17 ☆ ーβ γ δ
語り部:???
「けしからん。まことにけしからん。どこの馬の骨か判らぬような奴に、愛しい愛しい我が子と付き合うなんて。しかも、結婚を前提としたお付き合いだと?信じられん。おい、加藤。」
「はい、なんでしょう?」
「あの忌々しい姫野真輝っていう奴の調査は済んだか?」
「あっ、いえ…あの……。まだ済んでいません。」
「まだかっ!まだなのかっ!」
「だいたいは終わったのですが、何か一つ引っ掛かることがありまして、そこを調査し終わってから報告します。」
「どのぐらいで終わるんだっ!」
「えっと、一週間で完了します。」
「三日で終わらせろっ!」
「はっ、かしこまりました。では、失礼します。」 スーッと障子が閉じた。
姫野真輝め。我が子のハートを奪った罪、償って貰うぞ。
そして、吠え面をかかせてやる!
フハハハハ。
小さく笑った。
《数日後》
「失礼します。」
加藤が与三郎のもとに来た。
「報告させていただきます。詳しくはこの紙にあるのですが…。」
「うむ。」
「少し気になったことは【エビルデビル】に所属していたということですね。」
「ほう?」
「今は【エビルデビル】に入ってないのですが、あの缶バッチを持っています。」
「ほう。」
「犯罪歴は信号無視が数回と、コンビニ強盗一回と、誘拐未遂が一回です。」
「その一回って……」
「乃子様です。」
「くぅっ。あのガキはそれで乃子を手に入れたのか。クソッ。」
「…………。」
「おい、加藤。」
「はい。」
「あれの準備をしてくれ。」
「……あれですか?」
「そうだ。」
「ということは、真輝君をむ」
「黙れ。」
「はい。」
「とりあえず、ベッドとあれの準備をしろ。」
「はい、わかりました。」
「……ご苦労だった。」
「ありがとうございます。それでは失礼します。」
スーッと障子が閉まる。
そのあと、机に置いてある茶菓子を一口食べる。
「甘い…。」
その声はカエルの鳴く音にかきけされていった