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闇の中にて僕は輝く。  作者: udakuda
第三章 冒険は、始まらず。
47/59

40 ☆  ーーγ δ

前話の復旧はテスト終了後、“魔導師は落ちこぼれ”が終わりしだい始めたいと思います。

〈前回のあらすじ〉



 次の日。


 朝、気持ちよく目覚めた僕達は、まず武器を買いに武器屋へ行った。

 そして、50万ルナの“水属性の小剣”なるものを買った。いや、買って貰った。

 アルサルが、チーム名を「そこのけそこのけ勇者が通る」にしようと言ったので、何でだよオイとツッコミをしたら、打ち所が悪くて血が出てきた。

 ぺしぺしと叩いても反応なし。なので、前世界の常識通り人工呼吸をしたところ――――!




 ☆☆☆☆☆☆




 えーっと、さあ。

 公衆の面前で、剣の鞘でアルサルを殴り(ツッコミ)熱烈なキッス(人工呼吸)をしたんだよ。

 ああ。

 だから、みんなは僕らが恋人(ホモ)だと勘違いしたんだ。

 僕には、恋人(乃子)がいるというのに。

 空気が、ピリッとしている。

 つーか、視線が痛い。


 そして、アルサル!

 嬉しそうな顔すんなっ!

 「マキ、ありがとね。俺を認めてくれたんだね。」

 「認めてねーし! そして、泣くなっ!」

 抱きついて来ようとするアルサルの腹を蹴る。

 「照れているんだね!? 大丈夫! 俺は何でも受け入れるよ!」

 「ちょっ、止めろって! ここがどこかわかってんのかー!」

 頬を殴っても、近づいてくる。

 変態かっ! と言ったら、変態だ! と返ってきた。

 もー、我慢できん。

 剣を使おうか……と思ったら、向こうの方に転がっていた。

 ちっ、使えねーな。

 どうしよう、こいつ。

 彼処とか此処とか其処とか触ってんですけど。

 ……魔法か。

 ふょには頼めないもんな。


 魔法と頭に浮かべると、使える魔法が目の前に浮かび上がってきた。

 〈ファイア〉、〈ウォーター〉、〈ブリーズ〉、〈クレイ〉、だ。

 〈クレイ〉ってなんだ?

 〈ファイア〉……はパス。僕も燃える。

 〈ブリーズ〉もどんな威力か分からない。もしかしたら、僕ごと飛ばされるかしれない。

 ……〈ウォーター〉しかないな。


 すぅーーー、息を吸う。

 あまり、濡れたくないので、思いっきり蹴って、

 「〈ウォーター〉!!」


 バッシャーンと、空から大量の水が降ってきた。


 「ぶげらっ!」

 と言いながら、水の直撃を受けている。

 水の落下が終わったあと、立って辺りを見渡すと、水溜まりが直径10メートルに渡って広がっていた。


 「ワオ……」

 「何やってんだかー。びしょびしょだぞー。」

 水の中から、アルサルが起き出してくる。

 言っちゃ悪いが、ゾンビのよう。

 「こんなとこでこんなことしちゃ、駄目だぞ。」

 おでこを指で押した。

 ああ。接近を許した、僕が悪かった。

 「わ、わかってるよ!」

 って、ててていうかさ、そろそろ視線がきついんだ。

 「……ふむ。これが“つんでれ”と言うやつか?」

 「違うわっ!」

 おとぼけにも限度があるっつーの。

 それから、抱きつくのはやめろ。

 濡れるだろ!

 「公衆の面前であんなことをする、君が悪いんだぞ?」

 彼処とか其処とか触ってんですけど。

 「止めれ!」

 突き飛ばす。

 泥々しい音をあげて、アルサルはしりもちをついた。

 「…………。」

 一瞬の静寂。

 アルサルの顔が哀しそうに歪んでいるようにみえた。

 「そうだね。じゃ、マキ。道具屋いこっか。急がなきゃいけないしな。」

 なんだか、覇気のない声。

 「で、でも……」

 「ん? なんだい?」

 ごめんなさいとか、痛くなかったかとか、言いたいことはたくさん有るけど、でも、それは何時でも言える。

 し、またあんなことになったら、こっちが困る。

 「これ、片付けなくて、いいの?」

 大きな水溜まりは土を溶かし、泥水にする。

 〈ファイア〉とか、……〈フレイム〉、〈フレア〉とかで、乾かせばいいんじゃないか?。

 あれ、〈フレイム〉〈フレア〉は、さっきなかったのに?

 何でだろ?

 まあ、いっか。



 「いいよ。そのままでいい。」

 何故か――その声は冷たく聞こえた。

 「お、怒ってる?」

 「怒ってないよ?」

 いんや、怒ってるな。

 「僕、わかるもん。」

 「知らんけど、早くいかなきゃ駄目だ! 速く!」

 「後始末しなくても、いいの?」

 「ああ。いくぞ!!」

 「で、でもっ!!」



 「ちっ。」

 舌打ちをした。

 「来たか。」

 目線の方向に目を向けると、ムキムキマッチョなおじいさんが。

 異様なまでにニッコリしていました。

 「ちょっと、いいかの?」

 目元は笑っても、口元は笑っていない。

 背景に猛獣を背負っているように、威圧感がある。

 「YesかNoか。」

 背中にだらだらと汗が流れる。

 こいつは、ヤバイ。

 なんか、ヤバイ。

 「は、はい……。」

 声があったので振り返ってみると、アルサルも青ざめた顔で答えていた。

 な、何で〜?

