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闇の中にて僕は輝く。  作者: udakuda
第三章 冒険は、始まらず。
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とあるエビルの科学研究(サイエンティスト)

サイドストーリーです。

ちなみに題名はとある魔術の禁書目録に感化されてつけました。


とあるエビルの科学研究サイエンティスト、どうぞ。



 「じゃ、『ワレワレハ ウチュウジンデアル。』って言ってみて!」

 「我々は、宇宙人である。」

 「違ーう! 『ワレワレハ ウチュウジンデアル。』なの! もっと、こう…カタカナ発音で……!」

 「われわれはうちゅうじんである……?」

 「違っ! もっとこう、機械みたいな感じで!」

 「……きかいって何ですか?」

 「あー、知らないわよね……。ああ、もう!嫌になっちゃうわ!(わしゃわしゃ)」

 「すっ、すみません!(ビクッ)」

 「いいの。機械ってのはねー、詰まるところ感情のない物体ってとこかしら……?」

 「はっ、はい! えっと……ワれわれはうちゅうじンである」

 「んっ? ぽい発音はあったけど……」

 「すいません! すいません! 練習しますので、どうか罰は……!」

 「……まあ、頑張りなさいよ。」

 「ありがとうございます!」


 カツコツと音をたてながら、女は去っていった。

 

 ちなみに、そこでは『われわれはうちゅうじんである』が何度も何度も繰り返されていたそうな。









 「冷蔵庫、冷蔵庫……」

 「冷蔵庫ってなんですか?」

 「物を冷やす道具だよ。」

 「氷魔石を使えば充分ではないんですか?」

 「氷魔石は、限りがある。だから、その代替となる冷蔵庫を……」

 「氷の中に突っ込んどけば、氷魔石になりますよ。まあ、時間はかかりますが。」

 「で、でもっ!」

 「どうぞ、ご自由に。私は寝ます。もう12時を過ぎましたよ。」

 「ちょっ、たのむよー! 一生の頼みだよー!」

 「抱きつかないで下さい。私は賢者ですが、奴隷です。」

 「そこをなんとかー!(泣きつく)」

 「! ちょっ、やめて下さいよ。別に、氷魔石を箱の中に入れれば立派な冷蔵庫とやらになりますよ。」

 「じゃ、魔力で物を冷やす方法は?」

 「氷の魔法を使えばよろしいのでは?」

 「氷の魔法が使えない人は?」

 「氷の魔法陣を利用すればいいじゃないですか。」

 「ほう、なるほど。では、氷の魔法陣の作り方を教えてくれ。」

 「えーと、冷やす魔法ですよね?」

 「ああ、そうだ。」

 「こうです。“Σ()Λ()κ()Φ() β()ε()Α()Τ()Ο()Ζ() φ()β()Η()Μ()ο()Β() λ()Ν()Ξ()Α()ν()φ()”をこう、ぐるっと描いてください。」

 「こうか?」

 「そうです。それをその魔方陣に入れて、魔法陣を作ってください。」

 「お前がつくれ。」

 「嫌です。だって、私とあなたは敵同士ですし、敵に教える物なんてありませんからね。」

 「なっ、なにおう!」

 「お休みなさい。」


 パチンと指を鳴らすと同時に男は崩れ落ちた。

 その、賢者と名乗った男は首輪を外し、奴隷契約の刺青を消し去り、そのまま……逃亡した。









 「出来た、出来たぞ〜!」

 「何があったんですか?」

 「何がって何も。だけどとうとう出来たんだよ!」

 うっとりとした表情が見える。

 「何がですか?」

 怪訝そうな表情が女から見てとれる。

 「ほらー!」

 ジャジャーンと効果音の付きそうな……いや、言っているが白っぽくて少し光沢のあるのっぺりとした箱を掲げた。

 「ほう……。」

 少なくとも、女は感心しているように見え、しげしげと箱を見つめている。

 「どうだ! 洗濯機だろ!」


 「ふむ、確かに一昔前のの洗濯機のように思えますね。」

 「わっ、悪かったなっ!」

 膨れっ面で少々不機嫌そうな男というか、おじさんがデレていた。


 「ま、それはいいですけど。」

 女はスルーした。

 「どういうふうに使うんですか?」

 「そりゃ、こうさ。」


 男はそこらへんにあった茶色のブランケットを突っ込んだ。

 「ぐるぐるぱー。」

 女は呆れたような顔をしている。

 「ほら。きれいきれいになった!」

 確かにさっきよりはきれいになったように見える。

 「何それ、その言葉。“ぐるぐるぱー”って。アホじゃないの?」

 「いや、洗濯機はぐるぐる回るだろ?」

 「回るやつはあるけど……、そもそもこれ、洗濯機にほど遠いと思うのですが。」

 「っ、細かいことは気にしない!」

 「……それに、回ってもないじゃないですか。」

 「……っ、こ、細かいことは気にすんな!」

 「ソレ、わかちこわかちこーとでも言って欲しいのですか? ぷっ、古くさいギャグですね。ぷくくっ……」

 「なっ、うるさいうるさい! とりあえずリーダーに報告してくるからな、そこで首を洗って待っておれ!」

 ダンダンと足を踏み鳴らして立ち去ろうとする。

 「……あ。今朝顔を洗うのを忘れてました。」

 と言って、女も部屋を出た。

 男はなんだかなぁと呟きながらリーダーの元へ向かった。









 「粘土を買ってこい。粘土だ。合体変形ロボ(××××××)を作るぞー!」


 「合体変形ロボ(××××××)キター!」

 とか、言ってるやつもいるが、合体変形ロボの文字は聞こえない。

 それは、この星の女神様(お偉いさん)が他の星の干渉を拒んでいることに他ならない。

 この星のあるべき進化はOKだが、他の星からはNGらしい。

 だが、我が【エビルデビル】はそんな威しには屈しない。

 異分子判定するシステムは一年に一度、定期検診を行っていることがわかっている。

 その日が何時なのかは知らないし分からない。しかも、定期検診は一秒だけかもしれないし、何日も続くかもしれない。それは、分からない。

 だけど、必ず定期検診があることはわかっている。

 「だから、日々実験の繰り返しだ。」

 「何言ってるんすか、隊長。」

 「……ああ、済まない。独り言だ。」

 「そうなん「買って来たぞー!」すか……」

 隊で一番若い者が入ってきた。

 「こんぐらいでどうでしょう?」

 紙袋に入っていたのは鍋より少し多いぐらいだ。

 「おう、良いぞ、野郎ども。合体変形ロボ(××××××)を作るぞー!」

 「「「おー!」」」

 我が隊の全員が声を張り上げた。

 「まずは、|疾走戦隊カケルンジャー《×××××××××××》のレッドからだー!」

 「おう!」




 威勢良く始まったはいいが、いつの間に士気は下がっていた。

 頭の中にカケルンジャーのロボットの姿は想像できているが、いかんせん表現力がない。

 おっ、これは……! みたいな出来があったとしても、ぱらぱら――っと砂になり崩れていく。

 暇潰しで作った、スライムや、人間は崩れないというのに。

 外を見ると、あたりはとっぷりと闇に浸かっていた。


 「おーし、じゃあ、飯にすっぞー! 全員いるかー?」

 「「「おっす!」」」

 「じゃあ、食べに行くぞー!」



 今日も何も成すことなく一日が過ぎた。

 もう、いっそ何もしないほうがいいとか思ったりするけど、リーダーの命令だから仕方がない。



 今日の飯は何かなと思いつつ、夜の街に紛れていくのだった。


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