24 ☆ ーβ γ δ
語り部:姫野 真輝
――生けとし生けるものは、皆、神の子――
◇◆◇◆◇◆
「おはよう。」
「おはよう、まーくん(はーと)」
「べ別に、迎えに来なくても良かったのに。」
「? 前みたいにカオスになられちゃ困るからね。お父様も今日はちゃんと来るようにって言っていたし。」
まだ乃子はお父様の傀儡なのだろう。でも若干僕の件でその毒が取れてきた気がする。
勿論、人に従い行動するのは楽だけど、必ずしも良いという訳ではない。
乃子は上に立つ人だから、人に恨まれ、憎まれる。
そんなことのないように、僕は乃子の毒を吸い出していこうと思う。
自分が乃子のためになれば……僕は死んでも良いと思うのは、自己満足なのでしょうか?
「……まーくん?大丈夫?」
「ああ、ありがとな。」
たとえ、僕が嫌われたとしても。
「久しぶりに長く話せるから嬉しいんだ。えっとね、昨日ね……」
話の話題は尽きなかった。例えば学校の先生のこと。例えば、友達のこと。例えば今日のこと―――
「今日、お父様が御昼御飯用意してるみたいよ。」
因みに只今11時である。
さらに、マナーはそれなりに完璧だと自負している。
……まあ、お里が知れると言われない程度には。
「それってどんな料理?」
「えっと、ひ・み・つ。だって言ってたかな。」
「へー、少し楽しみだなぁ。」
「でも、お父様の用意するものは何でもおいしいよ?」
「だろうね。」
「…あっ、そういえばカダフィさんってね――」
乃子は財閥の令嬢だから、政治の話にも詳しいのだ。
僕はそれに付いていけるよう、新聞を読むようになった。
……それで何?と思うかもしれないがそれだけだ!
◇◆◇◆◇◆
姫野真輝と竹村乃子は竹村邸につきました。
もう、太陽も天辺まで昇りきりました。
「おお、よく来たね。」
義父様が門を開けて出迎えてくれます。
僕はお礼を言いつつ中に入ります。
部下がそんなことしないでくださいよぉ、と言っているのは無視しましょう。
ちんまりとした(周りと比べて)和室でお昼御飯も頂きました。お昼からなかなかハードな本膳料理でした。おいしかったです。
そのあとは、お家の案内でした――。
「ここは食堂だの。」
「…なんで案内をするんですか?」
「? 君が将来ここに住むって決めたとき、知ってると何かと便利だろう?」
「まあ、そうですけど……」
「そこが勝手口だ。そこから外に出ると、代々竹村家に伝わっている井戸がある。」
「えっ、ということは、それが竹村家繁盛の秘密…?」
「秘密と言えば秘密になるな。まあ、枯れ井戸だし、古いんだけどな。」
ほーっ。
なかなかかっこいい井戸ですなぁ。
「中もなかなか良くてね…。覗いてごらんよ。」
素直に従い、覗いてみる。
!
暗いはずなのに、虹色にキラキラと光っている。
水のキラキラではない。
この世には見たことのない、まるで―――命の輝きがあら…?
筒井筒にかかっていたお腹が、地面にしっかりとついていた足が空を掴む。
それが何を意味しているのか?
うん。あはっ。
さあ、ご一緒に。
御唱和下さい。
3
2
1
ギャーーーーーーー!
その声はくわんくわんと反射して、耳に響く。
声がかすれ始めたとき、フラッシュのように周りが光る。ああ、これは、義父様が証拠写真を撮ったなぁと思い浮かべ、目を閉じた。
眩しいし、なんかだるいのだ。
あはは~。
ご覧いただき、ありがとうございます。
煮込み人間と申すものです。
明日は、4年に一度のボーナスデ―ですね。
……それだけです。
すみません。