16 ☆ ーβ γ δ
語り部:姫野 真輝
(スタッフ)「真輝!真輝!」
「ん〜?なんだよ〜?」
(スタッフ)「貴方に再び夢の世界へ……じゃないっ!」
「……なに?」
(スタッフ)「貴方に再び語り部をする権利をば差し上げます。」
「は?」
(スタッフ)「だーかーらー、再び貴方は語り部をする権利をGETしたのです!」
「や、別に繰り返さなくていいよ…。何で?また語り部をしなきゃいけないのさ?」
(スタッフ)「上によると、竹村乃子と付き合ってるからですねー。」
「はあ…って、上って誰!?」
(スタッフ)「あー、気にしないで下さい。」
「え〜〜〜〜〜!」
(スタッフ)「そんなことより。」
「村奈琴頼?」
(スタッフ)「違うっ!人の名前じゃないっ!」
「じゃあ、何?」
(スタッフ)「――さあ、語り部として復活するか、竹村乃子と別れるか……」
「わ、わかったよ。語り部に復活すればいいんだろ?」
(スタッフ)「そうです。その通りです。」
「一つ質問!」
(スタッフ)「はい、なんでしょう?(キリッ)」
「語り部が復活するって事は、僕は厄介ごとに捲き込まれるってこと?」
(スタッフ)「さあ、どうでしょう?では。私も忙しいので退散するとしましょう。さようなら〜。」
「待てコラお前ー!」
この時の脳内スタッフは消されなかった。
これは、脳内スタッフ史上初めての出来事では………なかった。
「ねぇー。」
「ん?何?」
「私のこと好き?」
「う、うん。」
黙れとか死ねとかという言葉は聞こえな〜い!
「よかった〜。あっ、そう言えばね、お父様が真輝を日曜日に連れて来てって言ってたよ。」
ちなみに今日は金曜日である。
「言うのが遅いよ!今週の日曜日なんでしょう?」
「う、うん…」
「いつから決まっていたの?」
「先週の月曜日……。」
「あー、もうちょっと早く言ってくれればな。」 「……ねぇー、怒って…る?」
「まあ、怒ってないと言えば、嘘になるかな。」
「……。まーくんの言うこと何でも一つ聞くから許してくれる?」
はい、キター!
「うん。えーっとね…」
何を頼もうかな。
視線がきつくなったのは、無ー視!
でも、無視しきれないのがこの僕なのです。
ここは一つ、クラスのみんなにサービスをば。
「その髪の毛をツインテイルにする権利を。」
「…………。一回だけね?」
「ありがとう!えっと、じゃあさっそく…」
シュルッと髪の毛のゴムを取る。
茶色のゴムだ。
「櫛、貸してくれる?」
「はい、どうぞ。」
かわいらしい櫛を差し出す。
応対の仕方で育ちの違いがわかる。
ゴムを手首にはめて、櫛で均す。
うわあ、サラッサラだ!
いい香りもする!
うーん、ナイススメル!
櫛で二つに分けて、耳より上に髪を集める。
たぷたぷしないように気をつけながら、ゴムで結ぶ。もちろん痛くないように。
片方もおんなじように結う。
うなじがキレイだなぁと思う。
正面に回ってバランスを調整。
乃子が顔を赤らめたのは、無視しようかな?
「よし、完成。」
なかなかの出来だった。
しかも、自分でしたときより断然似合う。
でら可愛い。
何故こんな可愛い子と付き合えたのだろうか?
まあ、偶然だけど。
「まーくん。」
鏡を覗きこんでいた乃子が話しかける。
「ん?何?」
「まーくんって櫛削り上手いね。」
「ありがとう。」
今日はなんて幸せな日なんだ!