Q.記憶喪失ですか? A多分そう .部分的にそう ←アキネイター?←何年前だよ流行ったの、古い ←うるさ!え?うるさ!
「えっ?ああそうか、ここに来るまで意識を失ってなってたんだからね。そらわからないよね。ここは、病院です。東応病院です。君はここに来る前、頭を強く打って、意識もなくなり、不整脈で心臓も止まっていたんだよ。」
医者が答えてくれたが、、、いや、そうじゃなくて。
「俺は誰ですか?何歳ですか?」
それから俺は問答無用に様々な検査を受けさせられた。おそらく頭を強く打った衝撃で記憶喪失してしまったと考えられているのか。まあ、それが普通だよな。
様々な検査にあの女性はずっと付き添ってくれた。おそらく、この身体の母親ということなのか。すると、検査の途中、恐る恐るあの女性が話しかけてきた。
「ホントに、本当にわからないの?」
この女性には少し申し訳ないが、本当にわからないし、わかるはずもないんだよ。
俺はゆっくりと小さな頭を縦に振った。
「そっか、、、ごめんね、、、」
不安と未だに信じきれないような、うまく吞み込めていないような顔をしたが、それ以上は聞いてこなかった。
ごめんねってなんだ?俺は一瞬気になったが、検査途中だったので、これ以上、俺も口を開かなかった。
全ての検査が終わり俺とあの女性は医者に呼び出された。
「えぇと、検査の結果なのですが、頭を軽く打撲している以外には、特に問題はなくてですね。えぇと、要するに記憶喪失になる原因がまだ分からないんですよ。」
まあ、そら記憶喪失の原因なんてこの身体にあるわけないよな。どう説明するか、、、
「それとなのですが、別に異常であるというわけではないのですが、、、」
なんだ?
「ええぇっと、そのですね、お子さんの身体全体に共通することなのですが、、、」
なんだよもったいぶんなよ、気になるだろ。しかし、なんだ?この身体も持病かなんか抱えているのか?
「とてつもなく健康です!まるでお手本のようだ!体重、身長、臓器の状態、血液の状況、全て完っっ璧
です!」
、、、は?
「ここまで完璧に健康な人は見たことがありません!特に血液の様々な物質のバランスが完璧で、ほとんど理論値です!どのようにここまで健康に過ごされているのですか?是非とも私の論文に書きたいところです!」
、、、そりゃよかった、うん。うん。そうなんだけどね。ここ伸ばす必要あったか?なかっただろ、こちとら前世で即死デバフもって生きてきたんだから、そんな脅すようなことしないでくれ、、、
あの女性も恐らく俺と同じことを考えていたかわからないが、少し安心したように見えた。
「しかし、ではなぜ、うちの息子は記憶喪失になってしまっているのでしょうか?」
「それは、今のところわかりません。先ほど申し上げた通り、お子さんの身体はいったって健康であり、それは脳にも同じことが言えます。お子さんの脳は、とくに目立った外傷もなく、むしろ、前頭前野が少しこの年の子供にしては、成長していると思われます。海馬にも問題はありませんし。まあ、そうですね。先ほどした検査だけでは、きちんと検査しきれていないといいますか。まだわかりませんし、もしかすると、この先、急に記憶が戻ってくるなんてこともあります。ゆっくりと待ってあげてもいいかもしれません。」
「そうですか、、、」
「どうされますか?原因がわからないので、病院側としては入院をお勧めしますが、とくに問題があるわけではないので、一度ご帰宅されてもいいかと思われます。もしかしたら、それで記憶が戻ってくるかもしれないですし。」
あの女性は少し迷ったように、うつむいた。
「どうしたい?お家帰る?」
俺は少し悩んだ。この先、病院にいても、もちろん記憶喪失なんかの原因なんて、わからるはずもない。
つまり、この身体の家に帰り、ここの環境に慣れることが大切か。いやしかし、この身体の元のことなんてわからない。この母親と見られる女性や他の方々に迷惑をかけないか?だが、悩んでいたって仕方ない。前に進まなくては。
「かっ、帰りたい。」
少し舌足らずで声変わり前の高い声で答えた。
「じゃあ、そうしましょうか。おうち帰りたいなら。先生、帰る方向でよろしくお願いします。」
「わかりました。では一週間に一度、通院していただくことになります。細かい日程などは受付でお願いいたします。」
そうして俺はこの子の家に帰ることになった。