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漫画原作(未作画)

LOCK UP! 【シナリオ形式】

作者: 阿僧祇

■登場人物

(名前は仮称であり、変更して問題ありません。また、劇中に名前が紹介されない人物

 もいますが、絵であるていどキャラ立ちしてさえいれば必要ないという判断ですので、

 無理してまでセリフに名前を挿入しないでください)


大久保孝則:(おおくぼ・のりたか)イジメラレ者高校生。

高田久美:(たかだ・くみ)他校生の女の子。


高田裕美:(たかだ・ひろみ)久美の姉。大学生か社会人。


新宿春彦:(にいじゅく・はるひこ)痩せ型の、長身で小ずるそうな奴。

男子B:孝則の級友。

男子C:孝則の級友。

男子D:孝則の級友。


目白典貴:(めじろ・のりたか)久美の学校の男子生徒。美形。


女子A:久美の級友。

女子B:久美の級友。

女子C:久美の級友。

女子D:久美の級友。



[1]

T「LOCK UP!」


[2]

□(小コマ)

  プァァァ…

  電車が走る。

  朝の電車内。

  やや混みあっているが、男子高校生たちが談笑中。(春彦たち)

  その中で、ちょっと嫌そうな顔の孝則。

孝則(心の声)『朝っぱらからこいつらと同じ電車か…』『嫌な一日になりそうだ』

春彦「おお、そうそう。今日な、面白えもの持って来たんだ。」

男子C「なに?」

春彦の声「じゃーん」

  手に持たれてるのは手錠。

  手錠に群れてる一同。

男子B「マジ~? 本物かコレ?」

春彦「ああ、オヤジから黙って借りてきた」

男子C「刑事の息子が親のものをギるなよ、春彦…」

男子D「ま、いつものことじゃん」


[3]

春彦「おい大久保。ちょっと手ェ出せ」

孝則「え? まさか……」

男子C「いいから出せっつってんだよ!!」

ガチャッ

  孝則の右手に手錠が。

孝則(ひきつり笑い)「おい、冗談はやめてくれよ」「カギは?」

春彦「カギはねえ」

男子B「大久保を手すりにつないじゃおうぜ」

男子C「よし」

  焦って目を見開く孝則。

孝則「!!」

プシュウウウ…

  開く扉。ホームに立ってる乗客の中に、思案顔の久美。

孝則の声(男子Cにしがみついてる様子)「よせ!! やめろってば!」

男子Cの声(孝則ともみ合ってる)「邪魔するんじゃねえ!」

春彦「逆らうんじゃねえよ、大久保の分際で!」


[4]

  ガチャッ(擬音のみ)

久美「え?」

  左手に手錠が。

孝則「あ?」

男子C「あ…」

  ダダダッ

春彦「ヤベエ!」

  孝則と久美以外の一同、ホームに飛び出す。

アナウンス「閉まる扉にご注意ください。」

孝則「え!?」

  繋がれた孝則と久美は後に残される。


[5]

  プシュウウウ…

  扉が閉まる。

  孝則がガラスを拳で叩く。


□ 電車内。

  呆然としてる久美と孝則。

  久美、手錠を示しながら、

久美「ちょっと! ふざけないで! 何よコレ!?」

孝則「知るかよ! あいつらに言ってくれ!」

  ふたりは激しく言い合い。

久美「あなたの友達じゃないの!?」

孝則(手錠を示し)「こんなことされて仲良しの友達に見えるか!?」

  ゴトトン、ゴトトン

  走る電車の中で、手錠され沈黙して見詰め合う二人。


[6]

  プァァァン

  走っていく電車。


□(時間経過)

  駅のベンチに座ってる二人。

  孝則はやすりを鎖に当ててる。

  ゴリゴリゴリ

久美「鎖じゃなくて、輪を切って」

  ゴリゴリゴリ…

孝則「…………時間かかるぞ?」

久美「手錠(こんなの)着けたまま学校に行けないでしょ」

孝則「今日だけ我慢できない?」


[7]

