表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣人意識調査の結果について  作者: 三嶋トウカ
前編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/50

管理人の異変報告録音記録


 【令和六年度 伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 調査報告書 No.B064-追補-08】

 作成日:令和六年十一月十一日

 作成者:伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 臨時職員K



『管理人の異変報告録音記録』

 調査日:令和六年十一月十一日

 調査者:伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 臨時職員K

 被調査者:マンション管理人M氏(男性、六十代)



 ***


【録音開始】



 K:本日は証言をいただけるということで。ありがとうございます。早速、三〇二号室での異変について、実際に目撃されたことをできるだけ詳しく教えていただけますか?

 M:はい、その件については正直、最初は信じられませんでした。ある夜の巡回中、三〇二号室のドアノブが微かに揺れているのを見つけたんです。最初は『風のせいだろう』と思っていましたが、その日は廊下にほとんど風がなく、ドアノブだけが揺れているのが不自然でした。


 K:(続けて)その時、廊下や外には誰か他にいましたか?

 M:いえ、誰もいませんでした。廊下は静まり返っていて、妙に冷たい空気が漂っていました。怖くなってもう一度見に行こうとした瞬間、ドアノブの揺れは突然ピタリと止まったんです。まるで息を潜めているようでした。


 K:その後、三〇二号室の周辺で何か異変は感じられましたか?

 M:はい、そこを通ると、いつもとは明らかに違う冷気を感じました。空気が重たくて、まるで時間が止まっているような感覚でした。背筋がゾッとすることが何度もありましたね。


 K:住民の方からの報告などはありましたか?

 M:(少しバツの悪そうに)……そうですね、何人かの住民の方から夜中に女性のすすり泣く声が聞こえる、という話を聞いています。最初は気のせいだろうと思いましたが、複数の人から同じような話が出ているので、無視できなくなりました。


 K:その他、気になることはありますか?

 M:(少し息を吐きながら)三〇二号室だけ、なんとなく『違う』気配がずっと漂っています。普通の部屋じゃないというか……住んでいる人がいるのかもわからないのに、不気味な存在感があります。あと、これ会社にはちゃんと報告は入れているんですけど、正直あまり重視してもらえていなくて……。僕も雇われの身なので、あまり大事にはできないんですよね。だから正直、こういう話はあまり表に出したくないです。でも、これ以上何も起きないことを祈るばかりです。


 K:お話しいただき、ありがとうございました。


【録音終了】



 ***



 『調査官所見』

 マンション管理人K氏は、三〇二号室に関して複数の異常現象を目撃・体感し、廊下での不自然なドアノブの揺れや周辺の冷気、住民からの女性のすすり泣き声の報告などを通じて、当該住居の異様な状態を証言している。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