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日本建国 -護法魔王尊シリーズⅡ-  作者: でうく
第Ⅳ章.金星人サナト=クラマと本州進出
1/22

pro.~贄~

―――雷鳴轟き、稲妻奔る。(やが)てぽとぽとと地面に点がつき、畳み掛ける勢いで点が塗り潰され、土一面が濃い色となる。

最初は頭に滴る程度でむずむずする位だったが、今となっては痛い程に、其は身体に叩きつけてくる。



ザーッという烈しい音と共に、線状に落ちて来るものは、聴覚だけでなく視界をも悪くして


触れると其は自らの身体を濡らし、触覚さえも奪ってゆく


―――泣いているのか、其とも只雨が頬を濡らしているだけなのか



・・・小さな兎がぷるぷると身体を左右に振る。


兎の前には年端も行かぬ小さな稚児が、仰向けに倒れ口を開けていた。

兎がペロペロと稚児の頬を舐める。(しか)し稚児は反応しない。開かれた侭の眼球にも容赦無く雨が入って来て、稚児から溢れる涙は益している様に()えた。



「オオナムチ・・・・・・」



―――雨は益益(ますます)酷くなる許で、いつまで経っても止む気配を見せない。稚児の遺体はすっかり血の気が抜け、形代の如く白くなっていた。


兎の姿はもう其処に無い。


森を流れる川は水を大量に摂り込んで、渦巻き暴れ回っていた。川原の土には(ひび)が入り、其処にも雨の水が浸透する。

罅の先端は更に八俣に裂け、八つの首へと変貌した。

水面に鱗が浮び上がり、土手は更に裂けて決壊が始る。

手足が出来、其に水が行き渡ると、まるで屏風から抜け出て来たかの様に巨大な龍が出現した。



ゴオォォォォ・・・と龍は雄雄しく()えた。



「赦サヌ!!赦サヌゾ!!」

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