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闇の中にて僕は輝く。  作者: udakuda
プロローグ
1/59

01 ☆  α β γ δ

 気に入らないこと、改善点ありましたら、是非是非お願いします。

 非常に文才のない作者ですがどうぞよろしくお願い致します。




語り部:竹村 乃子


……ちなみに彼女はヒロインです。

多分、ハイ。

 「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。名をば、さかきの造となむ言ひける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見ると、三寸ばかりなる人、いとうつくしうていたり。」

 学校の教室の窓際で竹取物語を聞いています。

 もう冬も終わり、新緑の芽が息吹いています。

 今日はいつもよりはぽかぽか暖かく、何だか嬉しい気持ちです。

 あら?

 どちら様ですか?

 はい?

 ええ、分かりました。私の“恋バナ”とやらが聞きたいのでしょう?良いですよ。

 ちょうど授業にも飽きていた頃ですからね。

 話しますよ。

 そう、それは中学一年生の頃でした。

 話すと少し長くなるのですが――――






   #



 「竹村乃子です。友達になってくれると嬉しいです。」

 そう言って、自己紹介をしました。

 そのとき、私は私立の女子校にはない、男の子の匂いと土埃の匂いに驚いていました。

 運動場はラバーで覆われた女子校でしたから。

 目の前には紺色と黒色が入り交じって、それが私を見つめています。

 前は目を合わせてくれる人も少なかったから。

 だから、それもまた新鮮に感じられるのです。

 みんなは私を偏見の目で見ずに素直な目で見てくれています。とても、嬉しいです。

 「おい、あの子美人じゃね。」

 なんて声もちらほら聞こえます。

 嬉しいなぁ。

 こんな幸せがいつまでも続いてくれたらなぁと思いながら感慨に目を閉じました。




◇◆◇◆◇◆




 「ねぇ、何小?」

 若干けばけばしい女の子が話しかけてきました。

 友達候補になれるかもと思って、良い口当たりの言葉を発します。

 「えっと、淑徳小学校だよ。」

 「えっ、マジで?SSKの?何でこんな地味ーな田舎中学にきたのー?」

 「えっ、私立がもう嫌だったからね。」

 「あっ、そうなんだ……。」

 ……少し誤解させてしまいました。

 「うちらが友達になってあげるから心配しないで、ね。」

 「うん、ありがとう。」

 ……いじめられていたと勘違いされてしまったみたいです。

 「乃子って呼んでいー?」

 「うん、いいよ。」

 「じゃあうちらは友達だからね。」

 「うん!」

 中鶴さんたちがどっかに行ったあとは、色んな人が私を囲みました。

 楽しかったです。

 とっても。

 幸いにも私の正体に気づいている人は居ませんでした。

 さあ、新しい中学校生活を楽しみましょう! と意気込んだのでした。



   #






 キーンコーンカーンコーン――――

 あっ、チャイムが鳴っちゃっいました。

 妖精さん、次は体育だから次の次の時間でまた話しますので、ね。

 「乃子ちゃんのブルマ~!」

 むっ。

 まあ、しょうがないか。男の子ですものね。

 じゃあね。

 あっ。

 でも。

 妖精さんは見・な・い・で・ね?(with エンジェルスマイル!!)


 “妖精さんは鼻血を吹いて倒れた!”

 “妖精さんは気絶した!”

 ――戦闘終了――









 あれっ?

 居ないなぁ。

 妖精さん、帰ったのかしら。

 じゃあ、授業に集中しようかな。


 居ないなんて。

 妖精さんの……嘘つき。




◇◆◇◆◇◆




 あら、また来たの?

 昨日は?

 何で来なかったの?

 えっ。本当に?

 やめてよー、照れるでしょう?

 もう。早速始めるわよ。時間は限りあるからね。

 そう、時間は有限なのよ……。






   #



 1週間は普通に過ごしました。

 とっても気楽でした。人に気遣って嫌味な視線にさらされなくても済んだのですから。

 ですが、新学期が始まってからちょうど9日経ったその日に一人の女の子から私に爆弾(発言)が手渡されたのです。

 「乃子ちゃんって、竹村財閥の子?昨日、パパが竹村財閥の会長のブログに愛娘が公立中学に行ったっての見つけたんだけど……。」

 バ、バレました。

 お父様!

 愛しい娘の幸せすら願えないのですか!

 「ううん、違うよ。」

 誤魔化してみます。

 時間の問題ですが、する価値は一応あると思います。

 「私は庶民だよ。」

 まるで、言い聞かせるように。




◇◆◇◆◇◆




 所詮そんな嘘はすぐにばれます。

 覚悟はしていました。

 ある人は私を尾行して、ある人は親に頼んで会長の愛娘の情報を集め、ある人は何となーく、噂が集まってくるのを待ち、そうして私の正体が竹村財閥の一人娘、乃子令嬢だとばれました。

 いじめられると思っていましたがそんなことなどは全くありませんでした。

 仲間はずれにもされませんでした。

 じゃあ、何をされてしまうのかしら?

 不安で不安で仕方がありませんでした。

 ええ。

 ……待っていたのは告白の嵐でした。

 竹村家の財力を求め告白する者、私自身の美貌を求め告白する者、両方の人もいました。

 多くの人が私の元を訪れました。

 正直言って困ります。

 私は聖徳太子とは違い、何人も相手には出来ません。

 私に言い寄る人々をなだめすかし、明日返事すると返事しました。



   #







 「竹村! 竹村?」

 「はっ、はいっ?なんでしょう?」

 「ぼーっとしていたのか。」

 「はい…」

 「竹村らしくないなぁ。」

 「はぃ…」

 「もう一度説明するぞ。A、Bは円Oの周上の点、直線TT’は点Aで円Oに接している。∠OABの大きさが∠BATの大きさより38゜大きいとき、∠OABの大きさは?」

 「えっと、64゜です。」

 「当たりだ。良く勉強してあるな。皆も竹村を見習えよ。」

 「「「はーい。」」」

 みんなが返事をします。

 「天は二物も三物も与えるんだなぁ。」

 ぽそっと呟く声が聞こえました。

 確かに事実ではあるので、戯れ言とは捉えずに胸の奥深くにしまいました。

 重要議題として。



 妖精さん、妖精さん。

 授業中は話し掛けないでくれる?

 帰り道で話すから、ね?

 ありがとう。

 じゃあ、また後でね。

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