#2・依頼
数ヵ月前、ある相談がきた。その日はなぜか嫌な予感がして、学校から帰るなりすぐにパソコンを開いた。
【自分は霊に狙われている!助けてほしい!】
案の定相談が来ていた。直ぐ様返事をする。
[どんなことがあった?]
【変な夢を見た】
返事のタイミングがよかった。相手がちょうど零のサイトを開いていたのだ。
[どんな夢?詳しく]
【あまり覚えていないけど、俺はどっかの校舎…たぶん小学校にいて、暗闇の中一人たたずんでいた。ふいに後ろから少女の啜り泣く声が聞こえた。俺は前を向いたまま
「誰だ!!!!!」
と叫んだ。辺りは静かなままで、ただ一つ、少女の啜り泣きだけが響いていた。突然、声が消えた。と、同時に辺りの風景が変わった。教室だった。机の大きさからして、低学年の教室だったと思う。俺は耳に神経を集中させた。やはり、少女の啜り泣く声が聞こえた。でも今度は聞こえる方角が違った。俺の、右下。視線を落とそうか、落とすまいか、迷った。次の瞬間、少女は言った。
『呪イ殺シテヤル』
と。】
[それで、どんな目にあった]
【部屋を荒らされたり、夢にでてきたり…彼女を連れていかれた】
部屋を荒らされた…夢にも…今回は少しやっかいそうだ。まぁどうであれ断るわけにはいかない。
[わかりました。除霊いたします。では、そちらの住所、本名を教えてください]
【…名前は藤岡康介です】
[では、捜査を始めます。…今から。]
相手の返事を待たずにパソコンを閉じた。あらかじめスーツは来ていたので、顔の左半分に仮面をつけ、マントを羽織り、教えてもらった場所へと急ぐ。場所はすぐわかった。なんせそいつは俺の親友だったから。