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25 ☆ ーβ γ δ
語り部:竹村 乃子
「まーくん、まーくん!大丈夫?大丈夫なら返事してよ!」
真っ白で真っ白な病室にて。
まーくんは意識不明の重体に。
あの枯れ井戸は封鎖され。
乃子ちゃんはボロボロ涙を落とします。
「私を残して死んじゃうの?」
痛切に彼を求めます。
パタムとドアを開けて入って来たお父さんが思い詰めかけた彼女にこういいます。
「きっと、大丈夫だよ。」
未だに傀儡の彼女はその言葉を信じます。
大丈夫と言う言葉を胸に乃子は今、立ち上がりました。
立ち上がっても、乃子は姫野真輝を見捨てません。
だって私は彼女だもん。
それらの信念を胸に、真輝のベッドを押しながら彼女は進んで行きました。
前へ――。
でもそれは、やっぱりお父様の手のひらの上のことでした。