 と言う顔をしてみたが、

 お前のせいだろ、バカ。

 と言う、厳しい顔をされた。



 昔ー昔ー、浦島はー、助けた亀にー、連れられてー、竜宮城にー、行って見ればー、目ーにもかけない、美しさー。

 僕は今、何処に向かっているのだろうかなー。

 ……逃げちゃ駄目?




 ◇◆◇◆◇◆




 「で、君は何をしていたんだい?」

 「…………。」

 なんか、ムダに豪華なこの部屋。そして、持ってこられた紅茶っぽいのもおいしい。

 で、僕はムキムキマッチョご老体ににらまれている。

 「何で、街中で攻撃魔法を使ったんだ?」

 いや、ここは街じゃないでしょうと言いたかった。が、

 「…………。」

 沈黙を保った。

 ほら、沈黙は金なりって言うじゃな〜い? でも、悪い時もありますから〜!

 残念!! と言う声とベーンという三味線(?)の音。

 あっ、なんとか侍が出てきたー。

 だからって、なんだ?

 そもそも、何でここにきたんだっけ?

 アルサルに水魔法で攻撃する前に、抱きつかれて、原因は人工呼吸で、それをした理由は、ツッコミをしたから。

 じゃ何で、僕は、ツッコミをしたんだろ。

 うー。

 うーあー。

 うーあーうー。

 あれ?

 覚えてないや。

 何で、ツッコミしたんだっけ?

 あー、わすれた。

 何でだっけー?

 理由を聞こうとしても、アルサルはガチガチに固まっていて、聞けそうにないしムキムキマッチョに聞くのは、 筋違いだ。

 あー、ふょがおるわー。

 ふょに聞こっと。

 「ふょー、おいでー。」

 僕の導きの石を握って、言った。

 「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! ふょですよー。ご用件はなんでしょうか?」

 僕は気がついていなかったが、ムキムキマッチョのおじいさんと|執事さん(空気)とアルサルはこちらに目を向けていたらしい。

 「僕って何で、ツッコミしたんだっけ?」

 ふょに聞いた。

 「『俺らのパーティーを“そこのけそこのけ勇者が通る”と名前をつけよう』と言ったことでしょうか?」

 頭の中で、ピースが全てはまったきがした。

 「それだそれ! ねぇ、あなた! “そこのけそこのけ勇者が通る”なんて、駄目ですよね!」

 ムキムキマッチョなおじいさんに指差しで尋ねた。

 「いや、そんなことより。」

 は? 断られるようなことではないですよね?

 「それ、……いや彼女はピクシーかね?」

 あっ、やっべぇ。

 出しちゃったぜ。

 やっは〜☆

 「…………。」

 ふょはどうします? といった視線をこっちに投げ掛けてくる。

 「えーと、うーんと、」

 アルサルは言うなよという顔をしている――――――ような気がする。

 「……いえ、ピクシーじゃありません。」

 言ってやった。

 「これは僕の国の妖精です。見慣れない格好をしているでしょう?」

 「ふむ、確かに……」

 「これは、僕の国の妖精です。」

 「……。」

 「だからといってどうということではないんですよ。」

 「……ワタシ!」

 「「「はい?」」」

 三人の声がハモった。

 「ピクシーなんです!」

 っおい!


 「はい? じゃあ、そこの少年が嘘をついていたとでも?」

 「はい。あ、っといっても、ワタシを守るためについた嘘ですから。」

 「は、はい、わわ、わかりました……。」

 「よろしいです。」

 なんか、ふょが一人で問題解決しちゃったなぁ。

 「ところで……。」

 村長さんが口を開く。

 「ハイ?」

 僕はまだ何かあるのかと思って疑問系だ。

 「私めに幸福を授けていただけませんか?」

 僕は関係ないみたい。

 「……ということは、この件はおがとめなしということですか?」

 ふょが答える。わ、悪かったねぇ! 自意識過剰のおバカさんで悪かったね!

 「そういうことです。」

 「……わかりました。」

 行きますよーと呟いたのが聞こえた。


 「――――――――――――――――――――――――――――――――――――!」

 何かを叫んでいるのは聞こえた。

 でも、全く何を言っていたのか、分からない。

 そして、ムキムキマッチョなおじいさんがうっすらと光っていた。

 「はい、終わりました。これでいつか(・・・)必ず幸福が来ます。では、おいとましてよろしいでしょうか?」

 「ああ、もちろんですとも。」

 「さらに、注文をつけたいのですが、……この事は他言無用でお願いします。」

 「もちろんです! もちろんですとも!」

 富を独り占めする人ってこんなんなのかー。

 ……………………。

 「じゃ、出ますよ。ワタシは石の中に戻ります。」

 シュオンと音を出して消えた。

 「では、玄関までお送りします。」

 「貴様も、この事をいってはダメだ。」

 アルサルが珍しく真面目な顔で言った。

 「仰せの通りに。」

 執事さんも、真面目そうな顔で返した。

 「また機会がございましたら、ぜひお寄り下さいませ。」

 建前を言っていた。




 ◇◆◇◆◇◆




 外に出ると、陽射しが降り注ぎ、さわやかな風が流れていた。


 ……空は、まだ晴れていた。


『おとうさんおとうさん、それそこに

てすとのむすめがー』

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