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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

追放されたセクハラおじさんの死

作者: ヒロモト

部下の脇君が私に冷たい。


「おはよう」


「森さん。40代が20代に挨拶するとかもうセクハラですよ?」


挨拶したらセクハラかぁ。


おっ?脇君頑張ってるなぁ。


「森さん。今、視線を私に向けました?それセクハラですよ?」


視線すら不愉快ですか。とほほー。


「女にとっておじさんは生きてるだけでセクハラなんですよ?」


私は生けるセクハラかぁ。もう勝手にしてくれよぉ。


「えっ?私に触りました?それ完璧にセクハラです」


「でも君が倒れたから介護しただけで……無視すればよかったのかい?」


「命を何だと思ってるんですか?助けなければ犯罪者。助けたらセクハラおじさんです」


理不尽極まりないな。


「何倒れてるんですか?あなたは私たちの肉壁何ですよ?こちらを見ずに何も話しかけずに仕事だけしてください。セクハラですよ?。それができないなら。アナタよりカッコ良くて仕事の出来るイケメンが見つかったんで消えてください」


それなのに私が高熱で倒れたらこの言い様である。もう辞めたい。そうか辞めちゃおう!もう知らない。



「帰ってきて下さい。帰ってこないとセクハラですよ?」


「逆にスゴいよ。君たち」


一週間で頭を下げてくるとは。イケメンとやらは『仕事』ができなかったらしい。もう消えたのか。


「条件がある。私を人間として扱ってくれ」


「パワハラですか?取り消してください。でないとセクハラですよ?」


「るっせえなっ!死にてぇのか!?」


「ひっ!」


堪忍袋の緒が切れた。なんだこのボケカスども!立場を知れ!


『いだぁぁぁい!』


元部下達を一人一人ビンタして全員泣かしてやった。


「脇。私に従え」


「パワハ……わかりましたぁ」


やっと上下間系をわきまえたらしい。



「脇君!君が好きだ!」


「はぁ?コクハラって知ってます?告白ハラスメントですよ?身の程をわきまえて……」


「イエスかノーかだよ?」


「……イエス」


部下たちは私が腕を振り上げるだけで言うことを聞くようになってくれた。


「ハラスメントです!ハラスメントです!ハラスメントです!ハラスメントー!」


私は脇をベッドに押し倒した。


それから一ヶ月後。『ここでの仕事が終わり』私は冷静になり自分の行為を恥じた。最低だ私は。


「パワハラして悪かったよ。君はもう自由だ」


「責任取らないんですか?それこそハラスメントですよ?」


意外にも脇君は新しい職場にも着いてきて私を支えてくれた。



「私より先に死ぬのはハラスメントです!止めてください!サキハラですよ!」


「サキハラって。オリジナルのハラスメントを作るなよぉ」


毒が回ってきた。もうこりゃ助からない。私は妻と息子の顔を目に焼き付け、ゆっくりと死を待った。二人とも泣きすぎだよ。笑って見送ってくれ。


「私が死んだらすぐに燃やせ……よ」


「あなたーー!」


「お父さーん!」





「おんどらぁぁ!」


革手袋をした拳で奴等の頭を片っ端からぶっ潰す。これが親父譲りのパワーだ。


「……ありがとうございます。助かりましたぁ。でも私たちはお金がなくて……」


「知らねー。ゾンビがいたからぶん殴っただけだ」


俺は親父を尊敬している。突然ゾンビが溢れた日本で部下たちを『拳』で守り抜き、全国を無償で渡り歩いた伝説の『ゾンビハンター』。俺はその親父の息子だ。金はとらん。


「……せめてお名前を」


「森」


「えっ!『ゾンビ一万匹殺し』の森さんっ!?」


「……その異名気に入ってねーんだよ」


やめろよー。ネームハラスメント。ネムハラだよ。いけね。またオリジナルハラスメントを作ってしまった。俺の変な癖だ。誰に似たのかね?



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