久美(絶叫)「今日だからダメなのよっ!」

孝則「……?」

  赤面して目を逸らす久美。

  ゴリゴリゴリ…

  孝則、鎖を見つめながら

孝則「輪を切ってたら、昼までかかってもおわらないよ?」

久美「こっ、困るっ! あたし、今日、一時間目の後に…」


□(時間経過)

  久美の学校。校舎裏の植木のそば。

  繋がれたままの久美と孝則。

  久美の前に立つのは困惑してる典貴。


[8]

典貴「どういうこと、これ?」

久美「あっ、あのっ、これにはいろいろと理由(わけ)が……!」

典貴(不快な表情で立ち去る)「大事な話があるって高田さんが言ったから

 来たのに……ふざけてる!」

久美「あ……」


  呆然と見送る久美。

  なすすべも無く久美を見ている孝則。

  肩を震わせてる久美。

  その後ろから孝則。

孝則「その、なんて言うか……」

キッ

  涙目で孝則を睨みつけ


[9]

久美(泣き喚き)「どうしてくれんのよ!! ひとの告白ぶっ壊して! 何とか言い

 なさいよ!」

  タジタジの孝則。

久美(大泣き)「うわわわあああん!!」


□ 公園の時計搭。(時間経過)

  公園のベンチでやすりをかけてる孝則。

  その側で眠ってしまってる久美。

  泣き疲れて眠ってしまったようだ。

  ふと久美を見る孝則。

  久美の寝顔。


[10]

  孝則、学ランを脱いで久美にかける。

  一人で照れて誤魔化す表情の孝則

  ゴリゴリゴリ……

  手錠にやすりをかけ続ける。

  ゴリゴリゴリ…

  目が覚めかける久美。

  目が覚めた久美。自分にかけられてる学ランに気付いて驚く。


[11]

久美(絶叫)「きゃああああっ!!!」

  学ランを跳ね上げる久美。

  孝則は驚いてすっとびかける。

久美「あ……」

  地面に落ちて汚れた学ラン。

  孝則、すっころんで汚れて疑問顔。

久美「ご、ごめんなさい」「つい、気持ち悪…あ、いや!」

  立ち上る孝則


[12]

  ゴリゴリゴリ

  孝則、泥だらけの学ランを着て無表情でやすりをかけ続ける。

久美「・・・・・」

  久美、何か言おうとするけど気まずくて言えない。

  ゴリゴリゴリ

  孝則、無表情でやすりをかけ続ける。

  遠くからやってくる4人の女の子。

  久美と同じ制服。こちらを指差して何か話している。

女子A「久美~ぃ、聞いたわよ」

女子B「男連れで告ろうとしたって?」

女子C「すごい自信ね」

  頭を抱えて目を閉じてしまう久美。


[13]

孝則「やめろよ」

女子C「あんたが久美のお邪魔虫?」

女子D「久美の恋を壊してどう責任取る気?」

孝則(立ち上がり)「うるさい!」「オマエらには他人事だろうけど高田さんには

 大問題なんだぞ! もちろん俺にもな!」「てめーら、友達なら無責任に傷付け

 るんじゃねえ!」

女子B「何エラソーに言ってんのコイツ?」

  孝則、怒りを我慢する表情。


[14]

  どかっ!

  女子Bを蹴っ飛ばしてしまう孝則。

女子A「ひっ!!」

  驚く4人。

久美(後ろから孝則に飛びついて)「ちょっと!! なにやってんのよ!」

孝則「え?」

  タタタタ・・・・

  ひぃ~~~・・・・

 (4人が逃げていく音)

孝則「あ、いや、つい……」

久美(激怒)「つい、じゃないでしょ! 女の子を蹴飛ばすなんてなんて乱暴な!!」


[15]

孝則「ご…ごめん。自分のことなら我慢するんだけど、高田さんが馬鹿にされたら、

 なんか我慢できなくて…」

  久美、ちょっと驚きつつも憮然とした表情で睨み返す。


□ 夕暮れ…(時間経過)

□ …の久美の家。

裕美「なるほど、事情はわかったけどね・・・」


[16]

