管理人の異変報告録音記録
【令和六年度 伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 調査報告書 No.B064-追補-08】
作成日:令和六年十一月十一日
作成者:伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 臨時職員K
『管理人の異変報告録音記録』
調査日:令和六年十一月十一日
調査者:伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 臨時職員K
被調査者:マンション管理人M氏(男性、六十代)
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【録音開始】
K:本日は証言をいただけるということで。ありがとうございます。早速、三〇二号室での異変について、実際に目撃されたことをできるだけ詳しく教えていただけますか?
M:はい、その件については正直、最初は信じられませんでした。ある夜の巡回中、三〇二号室のドアノブが微かに揺れているのを見つけたんです。最初は『風のせいだろう』と思っていましたが、その日は廊下にほとんど風がなく、ドアノブだけが揺れているのが不自然でした。
K:(続けて)その時、廊下や外には誰か他にいましたか?
M:いえ、誰もいませんでした。廊下は静まり返っていて、妙に冷たい空気が漂っていました。怖くなってもう一度見に行こうとした瞬間、ドアノブの揺れは突然ピタリと止まったんです。まるで息を潜めているようでした。
K:その後、三〇二号室の周辺で何か異変は感じられましたか?
M:はい、そこを通ると、いつもとは明らかに違う冷気を感じました。空気が重たくて、まるで時間が止まっているような感覚でした。背筋がゾッとすることが何度もありましたね。
K:住民の方からの報告などはありましたか?
M:(少しバツの悪そうに)……そうですね、何人かの住民の方から夜中に女性のすすり泣く声が聞こえる、という話を聞いています。最初は気のせいだろうと思いましたが、複数の人から同じような話が出ているので、無視できなくなりました。
K:その他、気になることはありますか?
M:(少し息を吐きながら)三〇二号室だけ、なんとなく『違う』気配がずっと漂っています。普通の部屋じゃないというか……住んでいる人がいるのかもわからないのに、不気味な存在感があります。あと、これ会社にはちゃんと報告は入れているんですけど、正直あまり重視してもらえていなくて……。僕も雇われの身なので、あまり大事にはできないんですよね。だから正直、こういう話はあまり表に出したくないです。でも、これ以上何も起きないことを祈るばかりです。
K:お話しいただき、ありがとうございました。
【録音終了】
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『調査官所見』
マンション管理人K氏は、三〇二号室に関して複数の異常現象を目撃・体感し、廊下での不自然なドアノブの揺れや周辺の冷気、住民からの女性のすすり泣き声の報告などを通じて、当該住居の異様な状態を証言している。




