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闇の中にて僕は輝く。  作者: udakuda
第三章 冒険は、始まらず。
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45 ☆  ーーγ δ

今回と次回はなんとなく短編形式……だと思います。


……書き溜めが少なくなってきた……やべぇ……

#1 変態なアルサルは。





 マキナ特製のピザに舌鼓を打っていたら、もう9時を過ぎていた。

 いつもは寝ている時刻だけど、今日は昼寝ならぬ夜寝をしてしまったので、まだ眠くない。

 どうしよう。

 灯りは金がかかるからそんなに灯してられないし、かといって運動はこの真っ暗闇では無理だろうな。

 「とりあえず、体を拭こうか……」

 風呂はなかったみたいなので。

 「ぬ、拭ってあげようか……?」

 ハァハァと荒い息が後ろから聞こえる。

 「結構ですっ!」

 くらうちんぐすたーと並みではないにしても、なかなか早いスピードで家を出て、ドアを閉めた。

 家の陰に隠れてそぉーっと覗いてみてもアルサルは居なかった。

 ふぅ、良かった……


 どうしよう、アルサルとやってける自信がない……!

 ……ま、大丈夫か。

 いかのおすしで頑張れば。

 いか!

 知らない人についていか(・・)ない


 の!

 他人の車に()らない


 お!

 ()おごえを出す


 す!

 ()ぐ逃げる


 し!

 何かあったらすぐ()らせる


 はっはっは。

 よく知っているだろう、誉めるがよい。

 ……ふぅ。

 キャラが変わりまくってやだね、これ。

 もともとは、僕のちょっとした黒歴史みたいなのを繰り返さないためなんだけど。……守れているかな?


 ……………………グスン。

 ………………………………………………………………………………………………。





 深呼吸、深呼吸。


 ……さて、体を拭こうかって……あっ、タオルがない。

 …………戻るか。




 ……狂犬病みたいにヨダレを垂らしながらアルサルが襲いかかってきたのは秘密にしておこう。









#2 洗濯は手作業か?





 どうしよう、これ。

 体を拭いた、後のタオル。

 あと、今まで着ていた服。

 洗濯、どこでするんだ?

 「俺に任せるといいよ。」

 「……遠慮しとく。」

 何されるかわからないからだ。

 ああ、宿屋とか、マキナの家だったら、洗濯してくれるのになぁ。

 「ほら、洗濯用の魔具があるんだけど……。」

 道具袋から出した、そのまんま“洗濯機”なものを片手で持ち上げていた。

 「んな……バカな。」

 お前の道具袋は四次〇ポケットか! や、どうしてそんなに重いやつを軽々と持てるのか! とかはもういい。諦めた。

 だが……

 「これがどうかした?」

 「何でそれが“透柴”ー!」

 まるで、日本の、僕の家にあったような洗濯機。しかも、二層式。

 メーカー名が“東〇”じゃなくて“透柴”。

 なんじゃそら!

 「や、だって洗濯できる魔具なんてそんなにないんだ。べつにトオシバだろうがトウシバだろうがいいだろ?」

 「良くない、良くない! 何で僕の世界の洗濯機があるんだよ!」

 「……マキ。これは多分……多分マキの言う洗濯機とは違うやつなんだ。ちょっと服を脱いで入れてみて。」

 「あっ……ごめん。……ちょっと興奮してた。」

 「いいよ、いいよ、ほら早く。」

 急かすのでそこに置いてあった錆び臭く赤っぽいエプロンを渡した。

 予想外に匂いは嗅いでいなかった。

 「ぐるぐるばー。」

 そう言ったのはその箱の中に血まみれのエプロンを入れた後だった。

 なにそれ、あんたアホ? と思ったがそうではないみたい。

 「ほら、キレイになったよ。」

 箱から出された白いエプロンはあくまでも白かった。

 「匂いもない!」

 匂いも嗅いでいた。



 ……結局嗅ぐのかよ!

 はりせんが欲しかったけどなかったので、エプロンを奪い返した。

 「この、バカアルサルー!」









#3 人体の魔力とは?





 うーん、うあー!

