの天井に頭をぶつけて、ドアのベルが激しく打ち鳴らされる。


美男子はそれを見慣れてるようで、おでこを抑えてもがく烈さんを素通りし、私の顔をジッと見つめる。



えっ!?あっ…!!やっ…!!どっ…ドキドキするっ!!!


かなり痛そうにもがく烈さんが視界からぼやけていく。

視点は嫌でも美男子を見つめてしまう


見取れている…。


自然と顔を赤らめる私への彼の第1声は…



「ある意味すげぇな…その容姿。」




なっ…!?


今何と!?


イキナリ失礼なセリフをぶつけられて、ぽかーんとする私に構わず、烈さんに、


「烈!面接の小娘ってこいつか?」


小娘…!?

こいつ…!?


烈さんは涙目で、


「そうだよ…富田あかねさん…」


慌てて烈さんは私に、

「ゴメンネ…イキナリこんなんで…」


えっ…えーと…?


『構いませんよ♪』は流石に嘘になる…けど。


ということは…!!



美男子はその様子を腕を組みながら眺めている。


いや、正確には私の顔をジッと見つめている。


こっ…こわいよぅ…!!



「孝生…!?」



やっぱり孝生と呼ばれた美男子は人差し指を思いきり私の顔に指し、



「…ダイヤモンド。烈、そのこころは?」



そのこころは?



「…えっ?えーと…宝石?」


グワッと孝生さんの表情が鬼と変化する。

正確には美しい鬼の形相だ。

美男子は鬼の形相でも美男子だ…


「アホかぁ!!捻りも何もねぇじゃねーか!!何年俺とつるんでるんだ!?磨けば光るだろっ!!このスットコドッコイ!!!」


スットコドッコイも気になったが…


…磨けば光る?



「娘!」

「はっ!はいっ!!」


孝生さんは、

「今から俺の言う通りに制服着て来い!化粧しろっ!その昔懐かしい眼鏡を取れ!いいな!!」


「けっ…化粧品もってないです…」


「フツー、リップぐらい持ってるだろ!メンソレータムでもいいから!!」


それだと…化粧した内に入らないのでは…?

…なんて突っ込めそうな相手じゃない。



慌ててロッカールームに駆け込んだ。


その時…


カランカラン♪


ドアのベルが鳴り、お客さんが来たみたいだけど私は大して気にも止めなかった…


―――――――――――


うわあ…!!


短いスカート…可愛いって言うより大人の女って感じかな…


ちょっとムダ毛を処理し忘れてるのが気になったが、いつものダサ服から久々に離れて新鮮な気持ちになる。


「えへへ…♪」


富田あかねも一応女だった。

新しい服を着たら鏡の前でポーズとっちゃうさ。


そんな乙女な気分を次の瞬間一気にぶち壊す者が現われた!


バターン!!!

「!?」

「あなたね!!孝ぴょんが言ってたコ!!」



片足上げてルンルンポーズをとっていた私は一気に硬直する。


そして青ざめる。


なぜなら。

今勝手にドアを破壊しそうになった人物は…


頭が…アニマル柄が似合いそうなパンチパーマで…色はレインボー。

ちゃんと七色ある。赤…青…緑…黄…紫…橙…自然な明るい栗色…


最後の…なんでだ…?



ファッションは…まあ…何と言えば…うーと…


スパンコールが身体全面を覆ってて…眩しくて…?目が当てられない…かな。(いろんな意味で。)


しかも…!


うっすら青くジョリジョリ感のあるお肌。


ちょっぴり筋肉…いや、骨太なボディ。


「あたし、ニジコ。可愛いでしょ〜」


「は…はあ…」


決定的に突っ込みたい…


しかし、ニジコの迫力に押されてなにも言えない。


「あたし、メイクアップアーティストなのぉ。ニ〜ジコちゃ〜んって呼びなさい!」


命令形だ…

つうか何の物まねだ?

今の…。


「あの…私に何か…?」


「こらっ!何か聞く前に名前を呼びなさい!!」


よっぽど言わせたいみたいだ…


「にっ…ニ〜ジコちゃ〜ん…」


「なあにっ?(ドス茶色いセクシーボイス)」


「…。何か用ですか?」


ニジコはクネクネしながら

「あたし、ここの常連なのぉ。お目当ての孝ぴょんから頼まれてぇ。」


つうか…孝生さんはどうして…この人に容姿面で突っ込み入れないの!?


