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闇の中にて僕は輝く。  作者: udakuda
第三章 冒険は、始まらず。
48/59

41 ☆  ーーγ δ

……消えた分はどうしましょう。

 「……、あれはなんだったのかな?」

 アルサルに尋ねる。

 「さあ?」

 気の抜けた返事が返ってきた。

 「今日は晴れてるねー。」

 「そうだなー。」

 「どこ向かってんのー?」

 「道具屋ー。」

 「道具屋かあー。」

 「そうだなー。」

 「どんなんがー?」

 「んー?」

 「売ってんのー?」

 「ああー。そうだなー。毒消しとかー、ポーションとかー。」

 「へー。」


 とかとか気の抜けたやり取りをしている間に道具屋についた。

 「買ってくるから、待っといてー。」

 「あーい。」

 結構立派な建物に入っていった。

 ふーん。

 ここが道具屋かあー。

 なんだかなー。

 つかれたなー。




 ◇◆◇◆◇◆




 ほう。

 なんだか、視線が身にひしひしと感じるよ。

 「おまたせー!」

 アルサルが駆け寄って来た。

 「待たせたなあ。」

 結構待ったような気がするよ。

 「ゴメン、ゴメン。じゃ、行こっか。」

 「うん!」

 「それとも?」

 

 「やだね!」

 だんだんこいつの性格がわかってきた。

 「いーいーじゃんかー!」

 「やだね!」


 断固拒否。




 ◇◆◇◆◇◆




 やって来ました、草原です!

 なんかこれ、超ファンタジック!

 草原には獣と魔物がいるそうで、魔物はレベルが低いのでそれを狩るように、と。

 で、さっさく出てきましたよ!

 ぷるっぷるしてて、みどり色で目と口しかついていない……


 スライムが。


 今回は、魔法の強さを確認するためだから、剣はあまり使わないように。

 とも、言われた。

 ……一番威力が強そうなのは、〈フレア〉か……

 やるか。

 「アルサルー! やるよー!」

 「わかったぞー!」

 周りを警戒していたアルサルがこっちを向く。

 目が合う。

 ……だから、頬を赤らめるなっ!

 「いくよー、〈フレ…〉ぁ……」

 体が、支えられなくなって、後ろに倒れる。

 体内から、なにか大切なものが出ていくような気がする。

 視界は黒くなって……




 ◇◆◇◆◇◆




 「おっ、気がついたか。」

 「あっ、ぁ……」

 アルサルどうしたの? と聞こうとしたが、声が出なかった。

 「ほら、水飲め。水。」

 どこから出したのか、コップに入ったそれは、きれいに澄んでいた。

 「あ、あにが……」

 ケホッとせいてから、水を受けとり、飲んだ。

 その、冷たい水が喉をゆったりと潤した。

 あーあーと発声練習してから。

 「あ、ありがとう……」

 と言った。

 多分、僕の顔は真っ赤だろう。

 現に、顔に血が集まって、ほてっている感じがする。

 「大丈夫だったか?」

 アルサルの心配そうな顔が見える。

 「うん、大丈夫だよ。」

 「なら、良かった。……MP切れはちょっとビビったな。」

 「…………MP切れ? 僕、MP切れで倒れたの?」

 「ああ。ま、一つの魔法でMP切れになるのはめずらしいんだが。」

 「何でMP切れで倒れるの?」

 「ん? そんなことも知らないのか?」

 「う、うん……」

 「まあ、いいか。MPはマインドポイントという意味だ。つまりは、精神的な力。それが0になると、精神が活動停止して、気絶するって訳だ。」

 「ふーん。なるほど。」

 僕が知っていた、RPGの常識とは違うなぁ。

 「で、君は何を使ったんだ?」

 キラキラした目をして見つめてくる。

 「ふ、フレア?」

 「フレアッ!?」

 目が大きく見開かれて、とってもビックリしている様子。

 そんなにすごいことなのかな?

