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「うわああああああああああああああああああああああああああああああああぁあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
豹だ!豹がいる………!
ヒイッ! ((((;゜Д゜)))
とっさに、頭をかばってしゃがみこむ。
ザ☆現実逃避
エヘッ! (σ*´∀`) 大丈夫さ!きっと、幻覚さっ!
ほら、その証拠にネコ科の動物はいな――――
“グァルルルルルル”
くはなかったね、ってえーーーっ!
うん!
今はね、豹の前にね、背中をね、さらけ出してるの。
うん、だからね、喰われてもね、おかしくな――――
が、ぶちゅっ……
うぐあっ!
いっ、痛い!
背中に鋭い痛みが走る。鋭い、鋭い――――
「……ぐぅっ。」
それを奥歯を噛み締めて耐える。それしか出来ない。
背筋がブルリと震える。悪寒の類いの震えだ。
くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ……ゴクン。
がぶり。
うぅ……
うっ!ぐはぁっ!
痛い。とっても痛い。
死ぬ、ホントに死ぬ。
助けて、誰か助けて!
食い殺されちゃうっ!
誰か、誰か……………
その間にもネコ科の動物は僕を喰らっていく。
がぶり、むっちゃむっちゃむっちゃ、ゴクリ。
がぶっ、ぶちぃぃ、むっちゃくっちゃ、ゴクリ。
ぃ痛い。
助けて。
誰か!!
背中の動脈から、血が失われてく。
死んじゃうよ。
僕を、助けて!
誰か、助けて!
あっ、
パキリと骨が折れる感覚。
――――激痛が走る
「……っ!」
「――うぐはっ!」
痛みを……耐える。
痛い。ガマンガマン。痛い。気絶したい。痛い。体が動かない。痛い。痛い。痙攣が起きている。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。制御不能。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。また。痛い。死にたい。痛い。痛い。痛い。痛い。断末魔の叫び。痛い。痛い。悲痛な叫び。痛い。痛い。痛い。痛い。死の予測。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。死ぬ。痛い。痛い。死ぬ。痛い。死ぬ。死ぬっ!
僕は……
うわーん!
死んぢゃう。
涙がでてきた。
僕は、殺される。
乃子すら守れずに。
僕は乃子に値しない。
そんな人間だったのだ。
ああ神様、お願いします。
幸せに、暮らせますように。
僕の愛しい人、竹村乃子が――
僕の命を捧げますから
幸せに……
どうかどうか神様お願いします――
「大丈夫か、君!」
永久の眠りに付こうとしたとき、こんな声が聞こえた。
あっ、た助かった――
運命だとは思っていたけど、やっぱり、死にたくはない。
乃子のためなら死んでも良いとは思うけど、死にたくないし、どうせなら乃子を守って死にたい。そういう願いをエロスというのだろうか。
「あっ、あぁぁっ。」
ありがとうございますと言ったつもり。
でも、出てきたのは声に為らない声。
体が、動かない――――。
どうなるんだ、僕!
ザシュッ……!
「グルォアァー!」
それこそ、本当の断末魔の叫びが聞こえた。
豹は、殺されたらしい。
それを確認しようと思っても、首を動かすことは出来ないし、指先に目が付いていたとしても指をピクリとも動かせない。
――死の予感――
頭の中で黒々とした文字がよぎった。
やっぱり僕は死んでしまうのだ。
助けた人は“強盗”に違いない。
僕の服を剥いで、お金にして――……
激痛。
「うぐぅっ!」
目の前がチカチカする。
これは、毒薬?
誰?
僕を殺すの?
痛いのは嫌だよ?
もう、ほっといてよ!
「大丈夫かい?」
優しそうなでもってはっきりとした声が降りかかる。
背中に触れる。
さわさわと。
激痛を予想した。
あれ?
「痛く、ない……」
骨が見えるほど、肉が抉り喰われたはずなのに、窪んでない。
なんで?
「痛くないのか。良かったな。」
「あ、助けてくれて、ありがとうございます……」
背中を曲げて起き上がる。
「ん、どういたしまして。良かったな、獣で。どうしてこんなとこにいんだ?」
助けてくれた人はおデブの商人さんでした。
「えっと、井戸に落ちたら……って、それより、どうやってあのケガを治したんですか?」
「ん?ああ、これだよ。」
出したのは、小さな小瓶。緑色で、人差し指ぐらいの大きさ。
「……これ、何ですか?」
「HP回復ポーションだよ?それにしても、女の子がこんな危ないところにいるの?」
「えっ?僕、女の子じゃありませんよ!」
「何を言っている、ああ?」
胸の辺りに手を伸ばして――むにゅり。
?
何?
何この、むにゅりっていう擬音語?
何、何?
むにゅり。ってなーに?
ナーニ? (´・ω・`)?
えっ。
どーゆーコト?
むにゅりって。
胸に手を当ててみる。
ぽよんっ!
っ!
何コレ?
おっぱいが……ある?
!!
股に手を当てる。
!!!
な、ない!
あ。アレが……
うわーん!
僕、男だったのに、女の子になっちゃった!
「女の子だろ?僕っ娘か。可愛ええなぁ。」
どうして、どうしてこうなったの?
えっ、まさか、あのとき?
◇◆◇◆◇◆
――――落ちながらキラキラした粉を纏っていたとき――――
「名前はなんて言うんだ?」
「あっ、姫野真輝です。」
性転換もしちゃった?
「ほう、ヒメノが名前かい?」
僕は、女の子として生きるの?
「いえ、真輝が名前です。」
「なるほど。おいらははルーネ・ソカリだ。よろしくな。」
「あっ、はい。ルーネさん、助けてくれてありがとうございます。」
「んー、大したことないから、気にすんなって。真輝ちゃん、行く宛無いなら、うちに来ないか?2、3日なら大丈夫だぞ?」
……ちゃん?
「えっ、良いんですか?」
「ああ。」
「じゃあ、御言葉に甘えさせて貰います!」
うわぁ、いい人だなぁ。
「ムフッ。」
「? 何ですか?」
「ん、何でもないよ。馬車があるから、それに乗ると良い。2時間位馬車に乗りっぱなしになるけど、大丈夫だよね。」
「あっ、はい。お世話になります!」
「ああ、そうそう。おいらの拠点の街はシュヴァーベンっていうんだ。なかなか大きな街だぞ?」
「そうなんですか。異文化交流が出来そうですね。」
「そういや、お嬢ちゃん。どこから来たんだい?」
……お嬢ちゃんって!
「えっと、日本です。」
「ニホン?第何世界のニホン国だ?」
「えっと、……解らないです。」
「そっか。ここはローツェ草原だ。で、この国はユトゥルナだ。まあ、ようこそと言うべきなのだろう。」
「あれ?異世界召喚とか、転生とかってけっこうあるんですか?」
勇者連続召喚!?
「んー、まあまあまあ、うーん。それなりに有るよ。まあ、全体の2割ぐらいが異世界に行ったり来たりしたことが有るのかも知れんな。……よう、分からんが。」
「にっ、2割もですか?すごいですねー。」
つーか、この国すごくないっすか?
もしかしたら、地球出身の人と出会えるかも(ハート)
……楽しみだなぁ。
「まあ、そんなもんだ。この国はなかなか豊かだからな。美味しいものが一杯有るぞ。」
「えっ?やったー!」
その一言を楽しみにして、待っていた。