調査報告書 No.B064-002
【令和六年度 伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 調査報告書 No.B064-002】
作成日:令和六年十月三日
作成者:伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 主任 A田B男
『件名』
「桜見荘」三○二号室 現地訪問記録および契約者情報確認結果について
『訪問日時』
令和六年十月二日 午後十五時~一五時三十分
『訪問者』
伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 A田B男(主任)、臨時職員 K氏(二十八歳)
『訪問目的』
前回の住民互助意識アンケート及び担当者証言において孤立が指摘された「桜見荘」三○二号室に対し、現地訪問を行い、物理的状況の確認および住人との接触試行を目的とする。
加えて、契約者情報の詳細確認を管理会社に依頼し、住人の所在と連絡状況を調査した。
『現地訪問状況』
1. 建物状況及び対象部屋環境
訪問当日は曇天で、気温は二十八度前後。
三○二号室の所在する桜見荘は築十五年の三階建賃貸住宅であり、当該部屋は三階の中間に位置する。
三○二号室の前廊下はカーペット敷きで、他の部屋と共通のグレー系の色調が施されている。
対象部屋のドア前は特に異常なし。
床のカーペットには靴跡が一切確認できず、日常的に人が頻繁に出入りしている様子は窺えなかった。
これは住人の外出頻度が極めて少ない可能性を示唆する。
2. ドア周辺の状態
ドア横の表札は空欄であり、住人名は記されていなかった。
通常、賃貸住宅では入居者の名前や室番号が記載されることが多いが、三○二号室は表札に記名がなかった。
これは住人が自己の特定を望まない意志の現れと推察されるが、管理会社の管理状況も合わせて今後確認が必要である。
(三○二以外でも、同様の表札が多数見られた)
また、ドアの覗き穴は外部から確認した限り、特段の加工や遮蔽はなかった。
覗き穴周辺に異物や破損もなく、通常の状態が保たれていることを確認。
3. ノック及び応答
・一度目のノック:ドアを軽く1回ノックしたが応答なし。
・約五秒後、再度ノックを行ったところ、中から女性の声で「はい」と明瞭な応答があった。
その後、住人の氏名及び在宅の確認を試みたが、返答は「今は、無理です」とのみであり、直接の面会・応答を拒否された。
4. 管理会社への契約者情報確認
翌日、管理会社に対し三○二号室の契約者情報の照会を依頼したところ、以下の通りの回答を得た。
・契約者の氏名は記録上存在。
・連絡先電話番号は既に解約済みで連絡不能。
・緊急連絡先として登録されている人物の情報も無効化されており、現時点で連絡が取れない状態。
『考察および問題点』
・三○二号室は物理的に住人の存在が認められるものの、日常的な外出や住民との交流はほとんど見られない。
・表札の空欄、応答の拒否、連絡先の無効化などから、住人は積極的に外部との接触を避け、孤立状態にある可能性が高い。
・住人の緊急時対応や生活状況の把握が困難であり、防犯・防災面でのリスクが懸念される。
・管理会社側も住人との連絡手段を確保できておらず、管理体制の見直しが求められる。
『今後の対応策提案』
1. 三○二号室住人への安全確認を目的とした再訪問の実施。可能な場合、福祉部門と連携し生活状況の把握を試みる。
2. 管理会社への立ち入り調査依頼を検討し、室内の現状把握を目指す。
3. 他住民への再聞き取り調査で、三○二号室住人の生活リズムや行動パターンの追加情報収集。
4. 桜見荘全体の防犯・コミュニティ活性化に向けた施策の検討。孤立住民への支援プログラムを含めることが望ましい。
以上