表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オデしか買えなかった件  作者: 月這山中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/39

第32話


 オレたちは外壁に近い宿を取った。


「イステ、というのは」

「わたしの元の名前です。アンナは洗礼名でして」


 アンナはぜんそくの薬を飲みほした。


「本当は優しいお父様なのです」


 暖炉にあたりながら、アンナは俯く。


「このローズではルノボグ教がまだ受け入れられていません。わたしが入信していたことで、多くの迷惑をかけたはずです」


 宣教の旅をする中で何度も迫害されてきたと彼女は語る。


「女学校とは」

「就職……いいえ、嫁入りの準備をする学校です。わたしはそれが嫌でルノボグ様に助けを求めたのですが……」

「司祭様と反りが合わなくて、もう一回逃げました。と」


 アレスが嫌味を言う。


「うう……」


 アンナは俯いて黙ってしまった。


「そんな風に言うことはない。彼女にとっては大切なことだったんだ」

「フン」


 オレがたしなめると、アレスはそっぽを向いた。

 アンナはすでにルノボグ教をやめて新たな宗教を立ち上げたのだが、追い返されるのでは説得のしようがない。

 窓の外は雪が降り続いている。


「アンナは両親に感謝を伝えるんだろ。そうだ、手紙はどうだ」

「あの様子で読むわけねえだろ」


 アレスが横槍を入れる。

 オレは食い下がる。なにかできることはないかと、ぼやけた頭で模索する。


「その、魔術で頭に直接送り込むとか。通信技術があるだろ」

「無理矢理つなげりゃ傷害罪、悪くてテロ行為で一発アウトだ。こいつの爪の垢でも飲んどけ」


 アレスがオデを指さす。


「そうだ。オデは、なにか考えはあるか」


 オレは彼が法律書を取り出すのを待ったが、オデはふるふると首を横に振った。


「ローズにはローズのしきたりがあるど。ここでは女性の権利はアクアに比べてすごく弱いんだど」

「そんな……」


 オレはともかく、オデにも手立てがないのは、つらかった。

 ドアがノックされた。


「はい、どうぞ」


 宿の管理人だろうか。オレは招き入れる。

 しかしドアを開けたのは、コートで着ぶくれした、そばかすの目立つ青年だった。


「コナー?」


 アンナが立ちあがった。


「そちらのイステ=アラスラダ・フランドロの弟、コナー=ユクラテス・フランドロです。姉様がお世話になっています」

「姉様」


 オレは面食らう。唖然としてるアンナを見上げる。

 オデとアレスも目を丸くして、同じ様子だった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