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語り部:姫野 真輝
《第3691世界ILLNISH ユトゥルナ シュヴァーベン 地下》
「あれ、何でこんなとこにいるんだろ?」
床はひんやりとした石。目の前には鉄格子。
あれ、ここどこ?
カツーン、コツーン――
靴音が響き渡る。
だ……れ………?
「さあさあ、こちらが商品となっております、女性の奴隷でございます。家事をさせるも良し、性的鬱憤も晴らすも良し、虐待するのも良しの丈夫な女奴隷でございます。今なら特別サービスで、1億ルナのところ、8000万ルナで提供させて――――」
ああ、
僕、
売られるんだ、
ルーネ・ソカリさん、
あの人は、
奴隷商人だったのかな、
もう、
いいよ、
僕、
死んでも、
唯、
一つだけ、
神様、
お願いがあります、
乃子が、
幸せに、
生きて、
いける、
ように。
どうか、
加護を。
◇◆◇◆◇◆
・゜・☆・゜・
姫野真輝
・享年:13歳。
・死因:弱小貴族による虐待死。
・遺言:「痛いです、ご主人サ……」
・遺産:0(奴隷なので)