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闇の中にて僕は輝く。  作者: udakuda
第三章 冒険は、始まらず。
51/59

44 ☆  ーーγ δ

 ふぅ。疲れた。

 導きの石を服の中から取り出す。

 魔力を流すと、青白いホログラムの画面が浮かび上がってきた。

 ふょは今はアルサルの所にいるはずだ。



 マキ ヒメノ


 Lv  10

 職業  ???


 HP  104

 MP  226


 素早さ 25

 攻撃  64

 防御  10

 幸運  36

 魔法  504

 賢さ  62


 スキル 【全属性魔法(オールマジック)

     【尋常でない育毛】

     【パン屋の息子】 

     【魔王への道端】


 状態  軽い疲労


 装備  フリルのカチューシャ

     フリルのエプロン

     皮のブーツ

     水属性のショートソード

     導きの石




 おっ、レベルが1上がった!

 なんか、戦いに慣れたな〜と思う。

 剣はまだまだだけど魔法は中々良かったかな。

 自分の精神力次第でなんでもできるから。

 でも、1つだけ文句を言うとしたら、“体力を回復(ヒール)”しようとするとびしょ濡れになること。

 あと、敵も回復すること。

 あと、〈ファイア〉を使うと自分も焦げること。

 あと、アルサルみたいに〈ファイア・ボール〉が使えないこと。

 あと、全体的に制御があまり出来ないこと。

 ……ありゃ。

 1つだけじゃなかったや。

 「マキー! 大丈夫だったかー?」

 「うん、大丈夫だよ!」

 アルサルは周囲の警戒から戻ってきた。


 「マキ、頑張ったな。」

 頭を撫でながらそう言う。

 「え? 本当? やったぁ!」

 褒められて、なんか嬉しい。

 「でも、もうちょっと強くなろうな。」

 「はい……」


 ガーン……

 ま、しょうがないような気はするんだけどさ。

 ヨワヨワの獣が5匹集まると、勝てないとか。

 くっ、やーね。

 筋トレしなかんね。

 「……そろそろ、夕飯にするか。」

 「やったぁ!」

 今日は、ピザー!ピザ、ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザー!

 イェーイ!

 「じゃ、マキ。これ、組み立てて。」

 出したのは、テント……?

