37 ☆ ーーγ δ
語り部:姫野 真輝
OK?
Here we go!
「で、あなたは誰ですか?」
「お願いします〜!捨てないで下さい!」
「あなたは誰ですか?」
「捨てないで下さいね?」
上目遣いで見つめてくる。
「あなたは誰?」
「ずぇったい、役に立ちますから、捨てないで下さい〜!」
これほど話が噛み合わないことってないよ?
捨てないでほしいってことはわかったけど、他のことはさっぱりわからん。
仏の顔の真輝と言われたことのない僕は、かなり怒っていた。
「……話を聞いてくれないから、捨てちゃおうかな!」
「やっ、やめて下さいっ! いますぐ、話をききますっ!!」
この話の噛み合わなさは尋常でなかった。
「えっと! 君の名前は何て言うのかな!」
「ふょです。ふょと申します。」
「ふよ?」
「違います、ふょです。」
「ひょ?」
「違うのです。ふょです。“f”の発音のあと、軽ーく“yo”を付け足す感じでふょです。」
「ふ、ふふ……ふひょ?」
「ちーがーいーまーすー! ふょです。」
「ふょちゃんかー(はーと)」
うわっ、アルサルが入ってきたっ!
さっきから、なんか発音練習してるなぁと思っていたけどさっ!
「ふょちゃんはピピ、ピクシー……な、なのかな?」
「はい、そうですよ♪」
「本当に! マジでっ! 本当に? うわー! 俺、勇者で本当に良かった〜!」
アルサルが泣いている。どのぐらいかというと、“涙が出てるよ。” “ちがわい、これは心の汗だー!”という感じ。
ふーむ。
ふょはアルサルを無視して僕に話しかけたがろうとしているし、厨房の方から足音が聞こえる。
「あなた〜! パンが出来ましたわよ〜!」
マキナが来た。
えーっと……うーんと……、どうしよう。
目が、メドレーを独りで頑張って泳いでいる最中にマキナと目が合った。
なんか小さい人は増えているし、アルサルは泣いているし、僕の目は泳いでいるしとようわからんから、目でこの状況を教えろと言っているが、僕もよくわからない。
とりあえず、言っておこう、
『僕は、悪くない。』
◇◆◇◆◇◆
「かくかくしかじかでこうなりました。」
「ほうほう。こういうことがあったのね。」
かくかくしかじかで物事が全部伝えられるから、小説は便利だねっ!
「ピクシーかぁ……。ふんっ、なによっ、私よりそのピクシーの方が好きな訳?」
「…………。」
“あるさるは ないている”
「なによー!」
“あるさるは ないている”
“ふょは 仲間になりたそうに こちらを みている”
“まきなは こちらに おそいかかろうと している”
わお、びっくり。
三角関係の出来上がり〜♪
「まあまあまあまあ、落ち着いて落ち着いて。」
「だ「ま「っていなさい。」れ。」りなさい。」
マキナ、アルサル、ふょの順に黙れという言葉を賜りました。
はい。黙っています。
ボク、関わらないからねっ、絶対関わらないんだから!
ちなみに、ふょの発音は日本語にないそうです。(国語の先生談)