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闇の中にて僕は輝く。  作者: udakuda
第二章 人生は、突然に。
36/59

30 ☆  ーーγ δ

語り部:姫野 真輝

 「うわああああああああああああああああああああああああああああああああぁあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 何あれっ!

 得体の知れない何かなら(多分、豹)。

 ダッシュで逃走をばいたしましょう。

 シュバババババババパババババババババババババババババババババババァ!!


 おい、そこ!一つ“ぱ”が入ってるぜぇ!!

 まあ、ともかく!

 土煙が上がるほど、草原が削れて獣道になるほど、僕は鬼の形相で逃走したのだー!




 ◇◆◇◆◇◆




 さあ、さあ?

 さて、ここは何処でしょう?

 分かる人、手を挙げてー。

 はい、0にーん!

 分かんないっすよねー。

 青い空!白い雲!緑の草原!後ろには土色の筋!僕の後ろに道はできた!

 ヤッハァー!

 イエーイ!

 僕はー!やったぜー!

 ……何を?

 あれ?

 えーっと。

 うーんと。

 そのぉー。

 ……ねぇ、本当にここ何処?

 「ここ、どぉーこぉー!!」


 どーこー …ーこー ……こー ………ー …………


 返って来たな。うん。

 誰もいないな。うん。

 だーれーかー!


 グーキュルルルルー…


 あっ…

 そーいや、お腹空いたなぁ。

 ……まあ、2、3日は大丈夫でしょ。“空気無しは3分、水無しは3日、食糧無しは3週間で死ぬ”って言うからね。

 だーいじょうぶ、だいじょうブイ!

 とりあえず、真っ直ぐ行ってみよー!

 「おー!」

 うーん、一人は寂しいなあ。




 ◇◆◇◆◇◆




 およー。

 なんか、プルップルした何かがいるー。

 えーと、こーゆーときはー、無視ー。


 あれってなんだったんだろー?





 おー。

 森が右手の方にあるよー。

 でも、ぐおんぐおんでぐよぐよでぶるぶるでふよしゅーで背筋ぞくぞくだから入らないー。

 まあ、真っ直ぐ行くことにしたから、どっちにしろ入らないけどー。




 ◇◆◇◆◇◆




 おりょー?

 お猿さんが近づいてきたー。

 あれ?逃げた…?

 何でー?

 少し悲しいかもー。




 ◇◆◇◆◇◆




 くんくん。

 あっ、美味しそうなにおいするー。

 煙もでてるー。

 うん、あそこに街があるにちがいない!

 誰かさんは箸で人が住んでいるって分かったからね!凄いよね!




 ◇◆◇◆◇◆




 イエーイ!

 村っぽいものが見えてきたよー。街じゃなかったねー。

 おっ、第一村民発見!

 聞いてみよー。

 「ここはどこですかー?」

 「何者だ!」

 おっ、言葉が通じたぜ!

 第一村民で盾と剣を持ったこのあんちゃん、なんとなんと、彼は衛兵さんでした。

 何者だ!と問われても、井戸に落ちてここに来ました、AHOの子です☆とか言っても信じてくれない訳で。

 「えー、うー、あー、うー…。」

 「…………。」

 「…………。」

 「えっと…名前と住所を言ってくれないかな?」

 「姫野真輝、住所は愛知県長久手町□□□□です。」

 「国は?」

 「日本です。」

 「ニホン……聞いたことがないね。異世界から来たの?」

 「異世界……?」

 「どこの世界(ほし)から来たかわかる?公用語でね?」

 「地球?EARTH?」

 「ああ、異世界から来たのか。じゃあ、ようこそ。ファルツ村へ。」

 「えっと、僕は、どうしたらいいんでしょう?」

 「えっ、記憶喪失?困ったなぁ…。もし、行き詰まったら、村長さんのとこに行くといいよ。」

 じゃな!と気楽に別れを告げられた。

 おいおい、こちとら異世界に飛ばされてかーなーり怒ってますし、どうしようもなさに途方に暮れてるんですよ。何勝手に手ェ離してんだよ!ふつーの放浪者なら兎も角、異世界からの旅人ですよ?もう少し親切でもいいんじゃないですか?

 まあ、兎にも角にも村長宅へ向かいましょうか。

 ……つーか、村長宅ってどーこーだー!(心の叫び)

 ……まあ、いっか。

 村を見て回ればきっと分かるんじゃね。

 よーし、いざ!お散歩へ!

 ……とはいっても、あんまり無さそうなんだけどね!




 ◇◆◇◆◇◆




 ほぅ。

 建物とか村民の服装から見るに、文化レベルは中世のヨーロッパくらいでしょうか?

 まあ、中世のヨーロッパとか知らないけど!まあ、RPGとかでよく背景にされるあれみたいな?フランス革命の前の文化みたいな?そんな感じ。

 それから、今。

 なんと。

 パン屋のお手伝いしてます。

 何でそうなったっ!という責める言葉が頭の中に響きわたってる。くわんくわんしてて痛いぞ。

 「マキー!パンの作り方教えるから、来なさいよ!」

 ほら、マキナおばさん「おばさんじゃ、ないよ!」あっ、ごめんなさいマキナお姉さん(・・・・)が呼んでるから…

 頑張って脱出を試みてみるんだからね!





 「はい、パンを作るよ!」

 「あのぉ、僕、村長の家に行かなくてはいけないのですが…。」

 「何言ってんの! そんな可愛い子が一人で行ったらお嫁さんになっちゃうよ!」

 「僕、男です…」

 「…あらぁ?男の子なの?女の子だと思ってたけど……」

 「何度も言ってたじゃないですか!」

 「まあ、人手が足りないのは事実だから、マキナの姪っ子が来るまでの1ヶ月、手伝ってくれよ。なっ? 三食昼寝、給料10万ルナ付きだよ!」

 「あの…」

 ルナって何ですか?

 「はい、じゃあ働いてね! 働かざる者食うべからずだよ! じゃあ、量ってね!」

 無視された~

 「えっと、1の粉と2の粉を同じ量だけ量ってね?」

 「はぁ。」

 「量った?」

 「まっ、まだですよ!」

 「遅いねぇ。じゃ、マキナもなにか作ろっかな~。ん~、オートミール作ろっと。」

 「オートミールって何ですか?」

 「えっ?オートミール知らないの?おいしーのに。」

 「始めて聞きました。」

 「知らないなんて、勿体ないなぁ。あれはね、燕麦(つばめむぎ)を乾かして煎って砕いた奴だよ。オートミールに砂糖と牛乳(ヤギのちち)を混ぜるとサイコーに美味しいんだ。それに――」

 「それに…」

 「健康と美容に良いんだ。ほら、マキの肌。とってもすべすべでマキナ、羨ましいね。」

 「…そりゃどーも。」

 男には関係ねぇ話でさぁ。

 「ほんっと。……出来れば剥ぎ取って自分のにしたいぐらいに。」

 「やっ、やめてくださいよー!」

 なんだっ!

 身の危険を感じたぞっ!

 「冗談、冗談。あっ、手が止まっちゃってるぞー。」

 「えーっと、どれだけ量ればいいんです、か?」

 「あっ、うっかりしてたー。ごめんねー☆」

 てへっ。みたいな感じで舌をぺろっとだし、頭をコツンと叩く。

 ゴメンで済むなら警察は要らんぞ!

 それに、その年でそれは…………



 僕は前途多難を感じたのであった。


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