第39話
アレスの屋敷についた。
なぜか松葉杖が木に引っかかっている。オレが気になってたずねようとすると、アレスは、ケッ、と唾を吐いた。
「貸しは無しだ」
「なんの」
「とぼけるな。ローズの改革に関わったこと、俺のせいにしてやるって言ってんだよ」
オレたちが旅を終えて三日後。
届いた新聞には、ローズで女性の当主と同性の婚姻が認められたことが書いてあった。
それからまた三日経って、ようやくオレは監視の目から外れることになった。
オレとオデとモフは仮退院の延期を言い渡され、しばらくは家で暮らすことができる。
「そんなこと、ここで言っていいのか」
「もう魔術のリンクは切れてる」
アレスは門をくぐった。
「……あいつ、俺と暮らそうなんて言いやがった」
カサブランカは、娘を共同で育てる父親を探していた。
それにアレスを指名したのだ。
「できるわけないだろ。俺に」
「やってみてもいいんじゃないか」
「馬鹿野郎が……養育費の寄付を募ってたろ。それくらいは、手伝うよ」
アレスは吐き捨てて、屋敷に入った。
オデが耳打ちしてくる。
「なんだか以前より、荒れてるど」
オレは笑った。
「素直になったんだろ」
開いた窓から、「聞こえてるぞ」とアレスの声が届いた。




