第31話
東の森のカサブランカは、故郷を覚えていた。
四人は街道を歩いた。
「♪エルフの森ってどんなところ」
「♪高い木の上のお家で眠る」
「♪エルフの森ってどんなところ」
「♪甘い蜂蜜を舐めるのよ」
コレットとドレシアは歌っていた。
カサブランカは暗い顔をしていた。
「こ、こ、ここで、す」
詰まりながらカサブランカは言った。
四人が止まったのは、焦げた草花と切り株だけが残る焼け野原だった。
「焼けた、全部。ここで」
東の森は、既になくなっていたのだ。
カサブランカは焼け野原を歩いた。その後ろをソレイユはついていく。
「なにか、あるのですね」
「………」
カサブランカは頷く。
立ち止まった。切り株の側にある灰の山にかがみこむ。ソレイユもそれに続く。
「あ、あ、あった、これ」
灰の山をかき分けて、探し当てたのは自然石のペンダントだった。黄色と黒の縞模様が猫の目のように光っている。
「大事な物なんですね」
「これ、に、西の森、の、……つぅー、通行、手形」
「ふむ」
共通語で意味の近い言葉を選びながら、カサブランカは説明した。
「西の森へ行きたいのですね」
「……ん」
ソレイユはカサブランカの手を取った。焼け野原を横断する。
それについていきながら、コレットとドレシアは歌を再開した。
「♪エルフの森ってどんなところ」
「♪熊さん、鹿さん、ちょうちょと踊る」
「♪エルフの森ってどんなところ」
「♪きれいな泉で泳ぐのよ」




