1話 調査1日目 日記を書き始めた
西南へ真っ直ぐのとこにある「ララティ」と言う王国の北側の外れにあるスラム街を、ククエルと言う。名前はあって無いようなものであり、王国はスラムと化した街に対する政策を行っていないので無法地帯となっている。
王国自体は世界で見ても6番目にお金のある国である。それは古代魔法文明の栄えたラリティ遺跡が発見され、広大な資源に恵まれているからである。だからこそ貧富の差が激しく、それに比例するかのようにスラムが増加、拡大していった。
[※ペート百科事典参照]
目の前にやってきたは2つの人影。1つはとても小さく、1つは青年のもよう。仲良く手を繋いでいるその姿は、一見するすると親子にも見えるが年齢は兄弟の方が正しい。小さい方は少し長い前髪に隠れてはいるものの、キラキラお目目で今にも走り出しそうなほどウキウキしている。大きい方は、少し長めな外はねの茶髪で、少し切れ目なので見た目はガラが悪いが、小さい子に向ける眼差しは本当に優しくてとても微笑ましい様子である。一方小さい方はオリーブブラウンのサラサラストレートに加え、前髪が少し長めのショートカット。肌は色白で、前髪に隠れた目は綺麗なグリーン、とても綺麗な輪郭をした子供。まさに美少女!超絶可愛いロリっ子なのである!と、私も、最初は思っていた...なのに実際は、男の子だったのだ。いや、ここまで可愛いなら男の娘と言った方が正しい気がする。なんでってそりゃ、声がどう考えても男の子なのだ。まあショタもロリもどっちも可愛いけどね!と言うかショタの方が好き!だからなんか嬉しい!!....おっと、取り乱してすみませんでした。そして自己紹介もまだのようで、本当に不甲斐ないです...だって、あんなに可愛いショタが目の前にいたら自分のことなんてどーでも良くなるじゃん?まあそれはいいとして...改めてこの調査を1人で行うことになったルーリュと申します。調査と言っても皆さんなんの調査か分からないでしょうから説明しますと、要は、スラム街の人口と年齢の割合、そして...
あ、いっぱいあるから説明めんどくさいので送られてきた調査項目をコピペで貼っときますね。本当なんでこんな量の仕事1人でやらなきゃいけないんだか....
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[貧民街調査報告項目]
いかに記すものは国家機密情報とし、外部に漏洩させることを禁ずる。
また、これらの文章を別の文章に移すことも禁ずる
漏洩させた場合、移した場合、どちらも死罪に値する。
⒈貧民街に在住してる貧困者の正確な人口
⒉貧民街に在住してる貧困者の年齢層をグラフ化
⒊貧民街の正確な土地面積
⒋貧困者の生活状況
⒌貧困者の識字率と教養レベル
⒍貧民街における犯罪率と治安レベル
⒎貧民街に在住してる貧困者の生活保護希望者数
8.貧民街の資源調査
以上の項目を二年以内に調査し報告書を貧困者数増加対策委員会へ提出しなければならない。
期間を超えた場合、または、期間を厳守できないと判断した場合はその時点で一度報告書を貧困者数増加対策委員会に提出し調査状況を見て、調査期間の延長許可書を国から発行する。
また、報告書を提出しなかった場合は国からの捜索願が出され、故意に報告書を提出しなかった場合にのみ何らかの処罰を執行する。
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と、まあこんな感じなんですよ...にしても、この魔送書ってめっちゃ便利だよね!さすが古代魔法文明で栄えた国だよ。ちなみに、古代魔法文明とは、何万年も昔で最後に人類が魔法を使えたとされている文明のこと。でもって2000年前にその文明は滅び、魔法は世界から消えたってわけ。今魔法を使える人間は存在しないし、最新技術を持ってしても魔法の仕組みすら説明することが出来ないんだーでも、遺跡が発見されるとそこには必ずと言っていいほど魔具が発掘される。魔具はそのもの自体に魔法の力が宿っているから現代の人で使えるってわけ。しかし、魔具は希少価値が高くて一般庶民には到底手に入れることは難しいの。私が持ってる魔送書も魔具の1つで、これは全ての魔送書と繋がってて、指定した魔送書に文字で情報を送ることが出来る優れものなんだ!しかもこうやって日記を書いたりメモをしたりするにも使えるの。報告書もこれで提出するんだよ!送られてきた文章をコピーして別の人にも送れるってのは本当に便利だよね!って、あ!?コピペしたってことは...じょ、情報、移しちゃったってこと、だよね?や、やばい...こ、これって...国家機密じゃん‼あ、あああーーーー‼‼‼こ、殺されるーーー‼‼‼く、国に、消されるーーー‼!!!!
書類をコピペして、日記に移してしまった事で後に想像も出来ないようなとんでもない事件の首謀者になりうることを私はまだ知らない
「ねえ、ねえ、お姉さん大丈夫?って気絶してるの?ねえ、兄ちゃんこの人大丈夫かなー?」
「そんな得体の知らねえやつほっとけよ!それにこいつ、魔具持ってるぞ。関わらない方がいい!」
「で、でも....こんな道の真ん中で倒れてるなんて危ないよ?もし貴族なら僕達殺されちゃう!」
「(うーん...確かに貴族だった場合、見捨てると俺達は殺されるかもしれねえし、助けた場合何かしらの感謝料を貰えるかもしれない)....そうだな、仕方ねえ....よいしょっと、こいつが起きた時は丁重に扱えよ?」
「うん!!やったー!やっぱお兄ちゃんは優しいね^^」
そして彼は小さくため息をついた。




