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15 ☆ ーβ γ δ
語り部:桐壷
――よくありそうな風景。
オレはそう思った。
計画的に作られた住宅街。
それが坂道一杯に連なっている。
もっと風情のある日本家屋の方が好きだ。箱根だったら、全部温泉宿みたいな古風でいいのに。
その坂道を登りきった場所に家が一軒建っている。
そこはその男の組織の拠点の家だ。
ポッケから鍵を取り出し、鍵穴にさす。
「暗証番号を入力して下さい。」
と、無機質な声が促す。
“3691”と押すと、解錠しますと返ってくる。
ウィーン、ガチャ。
ドアを開けると、いつもの風景、がらんどうの部屋が広がる。
ある部屋に入ると、右っ側の壁に謎の装飾豊かなドアが。
その男はドアの前に佇む。。
「コードネーム 桐壷。」
数秒後―。
パァッと光ってドアが開いた。
『Welcome to The 3691th World,ILLNISH――』