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闇の中にて僕は輝く。  作者: udakuda
第三章 冒険は、始まらず。
39/59

33 ☆  ーーγ δ

語り部:姫野 真輝

 おはよう、みんな。

 みんなのアイドルの真輝くんが起きてきたよ?

 あっ、いたっ!

 やっ、やめてよっ!

 消しゴムならまだいいけど、辞書はー!

 まあ、消しゴムもいやだけど!

 わかったわかった!

 僕はみんなのアイドルなんかじゃないから! これでいい?

 ふぅ……

 収まった……

 ……たんこぶできちゃった。

 みんなのアイド…いや! なんでもありませんって!

 ちょっ、辞書を構えるのは止めてくださいって!

 あーーーーーーーーーーーーー!

 当たるっ、当たる!


 ボグッ!


 重鈍器の直撃を受け、僕の意識はあっさりと闇の中に沈んだ。




◇◆◇◆◇◆




 (スタッフ)「あらっ? 真輝君の意識が無くなりましたわね。」


 (スタッフ)「そーだな。」


 (スタッフ)「……そういえば、さっき、真輝君は重鈍器って言っていたけれど。」


 (スタッフ)「うん、確かに言っていたね。」


 (スタッフ)「重鈍器って言葉はないと思いますの。」


 (スタッフ)「ん? 何で?」


 (スタッフ)「重鈍器があるなら、軽鈍器もありますの? 軽鈍器って何よ、と思うんですの。」


 (スタッフ)「そうだよね。そもそも、鈍器って棍棒とか殴る武器だよな?」


 (スタッフ)「そう存じ上げておりますが……」


 (スタッフ)「辞書を重鈍器と定義付けると、軽鈍器って……傘の柄とか?」


 (スタッフ)「そのぐらいしか考えられませんものね……。“軽”繋がりで軽自動車を軽鈍器と呼ぶのはちょっと…ですし。」


 (スタッフ)「だよな。だったら、“どんき”繋がりでドンキ(ドンキホーテ(店))ってどうだろう?」


 (スタッフ)「……でも、それは軽鈍器も重鈍器も関係ないと思いますの?」


 (スタッフ)「ドンキホーテのキャラクターにド〇ペンくんってのがいるだろ?」


 (スタッフ)「ええ、確かに居ますね。真輝君がドンペリと間違えたことは深く記憶に残っていますわ。」


 (スタッフ)「そうだよな。大声で『ドンペリ!!』なんて叫んだときは笑いが止まらなかったな。」


 (スタッフ)「本当にそうですわ。何でワタクシ、真輝君の元で働いているのでしょうか……」


 (スタッフ)「おおっ? ちょいちょい、ストップストップ!」


 (スタッフ)「いいんですの。止めないでくださいまし。真輝君に暇を頂いてきます。」


 (スタッフ)「っ! お前、知ってるか?真輝以外に再就職先なんてないんだぞ? 脳内スタッフを雇ってるそんな変人(・・)なんていないんだぞ? 辞めたら即、死亡だぞ?」


 (スタッフ)「うっ、わっわかりましたわ! 辞めるのは我慢しますが! ちょっとずつちょっかいを掛けていきますわ!」


 (スタッフ)「まあ、ほどほどに、な。話しは戻るけど、さっきのドン〇ンくんでえーいって殴ったら、それはもう軽鈍器じゃねぇか?」


 (スタッフ)「成る程……ドンペ〇くんは、辞書よりは軽そうですものね。以前、〇ンペンくんなるものを見てみたのですが、大きい割りに軽かったですもの。ふっかふかで気持ち良かったですわ。」


 (スタッフ)「ああ。あれは絶対軽鈍器だな。」


 (スタッフ)「「と、いう訳で、軽鈍器はド〇ペンくんです(わ)!!」」


 「うるせー! 黙れー! 人の安眠を妨げるなー!」


 (スタッフ)「「じゃあ《では》、お聞きしますが“重鈍器”とは何です?」」


 「分かったよ! 僕が間違ってた! 許してくれ!」


 (スタッフ)「分かればいいんですの。」


 「わぁ、ありがとう! じゃあ、おやすみ〜……」


 (スタッフ)「……マキナさんが待ってるから、はよ起きろー!」


 「UGYAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」


 ええ、大変悪い目覚めでした。




◇◆◇◆◇◆




 カランコロ〜ン♪

 「いらっしゃいませー!」

 勤務中でございます。

 いらっしゃったのは、露店商のお姉さん。

 普通の体型の彼女で、好きなのはメロンパン。

 「じゃあこれ、お願いねー。」

 「かしこまりました。」

 レジに立ち、パンの値段を紙に書き込む。



 メロンパン 1個 200R

 特上素材のチーズピザ 2個 900R

 ハム&卵のサンドウィッチ 1個 350R



 「えっと……、1450(ルナ)ですね。」

 「あっちゃー、1000R越えちゃったかー。」

 「すっ、すみません!」

 「いーの、いーの! この、特上素材のチーズピザが美味しいからね?」

 「なんか、すみません……。」

 「まあ、もうちょっと安くならないかなぁなんて思っているけど、これ以上値段を下げると質落ちるよね。」

 「そうですね…」

 「まあ、マキはただ働いてればいいからね? じゃ、1450R払ったよー!」

 「ありがとうございました〜!」

 こんな感じでほぼ1ヶ月過ごしてきた訳だ。

 看板娘として。

 ああ。

 自分が娘じゃないことはわかっているさ。

 でも、みんなが呼ぶうちに自分も看板娘なんじゃないかと思って、つい認めちゃったんだ。

 もうすぐ、約束の期日の1ヶ月が過ぎるけど、これからどうしようか?

 マキナさんに無理いって雇ってもらうのもどうかと思うし、もうすぐ姪が来るって言ってたから僕はお役ごめんだろう。

 ……いざとなったら、冒険者になって暮らそうか。



 ……乃子、残念ながら僕、まだ帰れそうにないや。







 姫野 真輝


 Lv  50(これ以上上がりません)


 HP  541

 MP  0(呪い)


 素早さ 880

 攻撃  141

 防御  97

 幸運  527

 魔法  999

 賢さ  346


 スキル 【悪の手先】 【尋常でない育毛】 【パン屋の息子】


 状態  呪い

     前途多難


 装備  フリルのカチューシャ

     フリルのエプロン

     皮のブーツ

     果物ナイフ

     【エビルデビル】の缶バッヂ(呪われています)



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