消えた住民についてのインタビュー録音記録
【令和六年度伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 調査報告書 No.B064-追補-03】
作成日:令和六年十月二十五日
作成者:伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 臨時職員K
『消えた住民についてのインタビュー録音記録』
調査日:令和六年十月二十五日
調査者:伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 臨時職員 K
被調査者:元桜見荘住人 A氏(男性、四十代)
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【録音開始】
K:お忙しいところ、お時間をいただきましてありがとうございます。今回は、三〇二号室にまつわる過去の事情についてお話を伺えればと思いまして。
A:(やや間をおいて)ええ、こちらこそお役に立てればと思います。実は私、かつて桜見荘に住んでおりました。今の住人の方から市役所が調査をしていると聞いて、少しでも力になれればと来た次第です。
K:そうでしたか、それは大変心強いです。やはり三〇二号室の件に関しては、過去の情報が非常に重要ですので。
A:はい。『斎藤絵里』さんという女性が約十年前にそこに住んでいました。普通の女性で、特に目立ったことはなかったのですが……突然、何の前触れもなく姿を消したんです。
K:突然の失踪、具体的にはどのような状況だったのでしょうか?
A:(口を少し噤みながら)詳しいことは誰も知らないのですが、彼女の部屋はそのままで、連絡も一切取れなかったそうです。家族や友人からの連絡も途絶え、管理会社も何もわからなかったとか。
K:そうですか……それはかなり不可解な状況ですね。
A:ええ。それに、その頃から周囲で奇妙な音が増え始めたのも事実です。夜遅くに足音が響いたり、壁を叩くような音がしたり、時には誰もいないはずの三〇二号室から物音が聞こえたり……。
K:(メモを取りつつ)その音は、今も聞こえるのでしょうか?
A:ええ、時折ですけどね。完全には消えていません。新しい住人も何かしらの不安を感じているようです。私はもう桜見荘には住んでいませんが、近所に住む友人からそう聞きました。
K:周囲の方々も、そのことに戸惑っていると。
A:そうですね。普通なら気にしないはずの音でも、あの部屋のことがあるだけに、誰もが敏感になっている。何かあれば私たちも情報提供や協力を惜しまないつもりです。
K:行政や管理会社は対応を行っていますか?
A:はい、防犯推進課や管理会社が何度も調査に入りました。警察もパトロールを強化しています。しかし、ハッキリした原因は分からず、住民の不安は解消されていません。
K:そうした中で、今後に対して何かご希望や思いはございますか?
A:(少し遠くを見つめながら)いなくなった女性が、戻ってこられたらいいなと思います。今はただ、その願いだけです。私もまた、何か役に立てることがあれば協力したいと思っています。
K:貴重なお話をありがとうございました。今後の調査にもぜひ参考にさせていただきます。
【録音終了】
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『調査官所見』
行方不明者について、管理会社からは何も言われなかった(そのため、今後要確認)
元々不審なことが起こっており、現在輪をかけて発生している可能性あり。




