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隣人意識調査の結果について  作者: 三嶋トウカ
後編

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調査報告書 No.B064-027


 【令和六年度 伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 調査報告書 No.B064-027】

 作成日:令和七年一月十五日

 作成者:伊佐鷺裏市役所 文化遺産保護課 特別儀式チーム



『件名』

 幽界村封印強化儀式の実施記録



『調査目的』

 桜見荘三〇二号室地下で発見された古代石碑の破損により、幽界村との境界封印が弱体化していることが判明した。

 これを修復し、超常的侵入を防ぐための最終封印儀式を執行する。



『調査方法』

 文化遺産保護課・特別儀式チームが現地入りし、事前に収集した呪文の全文復元と石碑の物理的修復を並行実施。

 儀式は深夜零時より開始し、護符、香煙、特殊音響機材を用いて結界を展開。

 現場には防推課監視班も同席し、全工程を記録。



『調査結果』

 儀式中、室内外で異常な気象変動が確認された。

 突発的な風のうなりが石碑の周囲を巡り、温度はわずか数分間で十度以上低下。記録映像には、目視では捉えられなかった人影のような揺らぎが数度出現している。

 呪文詠唱の終盤、石碑表面が淡い光を帯び、ひび割れが徐々に閉じていく様子が確認された。

 儀式は午前二時二十二分、予定より二分遅れて完了。封印は現時点で安定状態にあると判断された。



『考察』

 気象や温度変化は、封印対象である幽界村側からの干渉、あるいは抵抗反応であった可能性が高い。

 現地で発生した低周波音は過去の幽界事案に類似しており、封印の必要性を裏付ける結果となった。

 ただし、封印により幽界村内部に囚われた三〇二号室元住人の解放は困難になった可能性がある。

 この点は今後の倫理的・技術的検討課題となる。



『今後の対応』

 封印の維持状況を定期的に監視し、異常値が観測された場合は即座に再儀式を実施できる体制を構築する。

 加えて、幽界村内部に取り残された可能性のある人物救出の可否を専門委員会にて検討する。




 以上



 ※追記(令和七年一月二十日付)

 儀式完了から五日後、儀式に参加した特別儀式チームおよび監視班の一部メンバーに、軽度の体調不良や悪夢の訴えが相次いだ。症状は主に以下の通り。

 ・深夜に耳元で囁かれる感覚(内容は判別不能)

 ・異常な冷感が手首から肘にかけて持続

 ・同じ夢を繰り返し見る(内容は石碑の前に立つ影の集合)


 また、監視用映像の一部に原因不明のノイズが発生しており、儀式終了直後から約六分間、音声記録に低周波成分が増幅していたことが確認された。

 これらは封印再強化の副作用、もしくは幽界村側の「最後の干渉」と推測される。

 現状、全員の症状は軽度であるが、長期的影響については不明なため、引き続き健康状態の経過観察を実施する。

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