お客だからかもしれないけど…



うう…納得いかない…



ニジコはそんな私なんか気にもとめず、


「新しく入ったションベン娘に女を教えてこいって〜」


私は今、『女』よりも『個性の自由』というのを教えられてるよ…

ちょっと度のすぎてる…。


「さっ!眼鏡をとって。…あらあ?ちょっと可愛いじゃない!ちょっとだけ!」


突っ込む気にもならん…


「任せて!」



がしっ!!


腕を掴まれる。

「なあ〜にっ♪もう。怯えなくたっていいのよっ♪」


無理言うな!

私から見れば、今、ネオンの街で、悪趣味なレインボー熊に遭遇して、腕を掴まれて、生死を分かつ一瞬みたいな心境なんだぞ!



「すぐ終わらせてあげるからぁ〜」


私の一生を、か!?



「えっ!?ちょっ!やめてくだ…やめて…!……ヤメロッ!!きゃあああああああぁぁぁ!!!!!」




―――――――――――


ロッカールームから出て来たニジコと私に孝生さんと烈さんは腕を組み、うんうん頷いてる。



「でっきたわよぉ〜孝ぴょ〜ん♪どお?どお?かーわいいでしょお〜!!ちょっとだけ。」



孝生さんはニタニタしたがら

「おう、随分改善されたなぁ!富岡!」


私はもう自棄くそになって

「富田です!」


烈さんは驚いたように


「あの孝生に突っ込めるの…今まで、かすみさんと君だけだよ…!」


呑気だなぁ…本当。


孝生さんは

「ほら、そこに鏡あっから見てみろ」


私は鏡を見てびっくりした。



今まで眼鏡を外して自分の顔を見る機会が少なかったからか。

化粧の効果も手伝ってか、今まで思ってたより可愛い顔をしていたのだ。

自分で思うのもどうかだけど。


ムダ毛は仕方ないが以外と足も細い。

高いヒールのパンプスを履いているからだろう。


垢抜けた…!!


「すごいね〜別人だよっ」


烈さんもほんわか和む笑顔でニコニコしてる。


「バーに来てる時の最低限の身嗜みだ。あと…」


孝生さんはまた私をジッと見つめる


本当心臓に悪い…ぐらいドキドキする。


「口角を下げるな。これから客ショーバイするんだからな!ニコニコしてろ!接客業の基本だ!何があってもな!」


と、その時初めてニッコリしたのだ…


誰がって?

あの孝生さんが!!


すごく…優しい笑顔…

うあっ…眩しい…!!

家帰ったら即効マンガに描いてやるっ…!!



「そんじゃあ…えーと…富岡…なんつったっけ…?」


さっきまでの笑顔と雰囲気を見事に失礼なセリフで孝生さんはぶち壊してくれた。

「富田あかねですってば〜…」


半泣きでつぶやく。


孝生さんは、あんまり気にも止めなかったみたいに腕を組み、


「じゃあ、あかね。よろしくな」



あかね!?


私の事下の名前で呼ぶ人って…両親ぐらいしかいなかったから…


どっどっどっ…

ドキドキするっ!!

しかも笑顔で…!!



「この先、いろいろ、接客業の極意、バーの仕事、酒の知識、ブッ叩き込んでやっから覚悟しとけっ!!」



「…は、はい…」

今のが無ければなぁ…。

「これから3人で店をやってくんだね…デカいだけの僕で恐縮ですが…これからもよろしくお願いね!とみちゃん!」


「あ…はい。」


あっ…あなた、先輩でしょうが…。



「ちなみにあたしも常連よぉ♪これからはとみちゃんに来店したらメイクアップテクと、オンナの極意を教えてア・ゲ・ル♪」


「めっ…メイクだけで充分です…」


レインボーにされてたまるか!!



―――――――――――

こうして私はソロモンの新入りとして働く事になった。




多少…いやかなり不安だけど…。


そろそろ仕事だ。

頑張って行こうっ!


早く行かないと孝生さんにブッ殺されるからなぁ…


☆富田の常連客リスト☆

ニジコ

(本名:武佐井 権蔵)

メイクアップアーティスト(らしい)

レインボーなパンチヘアーとセクシーボイスがチャームポイント☆

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