  久美の顔は少し汚れている。(ずっと外にいたため)

久美「でね、お姉ちゃん。わたしたち、もう手が疲れちゃってるから、ヤスリを

 お願いできない?」

裕美「冗談! なんであたしが」

裕美「ホームセンターへでも行って、金ノコで切ってもらえば済むことじゃない。」

久美「金ノコ……あ、そうか!」

孝則「でも、ホームセンター、もう閉まってるんじゃ…」

  孝則の顔も汚れている。

裕美(あたり前のように)「あした行けば?」

久美「じゃあ今日はこのまんまってこと!?」

裕美「一晩くらい我慢しなさいよ」「お父ンもお母ンも留守でよかったわね、説明する

 手間が省けて」

  困って顔を見あわせる孝則と久美。


[17]

□ 電話口。

  孝則が受話器を手にしている。その後ろに久美。

  そこへ顔を出した裕美が

裕美「お家には?」

孝則「あ、はい。友達のところに泊まるって。(嘘はついてないよな(汗))」

裕美「それじゃ、顔の汚れを落してきなさい。おふろ沸いてるから。」

  呆然としてる孝則と久美。

  顔を見あわせて驚愕。

孝則&久美「おふろぉ!?」


[18]

□ 風呂場。

  孝則も久美もタオルで目隠ししてる。

  (どうやって服を脱てだのか読み手さんが考えないよう誤魔化してください(笑))

久美「目隠しとったら許さないからね?」

孝則「そ、そっちこそ!」

  片手で体を洗ってる孝則と、

  風呂桶に漬ってる久美。

孝則「か、片手だと、洗いにくい…」(絵だけでうまく表現できたなら「あ、洗いにく

 い…」)

久美「…手伝おうか?」

  久美、孝則の背中を流す。

久美「まったく、なんで私がこんなこと」

孝則「ごめん。俺も手伝うからさ」

  位置を入れ替えようと立ち上る孝則。

久美「変なとこ触ったらコロスわよ?」

孝則「…気を付けるよ」


[19]

  さわっ…

  しかし、入れ替わるときに久美の手の方が孝則の××に

  触れてしまう。

久美&孝則「!!」

  驚愕する二人。

□ 

久美「きゃっ!」

孝則「え!? わっ!!」

  久美は驚いて離れようとする。

  そのため鎖で引っ張られ孝則バランスを崩す。

  どさっ

  抱き合うようにマットの上に倒れる二人。

  勢いで目隠しがずれてしまう。


[20]

  ひくっ

  引きつり顔で見つめてる久美。

  ひくっ…

  引きつり笑いで見つめてる孝則。


□ キッチンでは裕美が炒め物中。

久美の悲鳴「きゃああああっ!! 何おっきくしてんの、この変態!!」

孝則の悲鳴「ぎゃああああっ!! 握り潰すなぁぁぁーっ!(涙)」

裕美「あらま、仲のよいこと。」

  くすくす。


□ (場面転換)

  顔じゅうバンドエイドだらけで憮然としてる孝則。

  顔じゅうバンドエイドだらけで食事中の不機嫌な久美。


[21]

□ そこは食卓だった。

裕美「そうか、右手が繋がってるから食べにくいのね」

孝則「ええ、まあ。」

裕美「久美、食べさせてあげたら?」

久美「なんで私が!」

  クスクス

裕美「一緒におふろに入った仲でしょう?」

久美(真っ赤になって激怒)「おねえちゃんっ!!」

  がちゃんっ!!

孝則(左手でフォークを持ち、皿をかきまわしながら)「構いません、構いません、

 左手でもなんとか食べられますから。」

  孝則を見てる久美。

久美「ほら。」

  久美、不本意という表情で、フォークに

  刺したソーセージを孝則の口の前へ。

  びっくりしてる孝則。


[22]

□ 久美の部屋。

  デスクに向かって宿題してる二人。

  (顔のバンドエイドは孝則だけ)