 はてなに合わせて頭も傾く。

 「フレア?」

 「フレア。」

 「ファイナルアンサー?」

 「ファイナルアンサー。」

 「ファイナンシャルプランナー?」

 「資金を運用してどうするよ。」

 「マジで?」

 「うん。」

 「最上級魔法の使い手……!」

 「? 最上級? ……なんか、強そうだね。」

 「つ、強いも何も、それが使えるのは宮廷魔法使いのお偉いさんだけなんだよ!?」

 「宮廷魔法使いって何人ぐらいいるの?」

 「……大体、30人ぐらいだけど。でも! 今代で使えるのは2人くらいらしいけど! すごいことだよ! マキ! 本当に……そういや、君、どこで生まれたんだ?」

 「えーっと……」

 あっ、この世界出身って言ってなかったんだっけ。

 「あのーー……」


 「そのーー……」

 「どうしたんだい?」

 「あうー。……えーと、僕を見捨てないでね?」

 もしかしたら、そのままこの草原に置いていかれるんじゃないか、という可能性もある。

 「勿論だ! 君を見捨てるぐらいだったら、死んだ方がマシさ。」

 ……良かった。死んだ方がマシというのは言い過ぎだと思うけど。

 「僕……、異世界から来たんだ。」


 Arthur(そこには) fell(沈黙が) silent(流れた)












 「なーんだ。そんなことかー。」

 気楽に笑いながらそう言った。

 「この第3691世界は2割ぐらいが異世界に行ったことがあるんだよ? マキの世界はどこ?」

 「……わかんないけど、EARTH?」

 「ふーん。聞いたことはないな。きっと、遠いんだろうね。」

 「遠いって?」

 「距離が離れていると、燃料費がかかるんだよ。」

 「なるほどね。」

 燃料費。ロケットでもあるのだろうか。

 「それか……鎖国をしていることもあるかもな。まあ、わかんないけど。」

 よっこらせっと、と言って立ち上がった。

 「マキの導きの石を見てごらん? レベルが上がってるはずだよ。」

 言うやいなや、背中に吊ってあった鞘から剣を抜き、走り出した。

 一見何の変哲もない草むらに剣を滑らせる。

 すると、「く゛き゛や゛ゃ゛ー゛ー゛ー゛」と断末魔の叫びが聞こえてきた。

 そして、そこから大きな光が立ち上る。

 アルサルは一瞬だけ、目を伏せているような気がした。

 ……気のせいか。

 そして、アルサルはまた走り始め、同じように剣を振っていった。


 すごいなぁ……


 そうとしか考えられなかった。

 人間が為せる技なのか? あれはきっと勇者しか出来ない動作じゃないのか?

 おこがましけど、さっきの小剣でまねをしてみた。

 難しい。

 後で教えてもらおうかな?

 諦めて、導きの石に精神的な何かを流す。最近、MPが何かわかってきた気がする。……といっても、MP自体が最近手に入れたものだけど。

 「呼ばれず飛び出てジャジャジャジャーン! ご用件はありますかー?」

 「や、特にない。」

 ふょを無視して、導きの石に目を通す。




 マキ・ヒメノ


 Lv  9

 職業  ???


 HP  104

 MP  226


 素早さ 25

 攻撃  64

 防御  10

 幸運  36

 魔法  504

 賢さ  62


 スキル 【全属性魔法(オールマジック)

     【尋常でない育毛】

     【パン屋の息子】 

     【魔王への道端】


 状態  特になし


 装備  フリルのカチューシャ

     フリルのエプロン

     皮のブーツ

     水属性のショートソード

     導きの石



 名前が外国風になっとる。

 レベルは……9か。

 職業は……分からないっと。

 をっ、HPは8から104に上がったぜー!HPが8ってありえないよな。

 魔法が異様に高いのは置いといて、何だこの、【魔王への道端】って!

 【魔王への道端】って何だ? 【魔王への道端】って何だー!

 重要だから、2回言いました。

 「【魔王への道端】はですね、」

 ビクッ

 「……大丈夫ですか?」

 「な、何を言っているんだい?」

 「いえ、少し背中が少し揺れたような気がしまして。」

 「きっ、気のせい気のせい! それより、さっきの続きは!?」

 「ふぅん?」

 訝しい目をしている。

 「ま、えーっと、【魔王への道端】でしたっけ。それは、勇者を倒すことで得るスキルですね。効果は全能力微アップと魔物に好かれる、ですね。」

 「な、なんかすごいスキルだな!!」

 「ま、このスキルは勇者を押し倒す(・・・・)ことでも手に入れることが出来ますからね。」

 「あはは………。それは嫌なスキルだね…………。」


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