13 ☆ ーβ γ δ
さあ、元気出して行きましょう。
◇◆◇◆◇◆
体がだるいよ?
熱は無いだろうけどね。
う〜〜〜〜ん〜?
まあ、学校行こうか。
昨日休んじゃったし。
朝ごはん食って、リュック背負って、行ってきます。
◇◆◇◆◇◆
「おい、姫野。昨日何で休んだ?」
「寝坊しました。」
「何時に起きた?」
「えっと、2時ごろ?」
「……じゃあ仕方がないなっ!――――って寝坊すんなっ!」
ペッペッと唾を飛ばす。
いやーん。
頭に降り掛かるぅ〜。
「はい、わかりました。(棒読み)」
「うん。その心意気だ。二度とするなよ。」
◇◆◇◆◇◆
いえーい!
今日は忘れ物ナッシング〜!
◇◆◇◆◇◆
かぐや姫こと乃子ちゃんは今日も綺麗だ。
男たちを魅了してる。
すごいなあ。
◇◆◇◆◇◆
…………む。
だるいよ?
頭痛い?
「先生、頭が痛いです。」
「じゃあ、保健室行って来い。」
「はーい。」
ガラガラ〜とドアを閉める。
そのまま、階段まで歩く。
イエイ!
サボり成功!
実はあの冒頭のあれもウソだったのだ!
全ては今サボるため―――。
そんな5時限目の企て。
◇◆◇◆◇◆
はい。
そんなこんなで1日が終わりました。
1日でそんな劇的に変わることなんてないのです。いつもと代わらないそんな1日。
…光陰、矢の如し。
…月日は白代の過客なり。
時をみんな大切にしてないからこんなことを言うんだ――――――――。
◇◆◇◆◇◆
今日は。
今日は、乃子を誘拐する日。
言ってなかったけど、ちゃんと海辺野公園に行って来たし。
あの、缶バッチも学ランに着けて来たし。
うん。大丈夫…。
「よーし…。」
タッシュ(× ダッシュ)で学校に向かいたくなかったけど、向かった。
◇◆◇◆◇◆
放課後、放課後。
いつ頃、独り?
いつ頃、誘拐?
タイミングを図らなきゃ。
◇◆◇◆◇◆
てゆーか、誘拐ってしていいものか?
わからない。
分からない。
ワカラナイ。 ???(・◇・;) ?
まあ いいや。
考えるのもめんどくさい。
僕は言われたことをするまでだ。
だから。今日の放課後、誘拐をしよう。
乃子を。
◇◆◇◆◇◆
After School.
いよいよ、この時がやって来た。
乃子ちを誘拐する。
乃子をストークする。
校門からノンストップで出て、通学路を歩く。
偶然、乃子が一人になった。
イェイッ!
フハハハハ。
チャンスだ――。
タタタッと駆け寄って、
「乃ー子ーちゃん!」
「…………。」
誰ですか、貴方は。という眼で見られた。
無視無視〜!
「あのさっ、英単語の話なんだけどさっ。」
「………。」
話しかけんな、カス。といった眼差し。
僕がMだったら、屈しちゃうなー。
でも僕は屈しない!N(Normal)だからっ!
「r・o・bのrobとl・o・v・eのloveって発音似てるよね。」
は?という顔。
フハハハハハ。勝機。
「じゃあ言うよ。」
ひとコマ置いて、笑顔で。
「I rob you.」
その刹那、乃子をお姫様抱っこで逃走。
<ルート説明>
・近くの建物の屋上にひと蹴りで上がる。
・ひと跳びで近くの高い建物(人が居ない)の屋上に舞い降りる。
・乃子を縛ってから、海辺野公園に向かう。
こんな感じ。
第1段階クリア♪
よーし、第2段階も…
膝を屈めて、伸びる勢いで跳ぶ。
バキッ。
アレレ? (丿 ̄ο ̄)丿
何の音?
ふと見ると、乃子ちが怯えた顔をしてるぞ?
後ろを見たらその理由が分かった。
屋上ひび割れとるわ。
コンクリがだぞ?
そりゃ怖いわ。
スーン。
華麗に着地。
音も最小限に押さえたっ!
イヤッホゥ!
第2段階成功!
後は第3段階を遂行するまで。
アレ? (?_?)
乃子ちが泣いている。
「何で泣いているの?」
「……こっちの方が聞きたいわよ。何で貴方は私を此処まで連れて来たのよ?」
「誘拐だ。」
「じゃあ、何が目的なのよ?」
「お金?」
「えっ?」
驚かれた。
「中学生がお金のために誘拐するの?」
「うん。」
「親御さんの年収、何円なのよ??」
「手取りで100万円。」
「そんだけっ?」
「うん。」
「少ないわっ!」
そう言うと、ブツブツ言い出した。
「極貧者が……ると、犯罪……こるから…………――うん、分かったわ。」
「はいっ?」
「お金あげる。」
「えっ?」
「一千万でいいかしら。」
「いいのか?」
「はい。私のお小遣いからですもの。それに貴方、気に入りましたわ。」
「……どういう意味?」
「I love you. まさしく受け取ったわ。私の心は貴方に誘拐されました。うふっ。」
「えっ……。」
「ありがとね。」
「あっ、どうも……。」
「じゃあ、甘えていい?真輝君?いや、まー君?」
腕にしがみつかれた。
「あっ、誤解してるかもしれないけど。」
「ん?何?」
「この力、僕の力じゃないんだ。」
「いいよ、別に。まー君はまー君なんだから。うふふ。」
「なっ、何?」
「明日からみっちりお勉強しなきゃいけませんね。」
「えー…。」
「大丈夫。あたしが教えるから。」
「ありがとう…。」
「恋人の営みも?ふふっ。」
ブーーーーーーーッ!
僕は、唾を周りに撒き散らして眼を丸くするのであった。