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闇の中にて僕は輝く。  作者: udakuda
第一章 人生は、急激に。
9/59

09 ☆  α β γ δ

語り部:姫野 真輝

 ストローも持って来てという要望にしぶしぶ答え、ドリンクバーのところに行き2つ持ってきた。1つは自分用だ。

 持って行くと変なおじさんはケータイを2つ、机の上に出していた。

 もう、サラダは来ている。

 「どーぞ。」

 ストローを 無愛想に渡す。

 「ありがとうね。」

 と妙ににこやかに受けとる。

 「いただきます。」

 と、フォークを手に取った。

 ら、目の前に男性の大きな手が!

 「ちょっと待っててね?」

 と今までにないくらいのしっぶーい声質、たとえるとモスグリーンの色をまとった少し恐怖を感じるような声。

 イメージ的には、顔に黒い影ができて、フハハハハッて笑ってる感じ。

 顔を上げると、いっつもと同じ顔。

 「ちょっと待っててね?」

 繰り返した。

 「はぁ……。」

 ?

 何故に?

 さっさと食べたいんだけど……

 ああ。

 …理由はすぐにわかった。

 「お待たせいたしました。取り皿です。」

 …なるほど。

 「ねぇ、ちょっとこれちょうだいよ〜。」

 はいはい。わかりました。

 「お好きなだけどうぞ。」

 そもそも、この料理は変なおじさんのお金でできているので僕の本質的な損害にはならない。

 「じゃあ、ありがとう!」

 おじさんは遠慮なしに菜っぱとエビを取っていき、半分以上奪っていった。

 「ありがとね〜。」

 気楽そうな返事。

 ……まあ、いっか。

 「いただきます。」

 再びフォークを握り、サラダを口に運ぶ。

 「おいしい…。」

 「そりゃよかった。」

 おじさんは取った半分以上食べている。

 こんなサラダ、家では食べれないもんな。このたっぷりかかったまろやかなドレッシング、プリプリのエビ。

 給食にも出ない。

 美味。

 「…………………。(うっとり中)」

 「……、まあいっか。」

 「はひ?はんはひひはひは?」

 「いや、何でもないよ。あとで話すから。」

 「ははひはひは。」

 口がいっぱいなので、うまくしゃべれない。

 そのあとは、話しかけてくることなく、落ち着いて食べた。



 ◇◆◇◆◇◆




 あとはショートケーキを残すのみとなったとき、おじさんが変な提案をしてきた。

 「ケータイ使える?」

 と。

 もちろん、家の関係上持っていない。友達も田舎だからか持っていない人もいる。

 「まぁ、少しなら……。」

 「じゃあ、これからこのメールで会話するよ?」

 ……何故?

 めんどいのに?

 机の上の僕の近くに机の上のケータイを置く。

 「電源はついてる。あと、アドレスはおじさんの1つしか入っていない。」

 「はあ。」

 手慣れないケータイを持って開ける。

 なんでわざわざメールを使うんだろう?

 待受画面はワンピースの全員(主要)が揃っているやつ。

 ……ワンピース好きなのかな?

 ……確か、このボタンだよな?

 封筒のマークのついてるボタンを押す。

 すると、受信ボックス、新規作成、新着受信と続いた。

 …多分、新規作成だろうと思って、開く。


 ピロリィーン♪


 と、場違いな音が鳴る。

 自分が持っているケータイから出ていると気づいたのは再び鳴り出すときだった。

 見ると、ケータイの上画面に新着メールと書いてある!

 Backと書いてあるボタンを押して待受画面まで戻ると、“メッセンジャー”と書いてあった。

 開いてみる。

 読んでみる。

 “僕の名前は桐壷っていうんだけどキミの名前は何?”

 軽ーい、メール。

 とりあえず、返信。

 “僕の名前は姫野。何の用で僕を誘ったの?”

 時間がかかったのは慣れてないので不可抗力だ。

 送信。

 ケータイに慣れようと思い、いろんなボタンを押した。

 ジャンジャランジャラーン!

 ……音がしたのは不可抗力だっ!くっ……。

 「……マナーモードはね、ここを押すんだよ?」

 見かねた桐壷が教えてくれた。

 しょうがない。しょうがないんだったら!だって、知らないもんケータイについてなんてさ。

 そもそも、なんでケータイなんか使ってんのさっ!

