11 ☆ ーβ γ δ
語り部:姫野 真輝
よーし、決めた。
僕は“Yes”を選択する。
沢山給料をもらって豪華な生活をするぞ!
面倒だけど、普通に働くよりは良さそうだからな。
返信をしなくては。
返信ボタンを押して、打つ。
“僕は悪に成ります。”
と打つ。
送信。
いえーい!
これで、極貧生活は、お わ りだ!(仰々しいポーズ)
おっ?
ケータイが震えたような気がする。
見ると、新着メールが来ていた。
早っ!
開封。
そこには仕事の依頼があった。
“とりあえず、初級の仕事を任せるよ。”
で?
何にも書いてないよ?
スクロールしてもなかった。
あれ?
あれれ?
おかしいなあ。
ねぇ、おじさん~。という江戸川君の声が頭に響く。
また、手の中にぶるるっと震える感覚。
“新着メール受信”
いえーい。
キタヨー! ○(≧▽≦)○
“キミには、『あなたがコンビニ、フミリアマート』でお馴染みのフミリアマート佐織店の強盗をしてもらう。”
エエー? (´・ω・`)?
“そこは賞味期限切れのお弁当を売ってたりするんだ。悪だろう?”
マアソリャ、ネ。 (-_-#)
“服装は明日、キミの学校のロッカーに入れとくからよろしく。”
ハア。 (´Д`)
“じゃあ、幸運を祈ってるよ。”
ワカリマシタ。 ( ̄▽ ̄;)
ハイ? (-.-;)
ナンデ、キョウノアシタデゴウトウシナケレバナラナイ? (; ̄Д ̄)?
何で?
?
まあ、いいや。
これをすれば、確実に豪華な生活ができるなら。
少々の面倒事でも引き受けなきゃな。うん。
明日、強盗すると決まったら今日は早く寝なきゃ。
明日の教科は数学・英語・体育・国語・社会・家庭科だ。
うへぇ。家庭科かぁ。テンション下がる。
それらの教科をリュックに押しこめて、寝る前の水を一杯飲み、家路ではなく、眠りについた。
◇◆◇◆◇◆
コケコッコー!
最近刻を作り始めた鷄が朝を告げる。
今、何時?
枕元の目覚まし時計を覗きこむと、6時45分だった。
いつもの15分前だった。
……起きるか。
眠いけど。
二度寝したら、もう起きれん。
フワァーっとあくびをして眠気をまぎらわす。
今日の朝ごはん、なんだっけ?
◇◆◇◆◇◆
昨日の残り物を朝ごはんに食べ、いつもより若干早めに家を出た。
今日はなんか宿題あったっけ?
あっ、国語のプリント!!
あっぶねー。
やったのに忘れるところだったよ。
取りに帰んのも面倒だけど、怒られる方がもっと面倒だ。
家に取りに帰り、出発するときにはいつもより遅くなっていた。
早歩きで急ぐ。
◇◆◇◆◇◆
を~、着いたっと。
学校にいつもの時間に着いた。
確か、ロッカーの中に何か入ってるって書いてあったけど……あった。
新聞紙にくるまれて。
えっ?
何故、新聞紙?
そんなに貧乏なの?
とりあえず、カサカサ音のする新聞紙包みを席に持ってく。
開くと、ペチャッとした布が。
よく見てみると、服だった。
白いTシャツとブルージーンズの半分に切ったやつ。それに、目出し帽となぜか安っぽい缶バッチ。
これでどうしろと?
他のやつは判る。ユニホームみたいなやつだろう。
でも、缶バッチ?
おしゃれ?
強盗がおしゃれする意味ある?
「ナニそれ?」
「わわっ、永瀬?」
永瀬だった。
「あー、…学校帰りに着替えてどっか行くつもり?」
「そ、そんなわけないじゃないか!」
「あっ、ウソついた。」
「ウソじゃない!」
「ウソ指摘されたからキレた。」
「オーイ、席つけ~。」
「ほっ、ほら先生来たぞ!」
「………。」
ごまかすなよという目をして席に戻ってく。
「姫野、森谷!カバンをしまっとけ!」
「はーい!」
「…はい。」
あとのやつが僕のだ。
「あとで片付けておけよ。じゃあ、朝の会を始……」
あー、よかった。
あの新聞紙包みがバレなくて。
フワァ~あふっ。
今日は何だか眠いなぁ。
メンドイ一日が始ま……
◇◆◇◆◇◆
うーん、よく寝たよく寝た。
1日中寝っぱなしだったよ。
勿論、机に突っ伏して寝てた訳じゃないけど。
……さーて、これからどうしよう?
強盗する?
何時にする?
何日にする?
まあ、いいや。
とりあえず、家に帰ろう。
「お帰り~。」
「…ただいま。」
お母さんが帰っていたとは。
少ーし、ビックリ!
強盗の件はどうしよう。
まあ、いっか。
お母さんが寝たあとに強盗行けばいっか。
ただいまPM13:00です。つまり、AM1:00ということ。
お母さんも寝て30分が経ちました。
さあ、絶好の強盗日和です。
強盗がダメだなんて思わない。
あっちも悪なんだ!
新聞紙にくるまれた服を取りだし、着る。
……うーわ。
最低。
ナニこれ?
ボロボロのジーンズ。ダメージってもんじゃない!
丈の短いTシャツ。へそだしかっ!さらに赤いくAとでっかく書いてある。
学校では気付かなかった真紅のマント。安っぽいヒーロー風味。
目出し帽なんてまんま強盗じゃないかっ!
ヤだよ、こんなん。
さっきメールに書いてあったけど。
こんなん着て強盗なんかしたくないよ!
……まあ、やるけど。
パンポン♪(少々お待ち下さい。)
目出し帽は目立つから現場で着けるとして、缶バッチ、どこ着けよう?
恥ずかしい柄だし(←プリチィーな熊)。
ジーンズの裏側につけとくか。
絶対つけとけって書いてあったし。
うわっ、ひやっこっ!
◇◆◇◆◇◆
まあ、そんなこんながあったけど、僕はフミリアマート佐織店に強盗に行くのであった。
◇◆◇◆◇◆
イエーイ!
つ・き・ま・し・た!
これまでの道のりでもいろいろあったけど、物語はリズムよくないとダメなので割愛♡
着いたと言っても今は50メートルぐらい離れてるけど。
目出し帽を被り、ダッシュ…
シュバッ!
わっ、通りすぎるっ!
ザーーシュッ!
足の裏、熱っ!
なんか臭っ!
靴、溶けたー!
ナニこれ?
この力?
っぱない!
缶バッチの力?
………。
……?
…まあ、いっか。
今は強盗に専念しよう。
強盗って何するの?
……お金を泥棒するのか?
うん、それでいこう。
ドアの前に立ち、開ける。
カランカランカララーン♪
「いらっしゃいませー!」
深夜なのに元気な声が響く。
「金を出せ~!」
出来る限りの渋い声を出す。
「ひぃっ!」
すくんでいるやや若い青年。
「出さねぇのか~?」
なまはげの要領で。
「は、はいっ!出します出します!どうぞっ!」
レジの鍵をカチャッと開けてある札を全てくれた。
いえーい!
あとは退散を。
バッと超常脚力で逃げる。
ガラスのドアは何とか破らずに逃走した。
追っ手は懸からず、遠回りしたのが無駄になった。
せっかく、面倒なことしたのにな。
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何を買おうかな?