12 ☆ ーβ γ δ
パンポン♪(しばらくお待ち下さい。)
◇◆◇◆◇◆
“新着メール受信”
“強盗ご苦労様です。得たお金の半分はコンサルタント料として頂きます。お金は郵送で、東京都金山の私書箱182に送って下さい。”
◇◆◇◆◇◆
読みました。
送りました。
6万3千円手元に残りました。
6万3千円といったら、3DSが4台買えちゃいます。
凄いお金です。
高校でアルバイトしてもそんだけのお金は1ヶ月掛かるでしょう。
だからと言って、お母さんに渡して家計の足しにとは言えません。
何で得たのか?その質問に答えられる訳ないですよね?
…このお金、どう使おう?
◇◆◇◆◇◆
“新着メール受信”
また来たよ。
“次の仕事を依頼しようと思う。さっきの仕事はいわば最低ランクの仕事だった。でも、今回は最高ランクのSランク仕事だ。キミだからこそできる仕事だから、よろしく。”
どんな仕事?
しかも、昨日の今日で仕事?
“キミには竹村乃子の誘拐をしてもらう。”
ハ? (゜ロ゜;?
“明後日の放課後、乃子は少しだけ1人になる。そのときを狙って誘拐してくれ。誘拐したあとは海辺野公園っていう公園に連れて来てくれ。じゃあ。”
乃子ちゃんを誘拐!?
できるのか?
そもそも、海辺野公園ってどこ?
遠い?
海辺って言ってるから、海の方にあるのかな?
どこにある?
調べる?
どうやって?
地図帳…は載ってるはず無いし。
お母さん…には聞けるはず無いし。
友達…には聞いても興味を持たれてダメだし。
インターネット…は家に通ってないし。
いや、あるっ!
その名もケータイ!
使えるじゃん!
というか今使ってる!
十字キーみたいなボタンの真ん中にある決定ボタンを押してインターネットをセレクト。
インターネットに繋いで、海辺野公園を検索。
近くにあった。
チャリで10分ぐらい。
こんな公園があったんだーとびっくりした。そこは山の中だった。
海辺って言ってるぐらいだから、海の近くにあるのかと勘違いしてた。
歩いて20分か。
走れば、何分かかる?
一回、行ってみようか。
全力ダッシュでダッシュッシュー♪
力も調べたいし。
只今、AM2:00。
牛木も眠る草三つ時。
あっれ、違ったっけな―?
つー訳でおやすみなさい。
◇◆◇◆◇◆
Good Morning.
いえ。
Good Afternoon!
いえーい!
お寝坊さんがここに1人。
あは、太陽が真上にある。
すっごく晴れてる。
僕を責めるように……。
はぁ。
今日は欠席かぁ。
無断になるかもしれない。
うーわ。
どうしよう。
タタタイヘンダァー! \(゜ロ\)(/ロ゜)/
いや、おつつけ、落ち着け。お茶を飲んで、深呼吸して……
そんな暇あるかーっ!
どうしよう、どうしよう。
学校休んじゃったよー!
「とりあえず、落ち着け。」
「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!」
ビクッとした。
少し翔んだんだ、宙を。
うふふっ、あははっ……!
「いやー、怖がらないでよ。」
いや、誰だお前。
お母さんはいないはずだ。
本当に誰だ?
「あれ?おじさんのこと忘れちゃった?」
頭が強制的にぐりんっと回される。
こきっ。
ウヘェ。
首の中の何かから、赤い何かが出てくる感覚。
気持ち悪っ。
目の前にいたのは…………桐壷だった。
◇◆◇◆◇◆
「どっ、どこから入って来た!いつ来た!何で入って来た!家に呼んだ覚えはないっ!」
「キミん家の窓から。1時間前ぐらい。開けっ放しだったから。それから、おじさんは悪魔じゃない。」
「あー、お母さん、もう少し戸締まりとかした方がいいのに。よりによって、こんな奴が――――――」
「こんな奴って誰だ?」
「あっ…いえいえ。滅相もございません。ところで、あなたが悪魔じゃないとおっしゃっていましたが、どういう意味ですか?」
フゥーと鼻でため息をつく。
「キミ、そんなことも知らないの?案外、お馬鹿さんだったんだね。」
「馬鹿じゃな、い!」
ふぅーん、そうなんだー、と意味深にアゴをさする。
「じゃあ、教えてあげるよ。悪魔は家に招かれないと人間のお家に入れないんだよ。なんかキミはおじさんを悪魔と思ってる節があるけどそれは、違うんだよ。」
「いや、そもそもあなたを悪魔とは思ってませんし。何用ですか?」
「ん~?何となく?」
「じゃあ、来んな。」
「つれないね~。」
「さあ、とっととお帰り下さいませ。」
ぐいぐい押して、玄関に運ぶ。
「ちょっ、ちょっと待ってよ~。」
「問答無用。」
――キリッ
「用事は、あったんだよ?!キミの家が大丈夫かと思って。」
は?
「どういう意味ですか?」
「どうもこうも、メールが警察に見つかってな。それでこの家に誰か来てないかなぁって。」
「はあ。わかりました。忠告は聞き入れました。さあどうぞお帰り下さい。」
「まっ、まだ有る!」
「無駄な情報だったら、ミンチにして犬に喰わせますよ…。」
「おじさんは有益な情報だと思って言ってるんだけどな。」
「早くして下さい。家が穢れます。貧乏なのにハウスクリーニングを頼まなくてはぁー!」
「ハイハイ、言いますよっと。ちゃんとロッカーに制服が入ってただろ?その中に熊の缶バッチが入ってた筈だ。それは、身体能力を上げるだけじゃない。キミの体にある特殊能力も伸びるんだ。1つだけだけど。」
「えっ?どんな?」
「……分かってたら、教えるよ。」
「そうですよね……。」
「じゃ、そろそろおいとましようかな?」
「あの、1つ聞いていいですか?」
「対価は払ってもらうよ。」
「…………どのぐらいでしょうか?」
スッと指を1本出して、
「一枚。」
「何をですか?海苔ですか?」
「違う。お札。」
「2000円札ですか?僕の宝物でしたが、あげましょう。」
「キミはまだ子供のようだ。うん。2000円札でいいよ。」
「はい…。」
恨めしそうに与作を見ながら、貯金箱を持って来る。
下のゴム蓋を取り外し、1枚のお札を取り出す。それ以外にお札は入っていない。
「教えて下さい。」
ぐしゃぐしゃの2000円札を差し出して、お辞儀した。
「走る速度は時速60キロ、跳べる高さは30メートルぐらいかな?キミの特殊能力は何だろうネ?」
「…………。」
「じゃあね。」
「あっ、はい……。」
特殊能力って何だろう?