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隣人意識調査の結果について  作者: 三嶋トウカ
前編

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17/50

上階住人の追加インタビュー録音記録


 【令和六年度伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 調査報告書 No.B064-追補-05】

 作成日:令和六年十一月一日

 作成者:伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 臨時職員K



『上階住人の追加インタビュー録音記録』

 調査日:令和六年十一月一日

 調査者:伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 臨時職員 K

 被調査者:四〇一号室住人 N氏(男性、五十代)



 ***


【録音開始】



 K:お忙しいところ、再度お時間をいただきましてありがとうございます。早速お聞かせください。三〇二号室の窓から夜中に漏れる光についてですが、どのような状況でしたか?

 N:ええ、三〇二号室には窓がないはずなんです。でも、夜中の二時ごろになると、あの部屋の辺りから強烈な光が漏れているのを何度も見ました。最初は気のせいかと思っていましたが、他の隣人も同じようなことを話していました。


 K:光の色や強さについて、何か特徴はありましたか?

 N:色は白っぽい光で、かなり強くて目を細めるくらいでした。窓がないのに光が漏れているのは不自然で、不気味に感じましたね。


 K:そのほか、夜間に気になることはありましたか?

 N:そうですね……ある晩のことですが、廊下からかすかに女性の歌声が聞こえてきたことがありました。とても悲しげで、どこか心に響く歌でした。最初は怖くて耳をふさいだんですが、逆に気になってしまってしばらく耳を傾けていました。


 K:歌声の内容や言葉はわかりましたか?

 N:言葉までははっきり聞き取れませんでした。ただ、メロディーが悲しげで、どこか切なさを感じさせるものでした。


 K:他の住人からも何か気になる話は聞いていますか?

 N:ええ、他の数名も『静かな夜に突然物音が増えた』とか『時折、異様な冷気を感じる』という話をしていました。気のせいかもしれませんが、あの部屋の周辺だけ妙に雰囲気が違うんですよね。


 K:長く住んでいる方として、何か思い当たる原因などはありますか?

 N:いや、正直なところわかりません。ただ、あの部屋から出てくる気配もなく、まるで誰もいないみたいなんです。だから余計に怖くなるというか……。たまに見る人影、あれって人影なんですかね?


 K:(少し考えて)ちなみに、過去に三〇二号室に住んでいた方についてご存知のことはありますか?

 N:そうですね、十年ほど前に……確か斎藤絵里さんという女性が住んでいました。彼女が突然姿を消してから、部屋の様子がおかしくなったと聞いています。今回の光や声のことも、もしかしたらその頃から何か関係しているのかもしれませんね。


 K:本日は貴重な証言をありがとうございました。今後の調査の参考にさせていただきます。


【録音終了】


 ***



 『調査官所見』

 他住民数名からも同様に、静かな夜に突然物音が増えた時折異様な冷気を感じるとの証言が寄せられており、三〇二号室周辺における異常現象の継続的な発生が示唆されている。

 過去の住人である斎藤絵里氏の突然の失踪が、現在の異常現象と何らかの関連を持つ可能性も排除できず、調査の重要な糸口として位置付けられる。




 以上

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