 ふんっ!

 いじけてる間に返信が来た。

 “まず、おじさんの言いたいことを言おうかな?”

 …………。

 空白?

 下にスクロールする。

 やっぱりない?

 有った。

 “姫野クン、キミ悪に成ってみない?”

 ……は?

 意味わかんないし。

 率直すぎ。

 ヤダよ。

 そんな意味不明なの。

 面倒くさいし。

 “ヤでる。”

 と打って、打ち間違えたのに気が付いて、

 “ヤです。”

 と打ち直した。

 そして、送信。

 ……いつの間にか、ショートケーキが目の前にあった。

 何時来たんだろう?

 でも、ケーキだ♪

 ケーキ、ケーキ♡

 ケーキなんて何年ぶりなんだろう?2〜3年は食べてない気がする。

 ついてる小さなフォークを手に取り、ケーキの先っぽのとんがっている部分を削り、刺し、口に。

 次の瞬間、生クリームの濃厚さと甘さが染み渡る。

 おいしい。

 美味しい。

 でら美味しい。

 Delicious !

 うまい。

 これじゃあすぐに食べちゃうよ。

 視界の上で何か動いた。

 でも、無視。

 近づいて来る。

 やっぱり、無視。

 いや、だって面倒だし。

 ぱこっ!

 頭をはたかれた。

 「痛っ!」

 顔を上げるとケータイを指差す。

 ケータイを見ろという意味だろう。

 開けてみると、びっしり文字が詰まっていた。

 ……一体、何分でこの文字量を打ったんだろう?

 スクロールしていく。

 “悪は悪と言っても、悪は悪ではない。たとえば、日曜日のレンジャーもののあれ。考え方を変えると、敵の方がいいとも言える。たとえば、世界征服を企む人も世界を平和にしたいと思ってする人なら、それは正義だと思う。だって、世界征服したら国VS国の争いがなくなる。世界征服の何がダメなの?全部が、1つになって協力すれば今の貧富の差やアフリカの食料不足、病気もあれば差別もなくなるかもよ?悪って実際悪く言われてるし、思われてるけど、実は悪くない。理由はあるんだろう?理由もなく生きている人はいくらでもいるだろう?その人に比べればいいはずだ。日本の教育は個性を求めている。じゃあ、悪の方がいいのじゃないか?キミらは善悪を常識で決めている。当たり前だよね。でも、その「常識」ってやつは何処から来ていると思う?古代ローマとかが起源らしいけど、それは根本が似てるだけ。今、「常識」を左右してるのは、国家権力。つまりは、政府や警察だね。政府はお偉いお偉い官僚さんだし、警察も国で働いてるお偉いさんだ。要するに、国民の血税を給料として貰っている。まぁ、それ自体は悪くないんだけど、問題は隠蔽体質なんだ。国の皮をえn被っていろんなことしてるんだよ?脱税もしかり、賄賂もしかり。自分たちは国民の味方ですと言いつつもアイツらは自分の儲かることしか考えてない。国会議員はもっとたちが悪い。大切な国の進路を決める時に、欠席はおろか居眠りまでしてるんだぞ?そして、給料だけは馬鹿高い。一人だけでも2400万円以上貰っている。もちろん年にだけど。でも、普通のサラリーマンの6倍だぞ?そのお金をホームレスにあげればいじゃないか。ホームレスは家がないからホームレスって呼ばれている。国が助けてやれば住む場所ができて、ホームレスじゃなくなる。ホームレスじゃなくなれば働く場所が見つかる。そうなれば、国の力は上がりお金はたくさん入って来る。だったら!そのお金を子供に投資して、子供たちに栄えある未来をあげようではないか。話はずれたけど、正義は片寄った方ばかりから見ると、ダメなんだという話をしたかったんだ。”

 …長っ!

 右上には“1754”と書いてあった。一文字で2増えるから、合計文字数は877文字となる。

 ……400字詰め原稿用紙2枚ぶん!?

 んなもん、ケータイで読ませるなっ!

 目ぇ、でら疲れたわっ!

 そもそも、何を話してたっけ?

 話じゃねえな。メールだったな。

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