 「暇っ!」

 そう、暇なのだ。

 暗くして、ベッドに入ったはいいが眠れない。

 暇だ。

 考えることもない。


 ゴロンと寝返りをうつ。

 わしゃわしゃと布団が音を立てる。


 ゴロンゴロンゴロン。

 わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ。


 「眠れないのかい?」

 「あっ、うん……」

 「ま、しょうがないさ。大分寝てたもんな。明日は森の中に入っていくから体を充分休めとかないとって言いたいとこだが。あっ、そうだ。これ、渡しとくよ。」

 アルサルの枕元のランタンをつけて、道具袋を漁る。

 ほらこれ、といいながら渡してきたのは杖だった。

 薄暗くてよく見えないけど、4つの宝石がてっぺんの部分についている。握ってみると手にしっくりと馴染む気がした。

 「……いいの? これ。高そうだけど……」

 キラキラ宝石が光っててキレイだ。

 「ん、大丈夫。これ、貰い物だから。」

 「貰い物って、誰から!?」

 こんなん只でくれる人なんているのか?


 「……道行く人?」

 「だー!」

 驚きすぎてベッドから転げ落ちた。

 「ま、貰い物だから気にせずに使ってよ。その杖があれば水以外の魔法も楽々と使えるからさ。」

 「……どういう意味?」

 「……あれ、言ってなかったっけ。マキに渡したあれ、水属性特化型だから。まさか全属性が使えるとはいっても得手不得手があると思ってたからね。ほら、これでマキも魔法が全部簡単に使えるようになるよ。」

 「え? 普通に使えてたけど……?」

 「属性に合わないのを使うとMP消費量が多くなるんだ。だから、明日からはその杖を装備した方がいいと思うんだ。」

 「ん、でも……。MPが切れたら只の木偶の坊でしょ? それはやっぱりやだなって思ったり。だから、明日もこの剣で行こうかなって、ね。」

 「わかった。マキがそう言うんだったら俺はなにも言わないよ。じゃあ、これは教えとこうか。」

 「……何?」

 「MPを増やす方法……というか無駄をなくす方法。」

 「何!?」

 知りたい!

 MP切れで戦闘不能はごめんだよ!

 「まず、こっちにおいで。そしてひざの上に座って?」

 …………。

 渋い顔をするが、座らないと教えてくれなさそうだったから仕方がないので座る、座った。

 「じゃあ、教えるよ。まず、手のひらにいや、自分の体の中にある精神のチカラを感じる。」


 体の奥底、生物学的に言うとすい臓の辺りに何かが貯まっている感じがする。

 ほこほこと温かい。


 「感じたかい?」

 「うん。」

 ムフー、ムフーと鼻息が首筋にかかる。

 鳥肌が立つのがわかる。

 「じゃあ、それを手のひらに集めて。」


 血流に乗って手のひらに出てくるのをイメージ。

 手のひらに何かが集まる感覚。


 「集めたよ。」

 「うん。じゃあ、属性……何にしようかな、風か。風の属性を与えて外に出す。と言っても魔法は発動させちゃダメだ。発動はさせないまま、出すんだ。」


 真剣な顔で言われたので真剣にしてみる。や、状況は真剣とか言えない状況だけど。

 風、風ねぇ。

 流れていくような、軽いような、爽やかなような、涼しいような、気まぐれなようなイメージを脳から手のひらに集めていく。

 それらが何となく混じったなぁと思ったとき、それを出した。

 手の中からプルンとぷよぷよしたものが出てきた感覚。


 「すごいな、マキ。」

 「うわぁ…………」

 自分の手のひらから緑の光源が現れた。

 それは3個ぐらい現れて、僕の手のひらの上を浮かんでいた。

 「それが、魔力だ。」

 「これが……魔力……?」

 「摂取すれば、体内に取り込むこともできるぞ。だが、その用途は風属性の魔法に決まっているがな。」


 「ありがとう!」


 アルサルのひざの上から降りて、玄関へ向かう。

 後ろから「早く寝るんだぞー。」と注意する声が聞こえた。

 あと、移動をするような音。

 「わかったー!」

 そういいながらドアを閉めて、辺りを見渡す。



 虫の声だろうか、心地の良い音が耳を刺激する。

 サワッと夜風が吹いた。昼間とは違ってよるは涼しいみたい。


 「……プラネタリウムだぁ…………」

 空を見上げるとうっすらと所々雲がかかっているだけで、本当にプラネタリウムみたいな星空が広がっていた。


 「さてと。」

 家から少し離れて立つ。

 さっき言われたことを反芻して、

 「……よし。」

 緑の光源体を作ることに成功した。

 青、赤、オレンジ。

 それぞれ、水、火、土だ。

 それも作ることができた。

 まぶしいので、5〜6個残してあとは食べる。


 美味しくはないが、不味くもない。けれど、チカラが湧いて来るような味だった。

 手のひらの上に浮いている光球は、自分の意思に合わせて動いている。

 「キレイだ……」



挿絵(By みてみん)



 それを眺めるのはふょからそろそろ寝た方がいいんじゃないと言われるまで止めれなかった。


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