 「どうやって、組み立てるの……?」

 「あっ、知らない?」

 「うん。」

 「じゃあ、そこで待ってて。」

 「わかった。」



 待ってて、と言われたので、待っていた。

 アルサルは、近くをぐるぐる回っていた。

 何してるんだろ。




 ◇◆◇◆◇◆




 「簡易ハウスの作り方はこうだよ。」

 手取り足取り教えてもらった。

 「へー、こうなってるんだー。」

 それは、簡単な仕組みで、折り畳まれているそれを広げて上に持ち上げて中に入っている骨組みを組み合わせる。

 そうしたら、おうちの完成でーす♪

 そう、ぶよぶよべこべこしていない、しっかりした家になった。

 「な、何でこんなのが出来たんですか? 元々はぶよぶよの布だったのに。」

 「あー、これは、魔具なんだよ。」

 「ま・ぐ?」

 「ああ。魔力を通すと何かが起こるやつなんだな。これは家型魔具といって、魔力を通すと獣は通れないほど堅くなる簡易ハウス。でも、街中では使えないのは欠点だな。」

 「さすが、魔法! やっぱり違うねぇ……」

 「あ、そういやマキって魔法がない世界から来たんだっけ。」

 「あっ。……う、うん……」

 「あっ、マキ! ……ごめんね! 嫌なこと思い出させちゃって……」

 「……ううん、大丈夫! それより、これ(・・)、高かったんでしょ?」

 「ん。まあね。でも、マキとのスウィートタイムを保つためには必要だと思うぞ。」

 「やめろっ!」

 襲いかかってきたアルサルを蹴るが、残念ながら失敗した。

 前はいわゆるビギナーズラックというやつか。

 「このー、このこのこのこのこのこのこのこのこのこのこのこのー!」

 髪をわしゃわしゃされた。

 今のところ、それだけ。

 アルサルの体温がほんわかと感じられる。

 ああ、小さいころみたいだ。

 お母さんに抱かれて寝たときとか、ほわんと暖かい感覚があった。

 何故か、落ち着く。

 「ふにゅ〜〜……」

 頭の底から何かプラスチックっぽいのっぺりとした白い塊が出てきた。

 その塊は僕の脳みそを侵略していって……

 「お父さ……ん……ムニャ……」




 ◇◆◇◆◇◆




 グー、キュルルルル。

 地獄の底まで響いていきそうな音が出た。

 「ムニャ…………ふわー。……あー、お腹空いた。」

 いまだに暖かい感触があるのに悪寒を感じながら目を開ける。

 真っ黒。

 横に目を動かすと、肌色の棒が僕の背に繋がっていた。

 ふむ。

 目を閉じて皮膚の感覚を頼りにどうなっているか感じとる。



 !!!

 見えた。

 ズバリ、腕が背中に回されている。

 頭に不自然な重さを感じる。

 そして――――ふしゅふしゅと息がかかっている!!

 「だぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

 ちゃぶ台返しの要領でアルサルを引き剥がす。

 だーっ!

 「何やってんだ! アルサル! 僕は子供じゃないって何度言ったらわかるんだ!!!」

 キョトンとして、こうのたまった。

 「えっ、だからほら。戦うときは子供扱いしてないだろ? それじゃ不十分か?」

 「不十分もなにも! 僕は子供じゃない!」

 声を高々に張り上げて言おう。僕は子供じゃない!

 「14歳だろ?」

 「そうだけど!」

 「じゃ、15歳になってから言うんだな。」

 「やだ。子供扱いするな!」

 「いんや、子供だね。髪の生え際の匂い、子供の匂いだったもんね。それで大人を名乗るなんて、なんておこがましいんだ!」

 逆ギレしたー……


 「……っ……こ……この変態っ!」

 「変態じゃない。小さい男の子と女の子が好きなんだ!!」

 「それが変態なんだ馬鹿野郎!」

 「俺は断じて変態でない、アホ野郎。」

 「お前が変……ってなにそれ、アホ野郎って。」

 「アホだから。」

 「なっ、ななななななにおう! 僕はアホじゃないぞ!」

 「まあ。俺はたわけ野郎なんだけどな。」

 「たわけ野郎って…………ククッ。」

 「だから、アホ野郎って何だよ! クッ、フフフ、アハハハハハハッ!」

 「「アハハハハハハハハハハハハッ!」」




 「楽しいね。」

 「ああ、楽しいな。」

 笑っていたら、なんだか楽しくなっていた。


 グー、キュルルルル……

 「あっ。」

 「うん。お腹が空いたな。マキのお腹の言う通りだ。」

 「そうだね! 今日はピザだー!」


 なんにもなかった家型魔具にアルサルが色々とものを置いていく。

 ベッド、テーブル、ベッド、ランタン、皿、ラグ、マグカップ……何あれ。まあ、いい。……エトセトラ。

 色んなものをひょいひょい出していった。

 あれは……小麦粉……?

 最後にまだほんのり温かいピザを出した。

 「さあ、食べるか。」

 「うん!」

 「成長期だから、たくさん食べなきゃな。」

 アルサルが僕の分として示した量は、全体の2/3だった。

 「ゃや、そんなに食べれないって!」

 僕が示したのは、全体の2/5。

 「だって、それだけでもお腹いっぱいになるし!」

 「駄目だ。」

 あーたら、こーたら言い合った結果、半分ずっこという結論で落ち着いた。

 この話し合いに30分かかったことを追記しておく。


あれ、全く進まない……。


ストックもかなりヤバイ……

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