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日本建国 -護法魔王尊シリーズⅡ-  作者: でうく
第Ⅴ章.“人間”・奇稲田(クシナダ)とヤマタノオロチ
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proⅡ.~蛇~

その神は、激しく義妹を嫌っていた。



不具であった実の妹を流す事を父に(そそのか)し、自身も策略に()って熊襲と差別され、元居た(ばしょ)を追い出されて何とか九州を脱する事に成功した。(しか)し、この怨みが晴らされる事は無く、(むし)ろ刻が経つにつれ般化してゆきいつしか女全般が嫌いとなっていた。


山には(マガ)が多い。嫉妬等の負の観念が日常的に蔓延(はびこ)る上に、罪人を裁く異星(黄泉)の番人達の眼が行き届き難いほど樹に蔽われているので、恰好の隠れ場となっている。神はその山に棲まう事とした。


山には子棄てが多く、其は更にその神の心を害した。其もいわゆる不具の子(ばかり)で、其が義妹を連想させその度に暴れ狂った。

併し少女が棄てられたあるがままの瞬間を見て、その神ははっと気がついた。若しかしたら、流された妹は此処に辿り着くかも知れない。



以来、少女を捧げるとその山の神は暴れなくなった。

此処に、神に対して少女を生贄とするという因習が生れた。



その神がその山に棲まう事となる少し前、その山を含む地域は遙か東の方と交戦状態にあった。義妹は何処から聞きつけて来たのか、山に立ち入りその神を訪ねた。何も手を加えずに静観して欲しいとだけ懇願した義妹の云う事など聴く気は無かったが、棄て、捧げてと子を好きに扱う人間共にもほとほと嫌気が差していた。その神がその神の日常を送っていただけの或る日、義妹から貢ぎ物が贈られた。


東北からの戦利品として生贄に処された人間の子だった。片眼が無く、片足が損じられている。

本来眼の在るその場処は血の塊が置かれ、止る事の無い涙を真紅に染め流した。



その者はその齢にして大いなる野望を懐いており、穢れた身体で分不相応な願いを叫んだ



『私を・・・,神にしてください――――!』

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