14 ☆ ーβ γ δ
語り部:与作&警察&脳内スタッフ
“新着メール受信”
「おや?」
姫野君じゃないか。
開封。
“やっぱり、誘拐出来ませんでした。秘密は遵守します。なので一千万円で足を洗わせて下さい。あのユニホームとケータイは返します。お願いします。”
やっぱり、出来なかったか。
一千万円ってどうやって得たんだろう?
借金か。
なら、許してやろうかな、と思った。
メールを打つ。
“分かった。一千万円と貸したものを全て学校のロッカーの中に入れといてくれ。取りに行く。”
“バイバイ。”
バイバイは永遠の別れ。
彼との縁は完全に切れたのだ。
◇◆◇◆◇◆
翌日の夜。
草木も眠る丑三つ時。
学校に忍び込んで、彼のロッカーを探す。
ちゃんと入っていた。
全て。
ふと。
缶バッチはあげようかなと思った。
中学生で借金のある彼。そんな彼に心ばかりのギフトを送ってもいいんじゃないかって。まあ、天性のモノではないけど。
缶バッチを新聞紙で包み、ロッカーに残し、ここから去る。
新しい子を見つけなければ――。
《警察でのひとコマ》
「おい、大島っ!」
「はいっ!何でしょう?」
「あのメールを見つけてから1週間経つが、まだ【エビルデビル】は動いてないみたいだね。」
「そうですね。【エビルデビル】らしい犯罪は起きてないですものね。」
「うむ。犯罪が無いことはいいことだ。」
「はい、そうですね。気付かれなくて良かったです。(ボソッ)」
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何でもありません。」
「なら、いいんだけども。」
「総田警部補。【エビルデビル】の他にも怪しい組織はたくさんありますよ。」
「うむ、そうだな。」
「それに、最近相撲業界の八百長が有るとか無いとか。」
「そうだな。【エビルデビル】の件は終わったことにしよう。」
「そうですね。あっ、次の資料を持ってきますよ。」
大島はニヤリと笑いつつ次の資料、すなわち相撲の八百長の件の資料を総田警部補に持って行くのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
(スタッフ)「主人公こと姫野真輝が語り部を放棄してしまったので、代わりましてわたくし脳内スタッフが事後報告をします。」
「真輝君が告られた後、【エビルデビル】はまた新しく候補を見つけたです。」
「それで、姫野真輝君は竹村乃子とラブラブなのだ☆」
「ハートの方がいいんじゃないですか?」
「いいの、いいの。これでいいのだ☆」
次は第二章です。
よろしくお願いします。