15:20〜15:40
軽い性的模写があります。嫌悪感を抱く方は読まない事をお勧めします。
媚薬――
1、性欲を催させる薬。淫薬。
2、相手に恋慕の情を起こさせるという薬。惚薬(ほれぐすり)。
『広辞苑』より
学校の廊下の床。
そこに白濁の液体が零れていた。
その発生元でもある瓶には既に半分以下となった内容物が今もなお流れ出している。
その瓶の所有者の姿はどこにも見えず、ただ瓶のみが転がっていた。
【15:26】
桜岡桜は、昨年の文化祭のミス☆☆高コンテストで二年生にして一位となり、☆☆高校全生徒からのアイドル的存在になっていた。
同コンテストで二位になった仲村小詠には彼氏がおり、三位になった日高春見はもうこの学校を卒業していた。
そのせいも相まって、桜岡桜の人気は衰えることを知らなかった。
告白されたりラブレターを渡されたりするのは日常茶飯事で、噂ではファンクラブの存在が示唆されていた。
茶色気味の短髪に群青色の瞳でスキッとした顔立ち。それに加え、長身の体に長い足、出る所は出て、引っ込む所は引っ込んだ抜群のスタイル。社交的で思い遣りがあり誰にでも優しく接する、聖母のような性格だ。
今は放課後。
吹奏楽部員である彼女は、部室への道を急いでいた。
清掃当番だったというだけで練習に遅れる、というのは彼女にとって好ましくない事だ。学生として無遅刻無欠席無早退は基本である。
階段を下り、部室棟へ行くため体育館への渡り廊下に出ようとした。
と、その時、左足が滑った。
とっさに後ろにある右足に体重を移動させて足下を安定させ、左足もそこに持っていく。
ほっと一息して、滑らせた原因を見る。
そこには白濁の液体が広がっていた。
牛乳か、と一瞬だけ思ったがそれにしては粘性があるようだった。
あるのはただその液体だけで、零れた原因のものは見回しても見つからなかった。
綺麗にしようか迷ったが、今は部活優先だということで桜岡桜はその液体の脇を通って部室へ急いだ。この選択によって、この後この液体が一つの騒動を引き起こすとも知らずに。
【15:33】
相川あき子は廊下にしゃがみこんでいた。
「なんだろ、これは」
そう呟くが、返事をする者はいない。ただ下校のために廊下を歩く生徒の話声が聞こえるばかりだ。
じっと見つめる事に飽きたのか、軽く固まり始めているそれを右の人差し指でつっついた。
白濁したその物体はまるでスライムのように相川の指にまとわりつく。
なんとなく良い気持ちになり、指で白濁した半固形物質を更に刺激した。その都度に気持ちはどんどん良くなり、いつの間にか両手でその物体をまさぐっていた。
脇を通る生徒たちが遠巻きにその様を眺める中、一人の女子、斉藤尊が話し掛けた。
「ねえ、あなた。こんな所で、何を」
分かりきった質問だった。近くにいる誰もがそう思っただろう。
だが事態は思わぬ方へ進んで行くのだった。