孝則「この問題はね、こう……」

久美「あ、そうだったんだ」

  久美、挑戦するような笑顔で

久美「ふーん。意外に頭いいじゃない?」

孝則「いちおう、国立目指してるから」

久美(軽蔑して)「なによ? あんた一流大学行って出世しようってクチ?」

孝則ムッとして「理数系に進んで、体の不自由な人を助けるロボットを作るん

 だよ!」

  目を見開く久美。


[23]

  孝則、手錠で繋がれた手を示して

孝則「こんなふうに利き手が使えない人でも、困らないようにね」

  久美、驚いて

久美「すごい……将来のことなんて、わたし、まだ考えてなかった。」

  孝則は無視するように

孝則「やりたいことはいずれ見つかるさ。あとはやる気になるかどうかだけだ」

久美(立ち上ってごまかすように)「さて、宿題は終り!」


  フッ

  部屋の窓の灯りが消える。


[24]

□ 暗い部屋の中。

  (以降、顔のバンドエイドはなし)

  ベッドで寝てる久美。

  床で寝てる孝則。

  手錠で繋がれた手が宙に浮いてる。

久美「ねえ、手が疲れない?」

孝則「うん…」

久美「あの…大久保くんもベッドに入ったら疲れないよね?」

  驚く孝則。

久美「あっ、でも、寝るだけだからね!? 体に触ったら大声あげるからね!」

  笑顔で溜息をつく孝則。


[25]

  孝則、ベッドに入り背を向けて

孝則「じゃ、おやすみ」

  仰向けに寝てる久美と、

  久美に背を向けて背中を丸めてる孝則。

  久美の手は普通だが、孝則の腕がねじれてる。

久美「普通に寝たら?」

孝則(汗)「いいよ、これで!」


[26]

久美「?」

久美「どうしたの?」

孝則(汗、汗)「…高田さんの…毛布のにおいで…生理現象っ…」

久美「わっ、私で、また!?」

  久美、真っ赤になってあわてて背を向ける。

  お互いに背を向け、赤面しながら気まずそうに

久美「それって…苦しいの?」

孝則(背中)「うん…ちょっと」

孝則(苦笑しながら)「右手が自由だったら自分で済ましちゃうんだけどね」

久美(背中)「あの…」


[27]

  ドキドキ…

久美「私の右手……、使う?」

  ドキッ!

孝則「えっ!?」

  久美、向きなおって口を閉じ、真っ赤な顔。

孝則「…高田さん、今日、失恋したばっかりだろ。淋しくても安売りしちゃだめだよ」

 「そんなこと言ったら抱きしめちゃうぞ?」

久美「…大久保くんのこと、彼だと思って泣いてもかまわないんなら、……抱き

 しめていいよ。」


[28]

  見つめる孝則。

  見つめる久美。

  孝則の手が久美の肩に。

  目をつぶり、涙目で唇を突き出す久美。


[29]

  暗い寝室で、孝則と久美が抱き合っている。

  唇が重ねられてる。


□ 窓。

  チュンチュン…

  夜明け。


[30]

  カシャーン!

  外れる手錠。

□ そこはホームセンターのカウンター。

孝則(手をさすりながら)「そうか…考えてみれば春彦のお父さんにカギを借りれば

 よかったんだ!」

久美「あっ!」

久美「大久保くん、なんで気がつかなかったのよ?」

孝則「高田さんこそ」

  クスッ

  お互いに微笑みあう二人。


[31]

□ 駅のホーム。

孝則(名残惜しそうに)「さて…これで、お別れだね」

久美(他人事のように)「ふーん…あんなことまでしといて『はいサヨナラ』って?」

孝則(汗)「え?」

久美(顔を赤らめ、目を逸らしながら探るように)「わたし、いつも8時12分の電車

 に乗るんだけど……」

孝則(驚いてる)「……」

孝則(笑顔)「…うん! じゃあ、また明日!」


[32]

  驚く久美。

久美(嬉し涙の笑顔)「…じゃあ、また明日!」


  プアァァァン・・・

  電車が走っていく。



   ~ おわり ~


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― 新着の感想 ―
[一言] 面白いっ!! 良い子が見ていい話にはならなそうだけど、それでも心暖まるいい話だ!!
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