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隣人意識調査の結果について  作者: 三嶋トウカ
前編

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電話の主についてのインタビュー録音記録


 【令和六年度 伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 調査報告書 No.B064-追補-02】

 作成日:令和六年十月二十三日

 作成者:伊佐鷺裏市役所 防犯推進課 臨時職員K



『電話の主についてのインタビュー録音記録』

 調査日:令和六年十月二十一日

 調査者:伊佐鷺裏市役所防犯推進課 臨時職員K氏

 被調査者:三〇三号室住人 Y氏(男性、五十代)



 ***


【録音開始】



 K:Yさん、先日夜間に固定電話に不審な着信があったそうですね。詳しく教えていただけますか?

 Y:はい、あの夜は十月十五日のことでした。午後十一時過ぎ、普段ならもう寝ている時間帯なんですが、電話が鳴り始めました。最初は無視しようと思ったんですけど、何度も何度も鳴るので仕方なく受話器を取りました。


 K:受話器を取った時に、どんな声が聞こえましたか?

 Y:女性の声で「帰りたい」と繰り返していたんです。ただ、その声は途中で切れたりノイズが混じったりしていて、よく聞き取れませんでした。とても不気味な感じがしました。


 K:その声の主が誰だとわかったのですか?

 Y:はい、電話の会話の中で、その女性が「三〇二の者です」と名乗ったんです。正直、最初は驚きました。普段からあの部屋とは交流がありませんから。


 K:その時、どう感じましたか?

 Y:正直、気味悪かったです。最初は何かのイタズラかと思いましたが、その後も何度か連絡がありましたし、防犯推進課の方が調査に来ていたこともあったので、連絡手段として話をするしかないと割り切って応答しました。


 K:会話の内容はどのようなものでしたか?

 Y:基本的には「帰りたい」と言われるだけでした。理由は明かされませんでしたし、話も断片的で支離滅裂でした。何か警告なのか、それとも何か別の目的があるのか、今でもよくわかりません。


 K:その後、何か変化はありましたか?

 Y:電話がかかってくるたびに精神的な負担が大きくなり、生活にも支障を来しています。電話の着信は夜間に集中していて、眠れない日が続きました。電話機は現在は電源を切っています。


 K:ほかに何か不審なことはありましたか?

 Y:はい、電話が始まった翌日から、不審な物音や人影の気配を感じることが増えました。廊下で足音が聞こえたり、ドアの隙間から覗かれているような感覚に襲われたり……。警察や管理会社にも相談し、巡回や調査をしてもらいましたが、特に異常は確認されていません。


 K:この状況について、今後どのようにしていきたいと考えていますか?

 Y:できるだけ早く三〇二号室の実態が明らかになることを望んでいます。私たち住民が安心して暮らせるように、行政や管理会社には調査を続けてほしいです。


 K:本日は詳しくお話を聞かせていただき、ありがとうございました。


【録音終了】


 ***



 『調査官所見』

 「帰りたい」という言葉に意味があるのか調査が必要。

 また、今後も今回と同様のことが起こる懸念もあるため、住人のメンタルケアや適切な聞き取りを強化・視野に入れること。

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